千日紅   作:夏(。・ω・。)

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明日もし悲しみが君を苦しめても

松陽の笑顔に少し雰囲気が和らいだ時、松陽が「銀時に自己紹介をしてもらいましょう。」といい、銀時の名を大きな声で呼んだ。

すると、軽そうな足音がトタトタと聞こえたかと思うと、部屋の襖の前で止まった。どうやら入るのに戸惑っているようだった。

 

 

「銀時。入ってきなさい。」

 

 

松陽がそういうと遠慮がちに襖が空き、キラキラと光る銀色の頭が覗いた。

 

 

「なに?」

 

 

そういいながら顔をのぞかせただけで入ってこようとしない銀時に、松陽は手招きをした。

銀時は土方たちをちらりと見て、駆け足で松陽のそばへ行った。その手には、朝ごはんを食べていたのだろうか、箸が握られたままだった。

 

神楽と新八は銀時を食い入るように見つめ、満面の笑みを浮かべていた。

近藤と土方と沖田は先ほどの銀時の過去の話を聞いた後なので、少し気まずく思いながら見つめた。

 

 

「なに?せんせい。」

 

「銀時。箸を持ったまま歩きまわっては駄目です。これからはちゃんと置いて来るのですよ?」

 

「うん。」

 

「それでは銀時。この方たちに自己紹介をなさい。」

 

「え・・・」

 

「塾でも一度したでしょう?ほら。」

 

 

松陽に背中を押され、必然的に5人に顔を向けることになった銀時は、少し戸惑いながらも小さな声で自己紹介をした。

 

 

「吉田銀時。・・・よろしく。」

 

 

そういうと銀時は後ろを振り返り、松陽の後ろに隠れた。

松陽はそんな銀時の頭をなで、よくできました。とほめた。

すると、銀時は先ほどまでのおびえが嘘のように、ふわりと笑った。

そんな銀時を見た5人は、その子供らしい笑顔に驚くと共に心が温かくなった。

 

 

 

「銀ちゃんアルナ!!!私は神楽アル!一緒に遊んでやるヨ!」

 

「ちょっ神楽ちゃん!抜け駆けズルイ!!!僕は志村新八。よろしくね!!!」

 

 

はしゃぐ子供達二人に銀時は少し怯えながらも松陽の背中から顔を覗かせた。松陽は少し興味を持ち始めている銀時に気付き、微笑みながら背中を押し自分のそばに銀時を立たせた。銀時が松陽に目を向けると、松陽は安心させるようにうなずき、銀時も少しうなずいて二人を向いた。

 

 

「か・・・かぐら。と、しん・・・ぱち。」

 

「何ですか?銀時君!!!」

 

「神楽、新八。あっちで小太郎と晋助と遊ぼ。」

 

「「うん/はい!!!」」

 

「せんせ・・・」

 

「遊んできていいですよ。今日は塾はないですしね。でも!まずはちゃんと朝ご飯を食べなさい。」

 

「うん。」

 

 

 

そういうと7人は大広間へ行き、桂、高杉と合流して銀時が食べ終わるのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから晋助、小太郎、銀時と神楽、新八、沖田はいろんな遊びをした。

大人組は縁側でそんな子供たちを見つめながら談笑していた。

 

銀時がこけると、松陽は驚いた顔をし、立派な強い大人になってもらうべく、助けに行きたい気持ちを抑えていた。そんな銀時がまた立ち上がり走り出すと、安堵の息を吐きまた笑顔で子供たちを見つめた。

 

近藤や土方はそんな松陽を見て苦笑しながらも、総悟が小さい時はそんな感じだったなあ、と思ったりしていた。

 

 

 

夕方になり、小太郎と晋助は元気にあいさつをして帰って行った。

銀時と新八、神楽、沖田はすっかり仲良くなり、じゃれあいながら母屋に入って行った。

土方、近藤、松陽も遅れて入ろうとした。

その時、松陽は何者かに呼び止められ何やら手紙のようなものを渡された。松陽は一瞬鋭い顔つきになったが、すぐに元の様に戻るとお礼を言ってそそくさと母屋に入って行った。

残された近藤と土方は不思議に思いながらもあまり気に留めずに後に続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食を食べ終え一息ついていると、松陽が少し真面目な顔で台所から戻ってきた。その後ろには銀時も続いていた。松陽が座ると銀時もその隣に刀を抱えて座った。

 

 

「申し訳ありません。」

 

 

急に頭を下げこう言った松陽に土方たちは訳が話からず、ただ先を待った。

 

 

「先ほど文が届きまして、今日の夜ここに大事なお客様がいらっしゃることになったのです。ですから、みなさんがここに居られると、少し困ることになってしまいました。」

 

 

松陽が本当に困ったように言うと、近藤はいつもの人懐っこい笑みで応えた。

 

 

「そうですか。では俺たちはづらかりましょう。」

 

「え~!銀ちゃんと一緒に寝たかったアル!」

 

「仕方ないよ。神楽ちゃん。」

 

「申し訳ありません。本当に。」

 

「いや。今日は本当にお世話になったからな、ありがとう。」

 

「あの、もしよければ、小太郎の実家へ行かれてみてはどうでしょうか?あの子の家はしょっちゅうお客様を泊めたりしていますから。」

 

「そうですか、それでは尋ねてみます。」

 

「それでは紹介状でもお書きしましょう。」

 

「ああ。頼む。」

 

 

松陽は席を立って自室へ向かった。

銀時はなんだか落ち着かないようであった。

そんな銀時に気付いた沖田がたずねてみる。

 

 

「どうかしたんですかィ、銀時君。」

 

「・・・せんせ、いつもと違う。」

 

「そうアルカ?」

 

会ってからもうすぐ一日が過ぎようとしているくらいしか経っていない自分達には全く分からないが、ずっと松陽しか頼れる人がおらず、人一倍松陽の変化に鋭い銀時は気付いていた。

松陽が焦っていることを。

小太郎や晋助を見送った後から、一時も銀時から離れようとしなかったことを。

銀時を見る目が、ときどき悲しみにあふれていたことを

今日の晩、何かが起こることを・・・

 

 

 

 

 

 

まだ、誰も知らない・・・

 

避けては通ることができない道を。

 

そして、後悔する・・・

 

あの日の自分を。

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