死にたくない私の悪あがき   作:淵深 真夜

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45:飯テロ小噺

(もんじゃ焼き)

 

「今日の晩御飯はもんじゃ焼きだ」

「なんだそりゃ?」

 

 ダイニングテーブルの上に置かれたホットプレートの前で、重さ10キロ越えのヘラを掲げてソラが宣言し、レオリオがひとまずツッコミ兼疑問を口にする。

 

 キルアに会う為、この家に一般常識が通用しないことをいっそ良心的なまでに分かりやすく表す門を攻略しようと、ゼブロ達の山小屋に滞在して早10日。

 その滞在期間中の食事担当であるソラの宣言に、ゴン以外の全員が何とも微妙な顔をする。

 

 ソラの作る食事に、不満があるわけではない。

 ゴン達3人は2次試験で、ソラは普通に料理が出来る、それも普通に美味いことを十分理解している。

 ゼブロやシークアントは、ゾルディック家使用人の中でも下っ端中の下っ端なのと、屋敷よりもはるかに外に近い仕事場なので、食事はまかないではない。なのでついつい自炊ではなく、交代の時に町まで足を延ばして外食か、インスタント食品に頼りがちな生活だったので、不満どころか今からでも別れが惜しいくらいである。

 

 不満はない。全くない。

 ならば何故、ゴン以外の全員が何とも微妙な顔をしているのかと言えば、さほど大きくはないが彼女の料理は時々、不安が付きまとうからである。

 

「食い意地が張ってる」と自己申告したくらいなので、ソラは食べ物で遊ぶような真似は絶対にしないのだが、日本はもちろんそれに近いジャポンの食文化すら全員がなじみないのと、ソラの斜め上っぷりを全員が良く知っているので、どうしても「大丈夫なんだろうか?」という不安が生まれるらしい。

 実際の所は木の根の炒め物にしか見えなかったきんぴらごぼうも、筋張っていそうな肉の塊にしか見えなかった豚の角煮も、第一印象とは裏腹に驚くほど美味かったので、この不安はソラに対して失礼なのだが、失礼だとわかっていても不安なのがこの女である。

 

 そして本日も、ソラは他の連中にとってなじみ深くて当たり障りのないメニューではなく、自分の食べたいものをどこからか材料を調達して作ることにしたらしく、掲げていたヘラを下ろしてどんな料理かを説明する。

 

「私の世界……国の郷土料理……というほどのかなぁ? ご当地飯というか……、まぁとにかく作るから食べろ」

「何もわかんねーし、拒否権なしか。食うけどさ」

 

 しかし途中どころか初っ端で面倒くさくなって、説明をしない方がマシな気がする発言で終わらせ、もう一度レオリオに突っ込まれる。

 また更に不安が大きくなるが、それでもやはり今まで「大丈夫か?」と思いはしても、彼女の作った料理にハズレはなかった、それどころかかなり美味かった実績があるので、レオリオは大人しく60キロの椅子を引いて座る。

 

 大人しく座ったのは、見たところ材料におかしなもの、見たことがないなじみがない食材がなかったことが大きい。

 しかし同時にホットプレート脇に並べられた三つのボウルの中身を見ると、「こいつは何を作る気なんだ?」という疑問が、さらに大きくなってゆく。

 

 ボウルの中身で共通しているのは、山盛りの千切りキャベツ。

 具材はやたらと多いのに、共通している食材はそれぐらい。イカやエビや貝などの海鮮がたっぷりと入ったボウルもあれば、細切れの豚肉が入っている物もあるし、辛子明太子が山盛りキャベツの上にのっかっているボウルもある。

 もやしやネギがたっぷり入ってヘルシーそうなボウルもあれば、汁が黄色くてスパイシーな香りがするもの、そしてなぜか砕いたインスタントラーメンが入っているボウルもあった。

 

 この三つを全て混ぜたらカオスになりそうだが、それぞれ別々に調理するのなら、そうおかしな味にならないであろう組み合わせなので、不安は当初より大きくはならない。

 しかしどう調理するのかが未だによくわからないので、レオリオとゼブロの小さな不安は消えないまま微妙に困惑した顔で、お互い顔を見合わせて首を傾げた。

 

 クラピカも初めから困惑しながら首を傾げたり、具材の入ったボウルを持ってみたりしながら、口を開く。

 

「というか、『オコノミヤキ』とは違うのか?」

 

 どうやら彼だけ、困惑の理由が違っていたらしい。

 クラピカの困惑は3年前、共に過ごした一月という短い期間で、ソラが料理できる機会はほとんどなかったが、その数少ない機会で作ってもらった料理と具材が良く似ていることに気付き、しかしソラが別名で呼んでいることが気になっての困惑だった。

 

