死にたくない私の悪あがき   作:淵深 真夜

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天空闘技場編
57:天空闘技場にて


「キルアー、やっとソラが来てくれるんだからいい加減、機嫌直したら?」

「初めから悪くねぇよ! 悪かったとしても、あいつは関係ねーよ! どーせあいつも、俺達よりクラピカが大好きなんだろうしな!!」

 

 自分の言葉に咬みつくような全く説得力のない、全力で拗ねている発言をする友人に、ゴンは深々と溜息をついた。

 ただでさえソラが自分の師匠に試験の結果報告に行って、その後はすぐに自分たちの元に来てくれるかと思っていたのに、厄介な仕事を任されて、その仕事そのものはともかく後片付けに一か月近くかかるという事実に凹んでいたところで、さらにそれが先延ばしになれば、腹が立つ気持ちはゴンにもわかる。

 

 しかし、キルアの怒りは完全に八つ当たりの嫉妬になっているので、ソラの為にも、そしてキルア自身の為にも少しは何とかできないものかと思い、ゴンはフォローの言葉を健気に続ける。

 

「そんなことないよ。たまたまクラピカの誕生日が近かったのと、クラピカとの約束があったからそれを守ろうとしただけだよ。

 ソラも電話で、キルアの誕生日には星を見ようって言ってくれてたじゃん。キルアの誕生日が近かったら、クラピカよりもキルアを優先してくれてたはずだよ」

 

 しかし、素直ではないが楽しみに楽しみにしていたことを、ややライバル視している相手を優先して先延ばしにされたことで、だいぶやさぐれているキルアにはゴンの言葉も効果がない。

 

「……三か月も先の話じゃねーか。いいよな、お前は一か月後で」

「あぁ、もう。俺にまで八つ当たりしないでよ……」

 

 しまいには5月生まれで自分より先にソラに祝ってもらえるゴンにかなり理不尽な文句をつけ、さすがのゴンも呆れて疲れたような声を出した。

 諦めることを知らないのが最大の欠点であり、同時に強みでもあるはずのゴンでさえ、キルアのふてくされ具合には匙を投げて、早くソラが来ないかなぁと思い始める。

 

 そんなタイミングで、いきなり少年二人は後ろから抱きしめられた。

 

「キルア! ゴン! 久しぶり!! 会いたかったよ!!」

 

 天空闘技場の入り口前で待っていたはずなのに、いつのまに闘技場内に入っていた、相も変わらず自由奔放で予測不可能な行動ばかりする人が、この上なく嬉しそうな声で力いっぱい二人を抱きしめた。

 

 * * *

 

「ソラ!」

「!? おまっ、いつのまに!?」

「あはは、ごめんごめん。予定より早く着いちゃって、待ち合わせの時間までちょっと中をウロウロしてたんだ」

 

 ソラに抱きしめられたまま二人が顔だけ後ろに向けると、ソラはいつものように晴れやかな笑顔で答える。

 いつも通りゴンの知る記憶通りのソラだが、一瞬知らない人のように見えてドキッとしたのは、ソラの髪が自分達と別れた頃よりも伸びて、肩を少し超えるセミロングになっていたからだろう。

 

 男か女かよくわからない、どちらにも見える稀有な美人であることは初めて会った時からよくわかっていたが、ソラはどうも髪が長ければはっきり女性だとわかるタイプであったことをゴンは思い知る。

 キルアも同じように思い知り、そしてこちらはゴン以上に衝撃的だったのか、ソラに会えばマシンガントークで出ると思っていた文句が出てこず、ただポカンとソラを見ながら大人しく抱きしめられていた。

 

 そんなキルアを横目に見て、ホッとするやら再起動した時がまた大変そうやらと思いつつ、とりあえずキルアは横に置いといてゴンはソラに抱きしめられたまま会話を続ける。

 

「そうなんだ。けど、それなら連絡をくれたら良かったのに。俺達ここの個室をもらえてるから、連絡してくれたらすぐに来れたし」

「うん、そうなんだけど連絡する前にちょっと気になるものを見つけちゃって……」

「気になるもの? 何を見つけたの? ……もしかして、ヒソカにでも会った?」

「あいつを見つけたんなら、君達に悪いけど私は全力で逃げるよ! っていうか、あいつ私が来ること知らないよね!?」

「そりゃそうだよね。……ソラが来ることは言ってないけど、ヒソカは絶対にソラも来ると思ってるんじゃないかな?」

「……って、いつまでお前はしがみついてんだよ!! ゴンもそのまま、和やかに会話してんじゃねーよ!!」

 

 だいぶ経ってから、キルアが再起動を果たしてゴンの予想通り面倒なことになった。

 やっとソラに会えて嬉しいやら、けどなかなか会いに来なかったことがムカつくやら、いつまでも自分を抱きしめていることが恥ずかしいやらで爆発したキルアが叫び、ソラの腕から離れようとして暴れるが、意外なことにソラはキルアだけではなくゴンもさらに強く抱きしめて二人を逃がさなかった。

