静寂に包まれた。
あまりの気圧の重たさに緊張が走る。
その気を放つは、我らが万事屋銀ちゃんオーナーこと坂田銀時と史上最悪な狂犬こと高杉晋助。
どちらも一歩も動かず、しかし、どんどん膨らむ殺気だけが近づいてゆく。
何人かが生唾を飲む音が聞こえた。
そんな静寂を破ったのは
「よお銀時。久しぶりだなあ。」
「・・・」
「おい、無視してんじゃねーよ。」
「・・・」
なかなか返事をしない銀時に痺れを切らした高杉が足を出そうとする。
「忘れたわけねーよな?」
「・・・あ?」
「俺言ったよなあ?」
「・・・」
ゆったりとした動きで振り返る銀時の手は腰に据えられてる。
そんな銀時に明らかに嫌そうな顔をする高杉。
「おい、銀時。」
「言ったよなあ?」
「え、いや、」
「『次あったら全力でてめえをぶった切る』てよぉッ!!」
「お、落ち着け!銀時!」
怒涛の攻撃を繰り出す銀時の木刀を鞘に収まったままの刀で必死に対応する高杉は、傍らで涼しい顔でこちらを見つめる桂に助けを請うが、「お前が悪い」の一点張りで、助ける気は全くない。
これじゃあ埒が明かねえ!
こうなったら、
「わ、悪かった!」
「・・・」
ぴたりと攻撃が止んだ。
「悪かった。」
「・・・何が。」
「・・・紅桜ん時。おめえ等売るようなことして悪かった。」
「真選組の時。」
「伊東か。それはあいつが言い寄ってきたから手ぇ貸しただけだ。それに、真選組が邪魔だった事に変わりはねえ。」
「おまっ「勘違いすんな。」・・・?」
「俺は腐れ幕府に仕えてた真選組が邪魔だっただけだ。俺が気に食わねえのは天導衆とそれに手を貸す奴らだ。今ここに居る奴らは同志だ。邪険にしたりはしねぇよ。」
「・・・分かった。ただし、次は無い。今度は本気でてめえをぶった切る。覚えとけよ。」
「ああ。」
ようやく終わった喧嘩に息が漏れた。
互いに刀を元の位置に戻す銀時と高杉に桂が歩み寄った。
「気はすんだか二人とも。」
「・・・ふん。」
「何がふんだよ晋ちゃん。言っとくけど俺全然許してねえからな!」
「はあ?さっき許すって言ったじゃねーか!」
「言ってませんー。分かったって言っただけですー。」
「屁理屈言ってんじゃねーよ!」
「それはこっちのセリフです~!第一あんなことしといて悪かっただけで済むと思ってんじゃねえぞチビ!」
「ちッ!」
「低杉チビ助!マイクロ豆粒中二病!」
「ふざけんじゃなぇえ!こんのテンパ!もじゃもじゃ白髪ヤロー!」
「オメエに天パの苦しみ分かんのかコンチキショー!それにこれは銀色ですー!白髪じゃありませんー!」
「やめんかお前達!公衆の面前で恥ずかしいと思わんのか全く!」
「「うっせぇーヅラ!」」
「ヅラじゃない!桂だ―――――!!!!」
わっちゃわっちゃと低レベルな喧嘩を始める3人に、新八達や彼らの部下達はただただ呆然とするだけであった。