「あぁ、違うとは言い難いけど同じではないね。お好み焼きの前世がこのもんじゃ焼きだと思っていればいいよ」

「待て、余計に謎が増した」

 

 クラピカの問いにソラもお好み焼きを作ったことを思い出したのか、懐かしそうに笑いながら答えるとと、ラピカが即座に突っ込んだ。

「親戚みたいなもの」と言われたら、カレーとハヤシライスのようなものかと思って勝手に納得したが、まさか「前世」が来るとは思わず、クラピカだけではなくレオリオ達もまた更に困惑させる。

 

 しかしここまで謎が謎を呼ぶ発言をされても、全く不安を抱かず、未知に対して純粋にワクワクできるハンターの見本がこの場にいた。

 

「ねえねえ、ソラ! これは今から作るの? 俺が作ってみてもいい?」

 

 具たくさんのボウルとホットプレート、そしてソラを交互に見ながらキラキラと輝く目でゴンは、ヘラを片手に尋ねる。

 左腕の骨折は完治したばかりだが、元々歳や見かけに反した腕力があったのと、骨折したままでもこの山小屋で1週間も生活をしたら、山小屋内で最低限ほどの重さしかないヘラはそう負担でもないので、ゴンは食欲と好奇心のままにソラに頼み、ソラは微笑ましそうに笑ってから答える。

 

「はいはい。でもこれは別に作るの難しくないけどちょっとコツがいるから、まず最初は見てなさい。二回目からは皆手伝って」

「? 焼くだけじゃないの?」

 

 ソラの答えにゴンが意外そうな顔をして尋ね返す。クラピカも同じ顔をしていた。

 彼の記憶にある「オコノミヤキ」は、ボウルに具材を入れて混ぜたら、あとはホットケーキのように焼くだけだったので、同じ作り方だと思っていたようだ。

 

「お好み焼きだとそれでいいんだけど、もんじゃ焼きはお好み焼きより水っぽいから、まずは具をある程度炒めちゃうんだ」

 

 クラピカの思っていることに気付いたのか、ソラはもんじゃ焼きの来世と語った食べ物を引き合いに出して説明しながら、器用に汁をほとんどボウルに残して具材のみを熱した鉄板にまずは投下する。

 

「まず一品目は、海鮮もんじゃ。出汁は塩ベースであっさりめ。海鮮と野菜たっぷりでヘルシーに仕上げてみましたー」

「それはありがたいですね」

 

 ついでに何味のもんじゃかを説明すれば、ゼブロが嬉しげな声で答える。仕事柄、同世代とは比べ物にならぬほどの体力とそれに比例する食欲があるが、さすがに年が年なので、あまり脂っこいものや濃い味のものは好まない。

 逆に人生で一番食欲旺盛な時期真っ只中の3人は、さすがに作ってもらう立場で言葉や態度に表わすほど無礼ではないが、若干テンションが落ちた。

 

 しかしソラも、彼らからしたら物足りないことくらいわかっていたのだろう。

「残り二つは豚肉カレーと、明太チーズだよ」と、若者が喜びそうなややジャンクこってり系であることを告げると、レオリオとゴンの目が明らかに輝く。

 

 その様子を微笑ましそうに笑って眺めながらも、ソラはヘラで具材を刻みながら炒める。

 小エビが紅白に染まって丸まってきた頃、ソラは刻みながら混ぜて炒めるのをやめて、説明しながらヘラで具材を鉄板の中央にかき集める。

 

「こんな感じである程度火が通ったら、具をドーナツ状にする。で、この中央にボウルに残った汁を注ぎ込む。水っぽいからこうやって土手を作らないと、鉄板全体に流れちゃうんだよね」

 

 器用に丸く集めた具材の中心に穴を作ってソラは、ボウルに残っていた出汁を注ぎ込む。このあたりが「難しくないけどコツがいる」と言った部分なのだろうと、全員が納得しながらもはや無言で、彼らはホットプレートを見つめている。

 

 一品目があっさりヘルシー系だったので、ゴン達食べ盛り3人からしたらさほどテンションが上がるものではなかったが、鉄板で焼かれる野菜や海鮮、出汁の匂いが鼻から胃を直接、食欲で刺激されているのが良くわかる。

 そんな彼らを焦らすように、具材の土手の中央に溜まる生地はプツプツと、小さな気泡を浮かばせては弾ける。

 

「生地にとろみが出てきたら、土手を崩して具が均等になるように混ぜて鉄板全体に伸ばす」

 言いながらソラがヘラで実際に、鉄板全体に出汁と具が混ざった生地を広げる。薄く広がった生地はさらに熱を通しやすくなって、表面に出てくる気泡は大きくなる。

 