 

 スキンシップが良くも悪くも激しい人であることはゴンもキルアもよく知っているが、嫌がっている相手にしつこくするような人でもないことも良く知っているので、ゴンだけではなく爆発したはずのキルアも一瞬戸惑うが、ソラは何故か目を逸らして、「……ごめん、ちょっと心の準備ができるまでもうちょいこのままで」とこれまた訳のわからないことを言い出した。

 

 意味不明なソラの要望に、もちろん色んな意味で余裕がないキルアが応えられる訳がない。

「意味わかんねーよ! ふざけんな!」と叫んで、彼は腕を振り回して無理やりソラの拘束から逃れて……またしてもフリーズしてしまった。

 

 ゴンも、ソラの拘束が緩んで離れて後ろを振り返り……ソラの姿を、全身をちゃんと見て、キルア程ではないが一瞬ポカンと目を丸くさせる。

 それぐらい、二人を抱きしめて自分の格好を頑なに見せようとしないソラの今日の服装は意外なものだった。

 

「ソラ! どうしたのその恰好!?」

 

 服装自体は、パーカーとショートパンツ。

 ソラといえばツナギのイメージが出来ていたが、それだけなら別に驚くようなものではない。特にショートパンツならツナギの下に着ていたので、「もう4月だし、ツナギじゃ暑いんだろう」ぐらいにしか思わないはずだった。

 

 問題なのは、意外なのはそのパーカーとショートパンツが、完全に、どっからどう見ても間違いなく女性ものだということ。

 

 パーカーは白とパステルピンクのボーダーで、これだけでも男は着ないであろう可愛らしいデザインだというのに、そのフードにはウサギの耳を模した飾りがついている。

 ショートパンツもソラがツナギの下に着用していたデニムのシンプルなものではなく、黒地で裾にピンクのフリルがついた可愛らしいものだった。

 

 さらによく見てみたら、ソラが履いている靴下はショートパンツとセットだったのか同じ色合いに同じデザインで裾にフリルがついたオーバーニーソックスであり、ソラのすらりとした長い脚と真っ白で柔らかそうな太ももを同時に強調して、見事な絶対領域を作りあげていた。

 

 そして足元は動きやすそうなスニーカーでも、攻撃にも防御にも良しな頑丈そうなブーツでもない。バックに大きめのリボンがついた、ヒールの高い可愛らしいブーティーである。

 

 いつもの男装と言っても過言ではない格好とは対極の、完全に、完璧に女性にしか見えない格好だった。

 ポップ&パンク気味の格好なので、さすがに美女と表現するには違和感があるが、ソラは性別だけではなく年齢も割と不詳、実年齢のプラマイ5,6歳なら違和感がないので、美少女となら誰も躊躇わずに言えるし文句もないだろう。あったとしたら、その人物の美的感覚は間違いなく世間一般の基準から外れたものだ。

 

「あ、あの……ちょっ……、に、似合わないのはわかってるからあんまり凝視しないで!!」

 

 そしてまさかの、本人がその例外だった。

 二人の反応にソラは顔を赤らめて叫ぶが、その叫びに対するゴンの正直な感想は「何でそうなるの?」だ。

 なのでもちろん、ゴンは真っ正直に素直な感想を口にする。

 

「そんなことないよ! すっごい可愛いし似合ってるよ!」

「いや、ないないない! 師匠が悪ノリして選んだだけだよ! いい年してこんな格好バカみたいじゃん!!」

 

 割と多くの女性にケンカを売っているも同然な自虐だが、ソラが女性らしさを忌避する、そしてそれを自覚できなかった理由を知るゴンは、なおさらソラの言葉を力強く否定する。

 

「だからそんなことないって! ソラって髪が長かったら全然男の人になんか見えないから、ものすごく似合ってて本当に可愛いよ!

 あ、そうだ! クラピカ! クラピカに見せようよ!! 髪が長いソラを見てみたいって言ってたし、クラピカも絶対に似合うし可愛いって言うよ!!」

「やめてお願い! クラピカにまで引かれたら私、マジで泣く! 立ち直れない!!」

「何でそうなるの!?」

 

 テンションが上がって、ソラが髪を伸ばすきっかけとなった人物の名を上げてみたら、ソラは半泣きになってゴンを止め、さすがにあんまりな被害妄想にゴンは突っ込む。

 が、ソラも根拠なく被害妄想を暴走させている訳ではなかった。

 

「だってキルアがさっきからずっと固まってんじゃん! 私、泣いていい!?」

 

