広間についた銀時たちは中に入った瞬間熱気に包まれた。
「貴様ら!!!我らと共に刀を取り、大切なものを守りたいと思わんか!!!!」
「「「「「「「ウォーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」
「今までずっと奴らの支配に耐えてきたのだ!今こそ!共に立ち上がろうではないか!!!」
「「「「「「「ウォーーーーーーーーーー!!!!」」」」」」
「なんですか、これ・・・;」
聞こえたのは桂の声。
しかも、演説はなかなか終わりに近づいているようで、桂の持ち前の人の心を揺るがす言葉によって会場はヒートアップしていた。
しかも、そんな男共をさらに盛り上がらせているのは、桂の隣で悠々と立っている高杉の存在だろう。
もっとも過激で攘夷一の実力を誇る鬼兵隊の首領。めったに公に現れることがないため、さらに戦争に対する熱が上がっているようだ。
「す、すごい。なんか俺もやる気になってきたぞ!銀さん!!」
「・・・・・・・。」
「?どうした、銀さん?」
「銀さん?」
銀時は長谷川や新八の呼びかけにも答えず、ただ、壇上に上がっている二人を見つめていた。
演説は終わり、男たちは興奮気味で大広間へ帰っていく。
壇上にいた桂はそんな男たちを見て、したり顔で高杉を見た。高杉は薄く笑った。すると、その視線の先に銀色に光るものが見え、さらに笑みを濃くした。
「おい、ヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。なんだ。」
「銀時が来てる。」
「本当か!・・・ん?どこにも居らぬぞ。」
「ああ?・・・っチ、あいつどこ行きやっがった。」
銀時は広間の出口付近から二人を見ていた。しかし、高杉と目があったと分かるとすぐに顔をそむけ出て行った。急に歩き出した銀時に戸惑いながらも、新八と長谷川もその背中を追って出て行った。
続々と男共が大広間に帰ってきた。
どの男もみなどこか興奮した様子だった。
「なんか、キモイアル。」
「そうねぇ。どうしたのかしら。」
「おおかた、演説で何か吹き込まれたんだろう。」
神楽や妙、お登勢達は同じ部屋割りになったため、そこに荷物を置き、しばらく談笑していたのだが、大広間が騒がしくなってい来たので、銀時と新八をさがしに出てきたのだ。
だが、そこには案の定、男共で群がっていたが、どこか興奮気味の様子は、正直気持ちが悪い・・・。
しばらくきょろきょろと辺りに眼を彷徨わせていると、不意に銀色が人ごみの中で光った。
すぐに走り寄って飛び込もうと思った神楽だったが、だんだんと近くなる銀時の顔に眉間が寄せられているのを見て、やめた。
「帰ってきたみたいね。あら?銀さん怒ってるのかしら?」
いつもは死んだ魚のような半開きの眼で、やる気の一つも見いだせない銀時の顔に浮かぶ表情に違和感を覚えたのか、妙が不思議そうにつぶやいた。
「あの顔をする銀ちゃんはめっさ機嫌が悪い証拠ネ。きっとまたヅラになんか言われたアルヨ。」
とはいうものの、神楽も明確な理由は分からない。
なぜなら、桂とはよく喧嘩をしている銀時だが、あんなふうなしかめっ面になるような事はなかったからだ。
他に何かあったアルカ・・・?
ぼーっと銀時の方を見ながら考えていると、途端に騒がしかった会場がシーンと静まり返った。
そして、ある程度修羅場をくぐってこなければ分からないほどだが、銀時から殺気が漏れ出した。
何事かと思い、銀時を見ると、その後ろには以前戦った、一際ヤバい気を放つ男が立っていた。