 いつしか抱いていた不安も困惑もすっかり全員が忘れ去り、完成はまだかまだかと待ちわびていたら、ソラがテーブルの端に置いてあった、自分が使っている物より二回りは小さい木製の歪なヘラを、それぞれ人数分差し出した。

 

「はい」

『?』

 

 全員が不思議そうな顔をしてソラを見た。

 これでひっくり返せと言うにはあまりにヘラが小さいし、そもそも鉄板全体に薄く生地を広げてしまっているので、これはもうひっくり返せないことにも今更気付く。

 なら、もう一回混ぜるのか? と誰かが尋ねる前にソラは、こともなげに言い切った。

 

「もう完成だから、それ使って鉄板からそぎ落として各自食べて」

『えっ!?』

 

 思わず全員が声を上げて、鉄板のうえの『モンジャヤキ』を二度見する。

 まだ半生にしか見えないそれに、クラピカが「ちょっと待て、これで完成か!? もう一工程くらいないのか!?」と突っ込むが、ソラは真顔で「ない」と即答した。

 

「鉄製のヘラの方がそぎ取りやすいけど、熱がダイレクトにヘラに伝わって、舌とか唇を火傷しそうだから、これのほうがいいよ。頑張って昨日削ったから、形や大きさがちょっと不揃いなのはご愛嬌ってことで」

「お前が作ったのかよ!」

「ソラさん、何してるんですか!?」

「昨日ナイフで何かゴソゴソしているなと思ってたけど、これ作ってたの!?」

「暇なのか!?」

 

 ソラの即答にさすがのゴンも含めて全員が絶句しているのを気にせず、ソラは突っ込みどころが満載すぎて、実際に全員から突っ込まれる発言をしながら、自分も木製のヘラに持ち替えて、半生にしか見えない生地を鉄板からそぎ落としながら、平然と食べる。

 

 それを見て、全員が中腰になって手を伸ばして止めかけた。

 食品の保存や衛生管理に関しての技術は、ソラのいた世界と同じくらいこちらも発展しているのだが、同じく理屈の上では平気だとわかっていても、生ものや生に近い食べ物を忌避する国や人は、ソラの世界と同等程度に多い。

 むしろ、卵も魚も昔から生で普通に食べる日本が少数派である。

 なので、ゴン達にとって生もの・半生は美味いまずい以前に、腹を壊すものというイメージが強かった。

 

 しかし、そのイメージは一瞬で粉砕された。

 ソラがヘラで削いで海鮮もんじゃを口に含んだ瞬間、彼女は至福と言わんばかりに顔を綻ばせる。

 

 暗殺一家の跡取りがドン引きするレベルでろくでもない家だったが、金のかかる宝石魔術を何代も研究・研鑽するだけあって、由緒正しい資産家のお嬢様だったからか、普段の言動に反して食事作法が綺麗なソラは、口に食べ物を入れたまましゃべることはない。

 かなり小さな一口だったのによく噛むので、飲み込むまで少し時間が掛かったが、その間中無言で「美味しい」を表現する笑顔に、全員がやられた。百万言を尽くして語るよりも、説得力がある笑顔だった。

 

 真っ先に行動に移したのは、もちろん未知を探求するハンターの資質たっぷりなゴン。

 ソラがしていたように、ヘラを使って鉄板の上の生地をシチューを飲むように掬うのではなく、ぎゅっとヘラで生地を押さえつけてから鉄板に面してやや焦げた部分ごと削ぎ落して、そのまま口へと一直線に運ぶ。

 

「!? れおひお! くりゃひか! せふろさん! これおいひい!!」

 

 口の中にまだもんじゃは入っているのと、それがかなり熱いのが合わさって、ゴンははふはふと熱を逃がしながらもヘラを持っていない手を振って、他の3人に舌が回らない子供のようなたどたどしい言葉で伝えた。

 

 シチューやスープの類でもないのに、エビや貝などの海鮮のうまみを野菜や生地がたっぷり吸っているので、一口で口全体に海の味が広がるだけでもゴンにとっては新鮮な食べ物なのに、彼が特に美味しい、そして「面白い」と思ったのは、食感と歯ごたえ。

 魚介類のそれぞれ違うプリプリとした歯ごたえ、野菜はまだ生に近くてしゃきしゃきしたものと火が通ってしんなりしたものが入り混じっているだけでも、自分の知っている食べ物の中ではありえないのに、半生で大丈夫か不安だった生地はトロリとしたシチューに近い滑らかさと、鉄板に接していたおこげの香ばしいカリカリ感という矛盾を見事に両立させて、それがまさに絶妙。

 

 味といい食感といい、そして出来上がりを自分で取り分けるのとは違い、まだ作っている真っ最中をそのまま食べるという行為があまりに新鮮で、ゴンはそれを「面白い」と感じながら、もう一度手を伸ばしてもんじゃ焼きを食べる。