 言われてゴンがキルアの方を見てみれば、ソラの言う通り、未だキルアはフリーズ中だった。

 しかし当然、ソラの格好が似合わな過ぎてドン引きで石化というのはソラの被害妄想である。というか、普段の洞察力はどこに行った? というレベルで見当外れだ。

 

 キルアのこともソラのことをよく知らない通りすがりでも、顔を赤らめて硬直しているキルアはどう見てもソラのイメチェンがクリティカルヒットでした、本当にありがとうございます状態であることがわかる。

 だが、肝心の本人が何もわかっておらず、本気で今にも泣きそうになっているのでゴンはキルアを揺さぶって再起動を促す。

 

「キルア! ほら、しっかりして! ソラの格好、変じゃないでしょ? すごく可愛いよね!」

 

 ゴンに揺さぶられて、そして目の前で涙目のソラにじっと見られて、フリーズが何とか解凍されたキルアは答える。

 

「……か、……かわ……っっ似合ってねーよ! バーカ!!」

「何でここでそんな意地を張るの!?」

 

 本音が出かけたが、ゴンからしたら意味が無いどころか逆効果にも程がある意地でその本音をねじ伏せてキルアは叫び、ゴンに怒られた。

 

「だよね! ありがとう!!」

「ソラも! 安心しない! お礼言ってどうすんの!?」

 

 しかしゴンのどストレートな「可愛い」連呼で羞恥の限界近くてテンパっていたからか、石化するほどドン引かれるくらいならはっきり「似合わない」と言ってほしかったからか、ソラは頓珍漢な返答をしてこちらもゴンに叱られた。

 

 * * *

 

 怪我の功名と言えばそうなのか、ソラが自分に会いに来てくれなくてふてくされていたキルアだが、ソラが予想外な格好で現れた衝撃と、何故かそんな恰好で来ておいて本気で恥ずかしがるのを見て、これ以上彼女を責める気がなくなったのか、無意味な意地で叫んでからはいつも通り冷静なキルアに戻っていた。

 

「……つーか、マジでお前何でそんな恰好してんだよ? 何? 罰ゲーム?」

 

 なので、天空闘技場の自分たちの部屋にソラを案内しながら、かなり根本的なことをジト目になって尋ねる。

 本心ではゴンと同じように似合っていると思っているので罰ゲームになっていないとも思っているが、フリーズ中でも話は聞いていたらしく、「師匠が選んだ」というセリフから想像した可能性を上げたら否定された。

 

「いや、気分的にはそうだけどそうじゃなくて……、話せば長くなるんだけど端的に言えば、これは変装」

「変装?」

「……まさか、ヒソカ対策か?」

 

 まだ恥ずかしげに顔を赤らめたまま俯き気味に答えたソラの言葉を、ゴンはオウム返し、キルアは一番ソラがここまで恥ずかしい恰好をしてまで、存在を気付かれたくない人物の名を上げる。

 が、当然違った。そりゃ普段のイメージと180度違う格好ではあるが、別に顔を隠している訳でも特徴的な白髪を隠している訳でもないのだから、近くで見たらばれるどころかよほど遠目からではないと誤魔化せないことくらい、本人も良くわかっていた。

 

「それも違うよ。……あいつが気づかないでスルーしてくれるんなら、そりゃこんな格好する甲斐があるけどね」

 

 そう言ってそこに込められた感情が質量化したら100キロ超えしそうなほど深い溜息をつきながら、ソラは説明する。

 

「私さ、2年くらい前までここの闘士だったんだよ」

「「え?」」

 

 地面を、天空闘技場を指さして答えられた言葉に、思わずキルアとゴンは二人して声を上げて目を丸くする。

 

「クラピカと別れて師匠に拾われてからの初めの1年くらいは、魔術を念寄りの技術にする修行とこっちの世界の常識を学ぶのに費やして、まぁこっちの世界でも生きていけるかなーっていうぐらいになったころに、ここでお金稼ぎもかねてまた約1年間実戦訓練してたんだよ。

 

 ……私さ、“念”を覚えて戦えるようになったのはいいけど、死にたくないもんだから誰が相手でも手加減がほとんどきかなくて最高に危なっかしい奴だったから、ここで手加減の修業をしてたんだよね。

 200階クラスならともかく、それ以下なら確実に私よりだいぶ格下で、“纏”を覚えてたら絶対に死にはしないから、毎回師匠が相手の実力に合わせて、『右腕を使うな』だの『“絶”で戦え』とかそういうハンデをつけられて戦わされて、それで相手の実力を見極める眼力と、その実力に合わせた手加減のし方をここで覚えたって訳」

 

 その説明でソラがここにいた理由に理解して、「あぁ、なるほど」とそれぞれ二人は納得の声を上げる。

 が、何故また天空闘技場にやって来たからと言って「変装」をしなくてはならないのか、その理由はさっぱりわからない。

 

「で? それが何でお前が変装する理由になるんだよ?」

 

