千日紅   作:夏(。・ω・。)

31 / 47
大海は芥を択ばず

 

 

ドタドタドタドタ!!!

 

静かな病院には似合わない複数の足音が響いた。

 

バタンッ!

 

という、今にも破壊しそうな程の力でドアを開けた。

 

 

「ぎ、んちゃん・・・」

 

 

すでに中に居た沖田と近藤が、銀時の隣を譲ると、土方が連れてきた神楽、新八、妙、お登勢は恐る恐るといった様子で銀時の周りに集まった。

 

 

「こんなに、ボロボロに・・・」

 

「そんな・・・」

 

 

新八と妙は流れそうになる涙をぐっとこらえながら、銀時の手を弱弱しく握る神楽の肩に手を置いた。

 

医師達は、後は坂田さんの気力だけです。というと、深々と頭を下げて出ていった。

 

 

また沈黙。

 

誰もが話す気にはなれず、ただただ静かに息をするだけの銀時を見つめた。

 

しかし、そんな沈黙をお登勢は破った。

 

低く、そして心が落ち着くような声色で。

 

 

「全く。またこんな怪我して。バカな息子だねえ。」

 

 

そっと視線を上げれば集まる視線。

 

その視線を浴びながら優しく微笑む。

 

 

「どこで何を落っことしてきたのか知らないけどねえ、ずっと探し物をしてるような奴だったよ。」

 

 

突然の話に驚くも、『奴』が誰かすぐに分かり、そのまま静かに耳を傾けた。

 

 

「なんでも頭突っ込んで。てめえの体張って、人様の大事なもん護ってた。

 

 まるで何かに償うように。

 

 そのくせ、自分では何も持たない。 誰も寄せ付けない。

 

 ずっと一匹だった。

 

 失う怖さを知ってしまったからなのか。それとも同じ思いを人にさせたくなかったのか。

 

 もしかしたら、てめえに罰でも与えてたのかもしれないねえ。

 

 でもねぇ、そんなバカに引かれて同じような野良達が集まってきて、いつの間にかあいつ。

 

 一匹じゃいられなくなってた。

 

 いや、もしかしたらあいつらに教えられたのかもしれないねえ。

 

 護り守ってくれる仲間が。」

 

 

ぐっと口を結びながらも、こらえきれずに涙が零れた。

 

 

「自分が自分で居ることが分からなかったあいつに、なんでも自分の中に閉じ込めちまう、このバカに。受け入れることは染まる事じゃないって事を、ね。」

 

 

神楽も新八も、声を上げて泣いた。

 

妙も二人を抱きしめながらその肩に顔を伏せて泣いた。

 

近藤は、凛々しく声を抑えながら泣いた。

 

沖田は、壁に額をつけながら泣いた。

 

土方は、美しい夜空を見上げながら一粒の涙をこぼした。

 

 

 

 

 

生きろ

 

 

 

死ぬなとは言わない

 

 

 

生きろ

 

 

 

 

 

 

 

受け入れることは染まる事じゃない

 

染めていくことなんだ

 

自分の、自分達の色に

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。