 今度は先ほどよりも大きく、そぎ取った。

 

 ソラと同じように至福と言わんばかりの顔になって、純粋にもんじゃの美味さを共有したくて主張したゴンに、「行儀が悪い」と叱責する者はいなかった。

 残った三人も無言で、ヘラでもんじゃを鉄板からそぎ落として口に運ぶ。

 

「あふぃっ! けど、なんひゃこりゃ!? ふめぇ!!」

 ゴンと同じように、もんじゃの熱さで舌が回らなくなっているのをお構いなしにレオリオは、様々な食感が入り混じるのに決してそれらが喧嘩を起こさず調和していることに驚愕しながら、ゴンと競うようにもんじゃを食べ続ける。

 

 ゼブロとクラピカはさすがに口に物を入れたまましゃべることはなかった、二人も一口食べた瞬間、ゴンと全く同じように目を見開いた。

 生に近い生地への抵抗が抜けきらなかったのか、二人はホットプレートの端の良く焼けた部分を食べてみたが、完全に水分を失ってパリパリになった生地はスナック菓子に近く、シチューのように一口で全身に熱が伝わるようなものではないが、これはこれで口の中に熱がこもらず、そして歯ごたえがあって十分に美味い。

 

 全員が最低一口は食べたのを見て、ソラはドヤ顔で尋ねる。

 

「美味しい?」

 

 全員が無言だったが、その答えはわかりきっていた。

 何故なら答えられないのは、全員が口の中でアツアツのもんじゃと格闘してる真っ最中だったのだから。

 

 

 

 * * *

 

 

 

(豚汁)

 

 根菜を主流とした野菜、豚肉、そして大豆を発酵させて作る「味噌」という調味料で煮込まれたスープの匂い。

 食欲を刺激させるいい匂いだとは思うが、野菜や豚肉はともかく、味噌などクラピカにとっては馴染みなんてまったくないもののはずなのに、その匂いを嗅いだ瞬間、何故かひどく懐かしいと思ってしまった。

 

 それは、山小屋の台所で鍋をお玉でかき混ぜるソラの後ろ姿に、自分の母の面影を見たからかもしれない。

 

 * * *

 

 筋力と体力づくりの一環で、重りを付けたままクラピカ達3人は特に何もすることがなければ、山小屋から試しの門まで往復のマラソンをよくしている。

 今日も3往復ほどしたのはいいが、レオリオが1の扉を一人で開けられたことで調子に乗ったのか、ペース配分を間違えて山小屋前でぶっ倒れた。

 

 ただ単に疲れただけなのと山小屋まであと10メートルもない距離で倒れたので、ほっとけばそのうち回復して自力で戻ってくるだろうと思いつつ、ゴンが心配して介抱しているのに自分は何もしないのは気まずいので、水でも持って行ってやるかと思って台所に来て、見かけたのがソラの後ろ姿。

 

 クラピカが戻ってきていることに気付いていないのか、彼女は歌いながら鍋をかき混ぜていた。

 いや、正確に言うと歌ではない。

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。

 閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)――」

 

 クラピカは歌だと認識しているが、ソラが鼻歌のように口ずさんでいるのは呪文、……それも聖杯戦争でのサーヴァント召喚のものだ。この女、何を召喚する気だ?

 

 本人的にも意味などないのだろうが、もし仮にこれでサーヴァントが召喚されるならば、いったいどんな英霊が召喚されるかが気になる所である。

 おそらく本命は対宴宝具という、特殊すぎる宝具持ちのお米大好きなアーチャー、対抗馬が旦那の胃袋をわし掴んで逃げられないように囲い込むことを虎視眈々と狙う、肉食系良妻キャスター&バーサーカーあたりだろう。

 

 とりあえず十中八九、日本出身の英霊に間違いないだろうが、もしかしたらソラに和食を叩きこんだのは衛宮 士郎なので、例外として彼に胃袋を掴まれた騎士王が、妖精郷から来る可能性もあり得るのがちょっと怖い。

 

 幸いながらみそ汁を作っている鍋は聖杯じゃないので、当然何も召喚されることはなく、そしてクラピカも満載な突っ込みどころに気付くことはなく、ただ黙って彼は機嫌良さそうに詠唱を続けながら、中身をお玉で混ぜ続けるソラの背をしばらく眺めた。

 

 歌いながら夕飯を作る女性の背中という光景に、言葉にできない程の懐かしさを、4年前に失った母親の面影を重ね合わせて、ただ見ていた。

 ……しかし、それは長くは続かなかった。

 

 ソラに母の面影を見ている自分が、無性に気に入らなかった。

「弟」として扱われること、守って庇われてる立場が気に入らないくせに、それ以上に自分が彼女に甘えているように感じて、自分で自分自身を殺したい気分になる。

 