 なのでキルアが尋ねて話を先に促すと、ソラは頭を抱えてまた深い溜息をついた。

 この女、本当にここで何をした? と若干不安になるキルアをしり目に、ソラは語る。

 何故か羞恥で赤らんでいた顔がいつの間にかやや青くさせて、えらく遠くの方を見ながら。

 

「……ちょっとね、自分で言うのもなんだけど私は優秀すぎる闘士だったんだよ。無敗とか無敵って訳じゃなかったけど、ここじゃ皆無って言っていい女性闘士だったから嫌でも注目が集まったってのもあるだろうけどね……、ちょっと有名になりすぎて……熱烈というか……厄介なファンがついちゃったんだ。

 観客とか闘士とか関係なくね……」

「……そ、それはなんというか……」

「お、お疲れ様?」

 

 ソラのやたらと遠くを見る眼で語られた話に、キルアもゴンもコメントに困る。

 どうやら彼女は2年前も現役で変態ホイホイだったらしい。二人相手だからか表現が優しいが、こんな青い顔で遠くを見て語るのならば、それは間違いなく「熱烈なファン」ではなく「ストーカー」レベルだったのだろう。

 

「……うん、ありがとう。

 とにかく、もう2年も前だから大半がいないと思うけど、それでも見つかったら厄介なことになりそうだから、一応イメージをだいぶ変えてみたって訳」

 

 その説明でようやく「変装」の理由が全部解明されたが、今度はソラの「変装」の最大の欠点に二人は同時に気付いた。

 

「……っていうか、そんな理由ならその格好は逆にヤバくないか?」

「そうだよ! ソラがそんな可愛い恰好してたら、もし危ないファンに見つかって気付かれたらソラが前よりも危ないよ!!」

 

 ソラの実力ならばただの観客ならもちろん、200階クラスの闘士でも大部分が雑魚だろうが、それでもストーカーにとって今のソラの姿は間違いなく魅力的すぎることは、ゴンはもちろんキルアも素直に認めて心配するが、ソラは二人の言葉に何故かさらに遠い目になった。

 その反応に二人が戸惑っていると、ソラはそんな二人の肩に手を置いて言う。

 

「……ゴン、キルア。よーく覚えておきなさい。

 …………この世で一番怖いのは女だ。恋する乙女、マジ怖い」

「「そっち!?」」

 

 まさかの、男ストーカー対策ではなく女ストーカー対策のための変装だった。

 

 よくよく話を聞いてみれば、当時のソラは手加減を学ぶ為なので直死を使わないようにする為、そして自分の眼が緋の眼のように色が変わる所を、不特定多数の人間に見られるのも動画に撮られるのも避けたかったので、試合中はもちろん闘技場内ではほとんど常にゴーグルを着用していたらしい。

 ただでさえ性別不詳なのに、そんな風に顔を隠されてたらもう性別は服装でしか判断できなくなるが、彼女のいつもの私服はほぼ男装だ。

 

 いつも通りのツナギとゴーグル姿のソラは、それはもう今現在のソラとは対極の凛々しくてミステリアスな闘士だったことは簡単に想像がついた。

 そんなソラが試合に出て、自分よりはるかに大柄で筋肉質な相手に無双すれば、確かに女だとわかっていてもときめくのは無理もない。

 

 むしろ顔を隠している所為で、想像力が掻きたてられて実は本当は男ではないかと期待させてしまったらしく、ソラは実に厄介なファンに悩まされたそうだ。

 

「……ヒソカみたいなマジキチ戦闘狂タイプにまとわりつかれたこともあったけど、一般人の女の方が厄介だったわー。いくら正真正銘の女でそっちのケもないって言っても話が通じないわ、この貧相な胸を見せたら散々女だって言ってたのに『騙したのね!』ってキレる奴はいい方だった。それで諦めてどっか行ってくれるから。

『それでもいい!』ってこっちが良くないのに受け入れ態勢に入られた時は、師匠にマジで泣きついたよ……。

 いやマジで、女って怖いよ。超怖い」

 

「お前も女だろうが」という突っ込みを、二人は入れることが出来なかった。

 それぐらい、ソラは本気で怯えて二人に女の怖さを忠告していたからだ。

 どうやらあそこまで恥ずかしがるぐらいの格好をしているのも、自分のストーカーだった女たちが描いたイメージである、「凛々しくてミステリアスな男性的なソラ」と対極の自分になれば、気付かれても失望してくれるだろうという期待で、このような変装を選んだようだ。

 

 しかし本人は「似合っていない」と思い込んでいるので、どうやら「女ストーカーは駆逐出来ても、今度は男のストーカーが出てくる」という可能性に気付いていないらしい。

 その可能性がゴンとキルアの杞憂でない証明に、先ほどからすれ違う闘士や観客、闘技場の男性スタッフが何人もソラをチラ見している。

 