「…………バカか、私は」

「? あ、クラピカおかえり。っていうか、クラピカだけ? 二人はどうしたの?」

 

 クラピカの呟いた声は聞こえたが、その呟きが自嘲の言葉であったことには気付かず、ソラは振り返り、彼一人だけであることに疑問を持つ。

 

「レオリオがペース配分を間違えて、山小屋前で倒れたから水でも持って行ってやろうかと思ってな。ゴンはレオリオの介抱をしている」

 ソラの問いに答えながら、クラピカは食器棚から適当に20キロの湯飲みを取り出して、蛇口で水をくむ。

 

「何してんだか、あいつは……。クラピカ、寒かったでしょ? それ持ってく前に、ちょっと味見する?」

 彼の答えに呆れたような感想を呟いてから、ソラはお玉を持ち上げて尋ねる。

 その柔らかな笑みと言葉に、また記憶が蘇る。

 

 寒い時期に外で遊んで鼻や頬を真っ赤にさせて帰ってきたら、夕飯を作っていた母親が同じように笑って「寒かったでしょ?」と言いながら、スープやシチューを味見と称して夕飯前に少しだけ食べさせてくれた。

 

 八つ当たりでしかない、全く意味のない意地で「いらない」という反感が一瞬浮かんだが、クラピカの答えより先に、湯呑と同じく20キロあるマグカップへ味見にしては多すぎる量を注ぎ込み、スプーンもつけて渡されたら、八つ当たりも意地も反感も溶けるようになくなってしまう。

 つい先ほど自殺したい気分になっておきながら、どうしようもなくそこにある面影に縋り付くように、クラピカは湯呑を調理台に置いてから、マグカップを手に取った。

 

 もはや普通のマグカップと同じくらい軽々と扱えるようになってはいたが、さすがに中身がかなり熱いので注意して持ちながら、スプーンで中身を掬って一口食べてみる。

 

 さほど長くは煮込んでいないのか、芋が溶けずに原型が残っている。

 しかしどの野菜もたっぷりと出汁を吸って柔らかくなっており、根菜類は口の中でほろりと形崩れ、ネギやもやしの類は噛みしめれば噛みしめるほどに、野菜の味と吸った出汁のうまみを口の中に広げる。

 長時間煮込んで、具材のほとんどを溶かしたようなシチューやスープの類も普通に美味いが、食べ盛りと言える年齢のクラピカからしたら、具材の原型が残っている方が、食べた実感が持てていいと思った。

 

 野菜の割に肉が少ないが、その肉の脂身が溶けて、塩気の強い味噌に甘みを加えている。

 肉が多ければきっと塩気をまろやかにさせる甘みではなく、ただ胃もたれするだけになるのは想像がついたので、肉の量はこれくらいが適切なのだろう。

 

 味噌汁は、ソラがここに滞在して料理をするようになってからよく作るので何度も食べてきたが、この豚汁は初めて食べる物だった。

 ……間違いなく生まれて初めて食べるものなのに、狂おしいほどの懐かしさばかりがこみあげてくるものだった。

 目頭に感じた熱を、緩みかけた涙腺を何とかねじ伏せて締め直し、真顔無言で豚汁を食べるクラピカを、ソラは「え? もしかしてまずい?」と思ってそうな顔で様子を見ているので、彼は目を伏せて伝える。

 

「……とても、美味いな。それに、何故か懐かしい」

「懐かしい?」

 

 クラピカの感想に前半は安堵したように笑ったが、後半で不思議そうに首を傾げる。

 

「クルタ族にも味噌に近い調味料とかあったの?」

 傾げながら、さらりと普通なら思っても訊きにくそうなことをあっさりと尋ねる。

 しかしクラピカとしては、無遠慮で無神経な好奇心をむき出しに、根掘り葉掘り自分の過去やクルタ族のことを訊かれるのは論外だが、この程度のことで神経質に気を使われ、疑問に思いつつも尋ねずに腫れ物対応される方が不快だったので、相手がソラであったのを抜いても気にしなかった。

 

 むしろ今は語りたい、吐き出してしまいたい気分だったのかもしれない。

 

「いや、味そのものは初めて食べる物で新鮮なのだが、……こじつけのようだが、このように少しの肉と多くの野菜のスープを母が良く作っていたからかもしれないな」

「あぁ、たぶんそれ作ってたの私と同じ理由だよ。半端に余った野菜の処理に良いメニューだからね、これ」

「……身も蓋もないな」

 

 少し考えて出た「懐かしさ」の正体を語れば、ソラも納得したような声を上げてから笑って、本当に身も蓋もない答えを返され、クラピカが何とも言えない微妙な目でソラを睨む。

 しかし実際、ソラの言う通りだろう。よくよく思い返せば母親が作っていたスープは、定番メニューの割に中身の野菜の種類は毎回変わっていたし、その量もまちまちだった。

 

 そんな母親の主婦の知恵だった、もう自分の記憶の中にしかない日常そのものだった味を思い出し、また何とも言えない気分になって、涙腺が再び緩みかけた。

 緩んだ涙腺からにじみ出た、視界を曇らす涙の膜を隠すように、少し冷めた豚汁をスプーンで掬うのではなく、マグカップに口つけて飲む。

 

 母の面影を、懐かしさを泣きたくなるくらいにクラピカに与えるくせに、やはり味そのものはさほど似ていないどころか別物に等しいのが、理不尽な八つ当たりであると思いながらも、ひどく悲しかった。

 

 その悲しさが、浮かび上がらせる。

 涙は努力のおかげで零れ落ちなかったが、代わりに胸の奥で小さく燻る思いが、後悔がほろりと言葉となって零れ落ちる。

 

「……クルタでは料理は女性の役目で、台所に立ったことがない男など珍しくなかった」

 

 唐突に始まった話だが、ソラは何も言わなかった。

「何の話?」と尋ねて話の腰を折ることはもちろん、「それで?」と先を促す相槌も打たず、聞いているのかどうかも怪しいほどに無言だった。

 まるでいつでもクラピカが話したくなくなったらやめれるように、この話をしたこと自体をなかったことに出来るように、そんな風に思えるほどただ黙っていた。

 

 甘えたくないと思いながらも結局甘えてしまう自分にまた自嘲しながらも、浮かび上がってきた後悔をクラピカは吐き出す。吐き出さないとそれこそ泣いてしまいそうな気がしたから、涙の代わりに彼は懺悔するように言葉を続けた。

 

「別に男尊女卑の意図はない。ただ単にほとんど自給自足で成り立っていた集落だから、男は狩りや農耕などの力仕事を担当するから、女性は家を守るという役割分担程度の認識で、少なくとも私にはそれを不満に思っている者は、いないように見えた。

 家族や連れ合いを亡くした者がいても、村全体で助け合うのが当然だから、破綻などしなかった。

 ……だから、私は料理をしたことがなかった。自分でしようという発想もなかった。野菜の皮むき程度の手伝いならしていたが、母の具合が悪く寝込んでしまえば、自分で作ることはせず、隣近所に頼んでいたし、周りも同じだった。

 …………だから、気付くのに随分と時間が掛かってしまったよ」

 

 マグカップに残った豚汁をスプーンでかき混ぜながら、クラピカは笑って言った。

 あまりの自分の愚かさに、本当に笑えてきたから笑った。

 今にも泣き出しそうな歪な笑みで、彼は後悔を吐き出した。

 

「……4年前に失ったはずのものは……、母の味の料理というものは、……私が料理出来たら、少しでも母が料理している所を良く見て、覚えていたら……全く同じでなくても、再現できたのだな」

 

 気付いたのは、2次試験。料理の試験で、生まれて初めて作った自分の料理のあまりのひどさ、そして知識や技術のなさに愕然としながら、気付いてしまった。

 クラピカには定住地がないため、故郷を失ってからも彼に自炊する機会は、あの2次試験までなかった。「料理は女性がするもの」という固定観念が、良い目くらましになってくれていた。

 

 何度も何度も、4年前から何度も願い続けた、「母が作ったものを食べたい」という幼い望み。望みながらも、それは「同胞たちに会いたい」という願いと同じくらいありえないものだと思って、諦めていた。

 この諦めが、救いだったことに気付いてしまった。

 

 マグカップに残った豚汁の具材を眺めて、母親のスープを思い出す。

 具材なら、思い出せる。毎回具材は微妙に違っていたし、外には流通していない森特有の山菜やきのこなども多く使用されていたので、手に入れるのは間違いなく困難だが、不可能ではない。

 

 けれど、それからどうすればいいかが、クラピカにはわからない。

 野菜はただ皮をむいて刻んで煮ればいいのか、それとも事前に炒めるなり灰汁抜きするなりの下準備が必要なのかすら、クラピカは知らない。

 

 味付けに関しては、完全に論外。

 味は今でも覚えているのに、いくら考えても記憶を探っても、どんな調味料をどれくらい使っていたかなど、クラピカには全く分からないし、思い出せない。

 母親が野菜や肉を刻んで、鍋に水と一緒に入れて煮れば、自然にあのスープになるとさえ無意識に思っていた。

 