 特に絶対領域がまぶしい太ももと、ぴっちりとした生地で見事にラインが露わになっている尻を二度見、三度見する輩が多く、またキルアの機嫌がじわじわと下降していった。

 

 * * *

 

 キルアの機嫌がまたどんどん悪くなっていくこととその理由を察したゴンが、また八つ当たりでソラに「似合ってない」とキルアが言い出さないように話を変えることにした。

 

「そう言えば、ここの闘士だったってことはソラは200階のことを初めから知ってたんだよね。

 何で俺たちが何も知らないまま、200階に行こうとしたのを止めなかったの?」

 

 変える為に出した話題は、約1か月前の出来事。

 ソラはほぼ毎日1回はこちらに電話をしてくれていたので、ゴン達が現在闘技場の何階クラスかは完全に把握していたというのに、“念”について何も知らないまま200階に行こうとしたゴン達に何も言わなかったことを、今更だが疑問だった。

 

 当時はソラも200階クラスの闘士が全員能力者だとは知らなかったと思っていたが、知っていたのなら彼女の性格からして絶対に止めるはずなのに、1か月前に「明日には200階に行けそうだよ!」と語ったゴンとキルアにソラが返した答えは「へぇ、そうなんだ。頑張って」だけだったことはよく覚えている。

 

 今、思い返してみればただの応援の言葉ではなく何か含むものがあったのだが、翌日になってすぐにゴンがウイングの忠告を破って大怪我を負い、そのことにキレたソラがゴンはもちろん、ゴンを強く止めなかったキルアにもカミナリを落として説教をして、その所為で二人ともすっかり忘れていたことを思い出した。

 

「あぁ。別にウイングさんがいるのなら、私が止めなくても大丈夫だと思ったから止めなかっただけだよ。……君がそのウイングさんの忠告を破ってまでして戦うなんて、ヒソカみたいなことをするほどの馬鹿だってわかってたら止めてたけどね」

 

 ゴンの質問は、未だに三角巾で吊っているゴンの右腕を睨んでソラは答える。

 全治4か月と診断されたはずの腕は既にほとんど完治しているのだが、だからと言ってゴンがしたことは許されることではないのは確か。

 なのでゴンは1か月前の電話の時と同じように小さくなりながら、もう一度「ごめんなさい」と謝った。

 

「ん? っていうか、お前もしかしてあのメガネにいさんと知り合い?」

 

 ゴンの説教から自分に飛び火しないようにと、普通にソラの言い草で気になった部分があったので、キルアはそこに話を持って行った。

 ウイングの話は確かにソラにしていたが、200階クラスに来てからならともかく、その前まではどちらかというとズシの話のついでに話していただけで、名前を教えていたかどうかも怪しい。

 

 なのに、ソラは二人が無防備なまま200階に訪れて洗礼を浴びることをウイングが防いでくれると確信していたことが気になって、一番可能性が高いものを上げてみた。

 この女、確信がなければ絶対に二人を危険極まりない200階に送り出しはしないはずなので、電話で知ったウイングの人柄を信用したというより、前々から彼の人柄を自分で見て触れて知っていたと考えた方が自然である。

 

 そしてキルアの予測は的中していた。

 

「うん。っていうか、知ってるも何も……」

「おや? ゴン君、キルア君。こんにちは」

 

 あっさり肯定して、補足を加えようとするソラの言葉を遮って今、話題にあげられている張本人が弟子を連れて通りかかって呼びかけられた。

 呼びかけられた二人が振り向くと同時に、ソラはとっさにゴンとキルアの後ろに隠れる。しかし当然、170近い身長プラス靴のヒールでさらにいつもより背が高いソラが隠れきれる訳がない。

 

 そんな無意味な行動を取るソラを見て、ウイングと一緒にいた初対面のズシはポカンと目を丸くする。呆気に取られているのは、ソラの奇行だけではなくソラに見惚れていることも容易く想像がついたのか、またしてもキルアの機嫌が悪くなったのを感じて、ゴンは深い溜息をついた。

 

 そして、ウイングの方もソラに気づいて眼鏡の奥の眼を丸くさせて訊いた。

 

「……もしかして、ソラさんですか? どうしたんですか、その格好は? 珍しいですね」

「……うん、もしかしなくてもそうです。っていうか、本当に似合ってないのはわかってるから突っ込まないでスルーしてください」

「いや、何でそうなるんですか?」

 

 ウイングからしたらただ単に意外だったから尋ねた問いに、ソラが被害妄想を爆発させて答えるのでウイングは更に困惑する。

 そんなやり取りをしてる間にズシのフリーズは解凍されて、彼は師に尋ねた。

 

「師範代、お知り合いですか?」

「あぁ、うん。知り合いというか、妹弟子だよ」

『妹弟子!?』

 