 ……いっそ、ずっとそんな愚かな思い込みをしておきたかった。

 可能性があるなんて、知りたくなかった。

 逆恨みであることはわかっているが、ここまで懐かしさを感じさせるものを作ったソラに、可能性があったのに自分の手では絶望的だと気付かせて思い知らされた2次試験に、そしてクラピカ自身も含めた、一族全体で得られたはずの可能性を断絶されたことに対して、理不尽な感情を懐いてしまう。

 

 さすがに怒りや恨みはない。ただこれは、それが理不尽だと思えるほど冷静だからではない。そんな強い感情を懐けるほどの気力がないだけだ。

 

 胸の内で燻るのは、「どうして?」という本当にどうしようもないほど情けない、後悔と未練。

 

 胸の中はそんな情けないもので一杯なのに、なけなしのプライドが、意地が、ソラにだけはこれ以上そんなものを見せたくない、見て欲しくないと叫んで、だいぶ冷めてしまった豚汁の中身を食べて飲み干し、自分の弱音ごと飲み込んだ。

 

「……すまない」

 

 自分の唐突な一人語りを、始まりと同じく唐突にクラピカは終わらせる。

 そしてソラはやはり、クラピカの話に関して何も口出ししなかった。

 質問を重ねて深入りしようとせず、だからと言って「気にしないでよ」とフォローするでもなく、彼女も彼女で唐突に言った。

 

「クラピカ。ありがとう」

 

 彼自身の謝罪も唐突だったが、ソラからの礼は輪にかけて唐突だったので、クラピカは呆気に取られる。ソラの言動はいつだって斜め上だからこそ、決して慣れることがないことをもう何度目かわからないが、改めて思い知らされる。

 

 泣き出しそうで歪な自嘲と自虐の笑みが、ポカンとした顔になったのをソラはおかしげに、そして嬉しそうに笑って眺めながら、言葉を続ける。

 

「私さ、和食は故郷の味だから好きだけど、一人だと作れないし食べれないんだ。

 ……ここにもよく似た文化の国があって、材料そろえるのはあんまり難しくないけどさ、やっぱり微妙に違うんだよね。ただでさえ縦に長い島国だから、地方によって調味料とかの味が結構違ったりするから、私の知る私の好きな私の故郷の正確な味を再現するのは難しいもんだね。

 

 だからさ、独りで和食を作ったり食べたりすると、さすがにすごく寂しかったんだ。ものすごく懐かしくって、向こうの世界で料理を教えてくれたり、一緒に食べた人たちの事を鮮明に、湯水のように思い出させるのにさ、同じじゃないんだよ。微妙にだけど、私にとっては決定的に違う味が、私が今いる世界はどこかを思い知らせて、あの人たちはもういない、会えないって事実を突き付けるんだ」

 

 笑いながら語られた話で、クラピカは数秒前の自分がした話をさっそく後悔する。罪悪感がいくつも胸を刺し貫く。

 本当に料理をしないし出来ない、何の知識もない自分が嫌で仕方なかった。これも考えればすぐに思い至れたことなのに、勝手に思い込んで信じ込んでいた。

 

 ソラは元の世界に帰れなくてもいつだって、懐かしい故郷の味を自分で作り出せると思っていた。そのことを身勝手に羨んでいた。

 

 ……ソラの方があまりに残酷な現状であることになんて、気付かなかった。

 彼女自身の所為ではなく、世界が違うからこそ良く似ておりながら微妙に、けれど決定的に違うものしか作り出せないことなど、想像できなかった。

 

 クラピカ以上に諦めがつくほどこの世界は何もかも違っていて、故郷の味の再現など完全に不可能であった方がどれだけ救われるかは、体ごと心が引き裂かれたように痛むほど想像できるのに、肝心な彼女の孤独には何も思い至れなかった。

 

 なのに、あまりに無神経な弱音を吐いたはずなのに、それなのにソラは嬉しそうに笑って、クラピカに伝える。

「ありがとう」という感謝を、真っ直ぐに彼を見据えて。

 

「でもさ、君はもちろんゴンやレオリオ達みたいに、この世界で会った大好きな人たちと一緒に食べると、そういう感傷は全部吹っ飛ぶんだよ。

 あの人たちに会えないのは寂しいけど、あの人たちの代わりじゃない、代わりになり得ないほど大切な人を得たことを思い出して、寂しさなんてどっか行っちゃうし、和食を良く知らない皆が初め『これ、食い物か? 大丈夫か?』とか不安がってたのが一転して、美味しいって言ってもらえたらなんかすごく勝った! って気になれるし。

 

 ……だからさ、クラピカ。ありがとう。

 いつも美味しいって言ってくれて。私の作ったものを食べてくれて」

 

 この山小屋で料理担当になってからやたらと和食を良く作っていた理由と、何故か和食の中でも第一印象があまり良くないものを作っていた、あまり知りたくなかった理由までサラッとおどけて語ったソラに、いつものごとくクラピカは何も言えなくなる。