 ウイングの答えに、ズシだけではなくゴンとキルアも同時に驚き、逆にウイングをビビらせた。

 

「あれ? もしかして話してなかったんですか?」

「えぇ。今ちょうど話そうとしてたところです」

 

 兄弟子と妹弟子がそんな会話をしている間に、ゴンは納得、キルアは何か気に入らないと言いたげな視線を向けながら、「だから止めなかったのか……」と思う。

 どうも初日でズシとウイングに二人が出会ったことを電話で知って、「あ、私が“念”について教えなくてもいいわ」と思ったようだ。

 というか、ウイングが驚いているのはソラの意外な格好のみで、彼女がここにいることに関して質問も何もないということは、おそらくウイングの話を聞いた時点でソラは兄弟子に連絡を取り、自分がいない間のことを頼んでいたであろうと察した。

 

 ソラは魔術回路の所為で、普通の念能力者とは修行方法もオーラの運用の仕方もほぼ全て別物なので、他人に教えるには向かないという説明は“念”の存在を知ってすぐに教えられていたが、それでもウイングが嫌いでも信用できない訳でもないが出来ればソラから教えて欲しかったと思っているキルアは、またなんとなく気に入らないと思ってふてくされる。

 

 まだ“念”の修業が「裏ハンター試験」であることを知らない彼にとって、そもそも“念”の存在すら教えてくれなかったことも不満の一部だろう。

 そうやって幼い不満を溜めこんでいくキルアに不穏なものをズシは感じながらも、さすがに付き合いの浅さからその原因に気付くことが出来ず、彼は好奇心のままにその「原因」であるソラに話しかけた。

 

「師範代の妹弟子ということは、自分の姉弟子すか?」

「ん? どうだろう? 血縁関係に例えてるんなら叔母になるけど、叔母弟子なんて言葉あるのかな? まぁ、姉弟子の方がわかりやすいからそれでいいんじゃない?

 というか、挨拶がまだだったね。

 

 始めまして。私は、ソラ=シキオリ。さっきもウイングさんが言った通り、君の師匠の妹弟子でそこの二人の……まぁ保護者かな?

 よろしくね。君の名前は、ズシだっけ?」

 

 ズシに視線を合わせるように少し腰を屈めて淡く笑いかけるソラに、ズシは顔を赤らめて「お、押忍! 自分はズシっす!」とやや緊張気味にたどたどしく挨拶を交わす。

 そのやり取りに、キルアの機嫌がまた更にぐんぐん下がっていくのだが、女性だと一目でわかる格好の問答無用で美人かつ、引くほどの斜め上なボケを珍しくまだやらかしていないソラは、ズシにとっては「めちゃくちゃ綺麗で優しそうなおねえさん」な為、言葉を交わすのも照れくさくて緊張しているズシはキルアの様子に気付かず、ゴンはいつキルアがまた爆発するのではないかと思ってオロオロし、ウイングもゴンと違って子供らしくない程冷静沈着だと思っていたキルアの意外な一面に困惑していた。

 

 そんな周囲の反応に、当の本人かつ原因は気付いているのかいないのか、ズシを少しの間じっと夜空色の瞳で見て、褒めるように彼の坊主頭を撫でた。

 

「うん、オーラの流れが綺麗で落ち着いてる。もう少ししたら、寝てる間も“纏”を続けてられるようになるよ。

 さすがウイングさんの弟子だね。堅実で確実に経験値を積んで成長してるのが良くわかる。この歳でこれは、天才って言ってもいいね」

 

 唐突に褒められて、ズシはまたポカンと呆気にとられて固まるが、膨れ上がって自分に突き刺さった殺気に気付いて慌てて謙遜の言葉を出す。

 さすがに、この殺気でキルアの様子が不穏だった理由を全て察したらしい。

 

「い、いえ! そんなことないっす!! 自分なんて未だに50階らへんをウロウロしてるだけですし、能力者じゃなかった頃のキルアさんにも手も足も出せなかったくらいっすから!

 キルアさんとゴンさんの方がめちゃくちゃすごいっすよ!!」

 

 謙遜であり、キルアの機嫌を少しでも向上させるための言葉であったが、嘘は何もない。

 まるっきりこれはズシの本心であり、本音であり、そして少しばかりコンプレックスも混じった言葉だった。

 

 その言葉に、ソラはあっさりと言い返す。

 

「二人も確かにすごいけど、絶対に見習うな。ゴンは言うまでもなくわかると思うけど、キルアもダメだ。あの子は、慎重すぎて勝算が低かったら戦わないで様子見を続けて、逆に勝機を逃がすタイプだから」

「悪かったな!」

 

 ズシの方に向いていた殺気が、ソラの言葉で純粋なムカつきに変化して言った本人にそれはぶつけられた。

 殺気じゃなくなってもピリピリと肌が痛む気がするほど強い怒気だが、それをソラはケロッとした顔で流した挙句に「うん、悪い」とさらに追い打ちをかける。

 その癖、追い打ちをかけたキルアを放っておいてソラはズシに話を続けた。

 

「二人がすごいのも事実だけど、だからと言って君がすごくない訳がない。

 君とキルアやゴンは全然違う人なんだから、相手の凄さを認めることは大事だけど、そこに畏縮しちゃったり、自分を卑下しちゃうのはダメだ。

 

 ズシ。君はちゃんとすごい、ゴンのように順序をすっ飛ばさずに基礎を大事にして、それでいながらキルアと違って勝機が薄くても諦めない負けん気もあるすごい子だから、ちゃんと自信を持ちなさい。

 そんな自分を認めてあげないことは、今まで頑張ってきた過去の自分を侮辱することだよ」

 

 言いながらもう一回、ズシの頭を撫でる。

 ズシはただ、まん丸くした目でソラを見上げながらその言葉を聞いていた。

 

 自分に向けられた、自分の今まですべてを肯定し、認めてくれた言葉を噛みしめるように聞いていた。

 

 そんなズシを微笑ましそうに見てから、ウイングはまた拗ねてやさぐれたキルアに苦笑してソラに言う。

 

「やはり私よりもソラさんが二人に教えた方が良かったのでは?」

「あームリムリ。私、未だ“纏”ですら見ての通り上手く出来てないし。

 それより、ウイングさんとズシは今晩予定ある? 私が作ったもんで良ければ、ご飯でも一緒に食べない?」

 

 ウイングの言葉を即座に否定して、ソラはとっとと話を変える。

 その話に、ゴンに宥められていたキルアが噛みついた。

 

「! おい! 勝手に決めんなよ!」

 

 天空闘技場は観光地の一種なので、闘技場だけではなく各種多様な娯楽施設や飲食店があって、ここに滞在する者は大概が外食で食事を賄うが、観光客はともかく闘技場で自分たちの戦いを見せることを生業にする者の中には、自身の健康管理のために緻密なカロリー計算をしたり、栄養バランスが整った食事を求めるもの少なくはない。

 そして、そういった食事はやはり外食よりも自炊した方が手っ取り早い。

 

 なので、闘技場の100階クラス以上の闘士の個室には小さいながらもキッチンがあったので、そこでご飯を作ってやるとソラは前々から約束していたのに、赤の他人ではないとはいえいきなり自分たちの許可も取らずに誘ったことに、キルアは腹を立てて叫ぶ。

 

 そんなキルアに、ソラは小首を傾げて「ダメ?」と尋ねる。

 

「ダメか? ウイングさんやズシから、ここでの君たちの話を聞きたかったんだけど」

 

 ダメだと言ってしまいたかった。

 幼い嫉妬をむき出しにして、ダメだと言えばきっとソラは自分の願いを叶えてくれた。

 

 そう思いながらも、やはりキルアはどうしようもなく素直ではない。

 本音の「似合ってる」も「可愛い」もゴンにように言えず、意味のない意地を張った癖に今更になって、ソラに嫌われたくない、わがままなガキだと思われたくないという意地が、素直な願望を押しとどめる。

 

「……人の話聞かずに勝手に決めんなって言ってんだよ」

 

 ウイングとズシがキルアの剣幕に遠慮して、断ろうとしていたのがまたキルアの癇に障って、結局は苛立ちながらもキルアが矛を収める。

 前々からそうだったが、久しぶりに会ったことで前よりも自分が子供であることを思い知らせるソラに、理不尽だとわかっていながらも苛立った。

 

 その苛立ちを、それこそあのハンター試験での飛行船、2次試験後にネテロと行ったゲームの後のように癇癪を起して誰かにぶつけてしまいそうで、けどそれはもう絶対に、二度としたくなかったからキルアは、「……俺、寝るわ。飯が出来たら起こしてくれ」と言って、ゴンやズシが止めるのを無視して自分の部屋に帰ろうとする。

 

 しかし……

 

「キルア、待って」

 

 これ以上子供だと思い知らされたくなくて、自分の成長していない弱い部分を見たくなくて、何よりも会いたかった人に八つ当たりをしたくないから立ち去ろうとする自分の背を、ソラは抱き寄せた。

 抱き寄せて、呆気にとられているキルアに言った。

 

「何が食べたい?」

 

 夕飯のリクエストを、いつもの笑顔で尋ねる。

 いつもの晴れやかな、その名の通り蒼天のような笑顔で。

 

「君は、2次試験とカルトに渡したアップルパイと、後はバレンタインのチョコくらいでしか私が作った物を食べさせてあげてなかったからね。

 言ってごらん。よっぽどマニアックなものか栄養バランスが崩壊してない限り、ここにいる間は君のリクエストを最優先するよ」

 