 

 クラピカの語った話にソラは、何も触れなかった。彼自身が望むように、まるで初めからそんな話をしていなかったような態度を取るくせに、クラピカの吐き出した甘えも弱音もなかったことにして、無視してはくれない。

 どんなにわかりにくくても、どんなに小さくて些細なものであっても、全部いつだって見つけて拾い上げて救ってくれる。

 ソラからもらってばかりで何も返してやれない無力な自分なのに、無力ではない、価値はあると言ってくれる。

 

 まさしく母親のような優しさと救いに、先ほどまでとはまた別の意味で涙腺を緩ませにかかるソラに、クラピカは何も言えなかった。

 自分も「ありがとう」と礼を言ってしまうと、ソラがなかったことにしてくれた自分の話を蒸し返してしまう。彼女の気遣いを無駄にするのが嫌で、けれど他にどんな反応を返せばいいかがわからずに結局、もう空になっているマグカップを呷って顔を隠す。

 

 ソラはそんな、相変わらず素直さが全くないからこそ逆にわかりやすいクラピカの不器用さを微笑ましそうに笑って眺めながら、声を掛ける。

「おかわりいる?」

 

「……味見におかわりがあるか」

 

 本当に言いたいことなど口にしなくてもお見通しと言わんばかりに笑うソラを、クラピカは少し呆れたように言い返す。

 

 ……後悔と未練は、未だに燻り続けている。

 いつかは消えるかもしれないが、それはまだまだ先であることだけはわかる。

 

 それでも、少しだけ自分を俯かせ続けたものは軽くなり、顔を上げて前を向けるようになったクラピカは笑う。

 ソラほど晴れやかな笑みではないのはわかっているが、先ほどの歪な笑みではなく、ちゃんと笑みらしい笑みだろう。

 

 料理を学ぼうと思った。

 2次試験で気づき、思い知らされてなおさら縁遠くなりそうだったものに向き合おうと決めた。

 自分の腕では、記憶の母の味、日常の味を再現するには数十年でも希望的観測な数値であることなどわかっている。

 再現できない可能性の方が高い。既に覚えているつもりが、実は思い出補正で美化している可能性の方が高いことだってわかっているのだから。

 

 けれど、それでも……、再現できなくても自分が「美味い」と思える物を作れたら、そしてそれをこの眼の前で笑っている彼女が口にして、同じ笑顔で「美味しい」と言ってくれたら……、きっと燻る後悔と未練は消火されて、「思い出」に昇華されるような気がした。

 

 少なくとも、今はもう「料理」という単語で思い浮かぶのは、「自分では再現できない」という絶望ではない。

 未来を夢見ることが出来る。いつか思い出になる光景を、描くことが出来る。

 

 それが本心から楽しみだったから、クラピカは笑ってソラにマグカップを差し出した。

 

 * * *

 

 クラピカがマグカップをソラに渡すと同時に、「お前ら何してんだ?」と声を掛けられた。

 

 声がした方に二人が振り向くと、ゴンが「あ、クラピカだけずるい!」と少しだけ頬を膨らませてソラに駆け寄り、レオリオが苦虫を噛み潰したような、砂糖を一袋一気に食べたような、何とも言えない顔をしてクラピカに、「お前、水持って来てくれるんじゃなかったのかよ?」と尋ねる。

 

 レオリオとしては「何お前らいつものごとくいちゃついてるんだよ、爆散しろ」という意味合いの嫌味だったのだが、問われたクラピカは素のきょとん顔になってから、レオリオと調理台に自分で置いた湯呑を交互に見て、堂々と返答する。

 

「すまない、すっかり忘れていた」

「こういう時だけあさっての方向の素直さを発揮すんな!」

 

 本当に何故かこういう所だけ、血が繋がっていないのが不思議なくらいソラとよく似た斜め上なクラピカの言動にレオリオが突っ込み、ソラとゴンが腹を抱えて笑った。





やたらと更新が遅れてごめんなさい。

前回の話を更新した直後に胃腸炎+それで休んだ分の仕事で忙しかった+前から予定してた私事で時間が取れない+私事が終わった直後にまた風邪ひいたという、奇跡的なまでに色々重なって本当に続きを書く暇がありませんでした。私が何をしたというんだ。

あと、前回の話からすぐに原作のカナリアのあたりにするつもりで途中までは隙を見つけて書いてたんですが、なんかいきなり前回と雰囲気が変わりすぎるなと思い、急遽主人公組でほのぼの系&しんみり系の小噺を入れて雰囲気をシフトさせようと考えついて実行したというのも、遅れた要因ですね。

個人的に何故か、食べ物の描写が上手い作品はいい作品という持論がありますので、タイトル通り飯テロになってたらいいなぁ。

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