 子供だと思い知らされたくなかった。

 成長していない、弱い部分を見せたくなかった。

 八つ当たりなどしたくなかった。

 

 そのどれもが全然出来ていないのに、その出来ない最大の原因である女はそれらを全部受け入れて、笑う。

 素直に甘えられないキルアを、甘やかす。

 

 まだ、言ってやりたい気持ちはある。

 クラピカと自分、どっちが大事なんだよと問い詰めたいし、何で俺たちよりズシの方をまず褒めるんだよと文句をつけてやりたい。

 

 けれど、そんなことを言ったらソラが困るのは目に見えていた。

 彼女を困らせて、戸惑わせて、そして……聞きたくもない答えを聞かなくてはいけないことになるくらいなら、こうやってキルアが自ら隣を陣取らなくても、ソラの方から抱きしめてくれたことで、ちゃんの自分を見て、「君が大切だよ」というように甘やかされる時間を、キルアは選んだ。

 

 ……結局、自分はソラの言う通り、勝算が確実でなければ戦わない臆病者だと自嘲する。

 自嘲しながらも、ソラの言う通りにはさせないと誓う。

 

『慎重すぎて勝算が低かったら戦わないで様子見を続けて、逆に勝機を逃がすタイプ』

 

 行動をしなかったことで勝機を逃して、この居場所を失わせはしないと誓いながら、キルアは口にした。

 

「…………カレー」

「王道だね。よし、とびっきり美味しいのを作るよ」

 

 とりあえず、素直に食べたいものを口にした。

 ソラがくれた時間だけは、何一つ無駄にしないように。

 

 * * *

 

「じゃ、材料買って来るわ。

 ウイングさん、荷物持ちについてきて」

 

 キルアから夕飯のリクエストを聞いたら、ソラは強引にウイングの腕を引っぱってそのまま歩いていく。

 

 キルアが再び「おいっ!」とややキレるが、ソラが「何? 荷物持ちしてくれんの?」と訊けばそうしたい訳でもないので結局ふてくされながらも黙る。

 

 そんなキルアと、キルアをフォローするゴン、そして未だに何故かポヤンとしてるズシに「買い物終わったらすぐに帰って来るから部屋で待っといてよ」と言い残してソラはウイングを引きずるようにしてきたばかりの天空闘技場から出て行った。

 ちなみに、ウイングもズシも「一緒に食べる」とは言っていない。

 

 まぁ別に不満がある訳でもなかったので自分はいいし、ズシも間違いなく文句はないだろうが、キルアのわかりやすいぐらいに素直ではないあの拗ね方が気になって、ウイングはソラに「良いんですか?」と尋ねる。

 

「ウイングさん」

 

 しかし、ソラは兄弟子の問いに答えなかった。

 

「私がゴンとキルアを見とくから、あなたはズシから眼を離さないで」

 

 ソラはウイングの問いを無視して、強く命じるように言った。

 その言葉に、ウイングも答えず訊き返す。

 

「どういうことですか?」

 

 答えを言わないのは、言う必要がないから。

 付き合いは短いし深いとは決して言えない間柄だが、ソラが冴えわたるような青い目をして言った言葉に今更、嘘か誠かを疑うほど知らない相手でもない。

 

 ソラは、名前の通りのスカイブルーの眼で自分たちが出てきた天高くそびえる天空闘技場を睨み付けて言う。

 

「私が引退してから何があったんだか……。かなり厄介なのが住み着いてる。

 あれはたぶん……6人ぐらいが融合した、『死者の念』だ」

 

 闘技場に到着して、ゴンとキルアに連絡する前に見つけてしまい、始末できずに逃がしてしまった存在をソラは告げた。




今回のソラの服装は、Fate/EXTRA CCCのキャス狐の私服です。
実はずっと前からソラに型月キャラのコスプレをさせたいと思っていたのが、やっと今回で叶いました。

世界観やソラのキャラを無視した格好をさせても私の自己満足で、読者の皆様は萎えるだけだというのはわかっていますので、ソラがコスプレする機会はさほどは多くないと思います。
というか、ソラはスカート嫌いだし、英霊の服装は大概が痴女いのでそもそもソラに着せられる服装がそんなにないという……。

なので楽しみにしてくださる方がいらしたら、むしろ申し訳ないぐらいの頻度でしかコスプレしないでしょうが、服装がツナギじゃない場合は大抵、型月キャラのコスプレだと思っていただけたら、たぶん間違いはないです。

とりあえず、今の所ソラにさせようと思っているコスプレはアポクリでのモーさんの私服と、同じくアポクリのジャンヌ(レティシア)の私服と、子ギルと謎のヒロインXです。
うーん、困ったことに本当に世界観を無視していない服装かつ、ソラが着そうな服がこれくらいしかないなぁ。


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