ねえねえ、お決まり通り穴に落ちたりしたわけではないんだけどさ、これは酷くない?
出て来た世界でいきなりトラックの前とかさ、
何か後ろに少年もいるし。
はぁ~、来て早々に二度目の人生が終わるとか神様のミスだよね?
流石にこれは、ね?
それとも運命なのかな~?
ともあれ、このままだと確実に後ろの少年も巻き添えをくらう。
迷っている暇なんて無いぞ。
ゆっくりと時間が過ぎる中、後ろの少年の手を掴んで思いっきり投げ飛ばす。
少年はゆっくりと車線上から抜けていく。完全に抜け出たところで、
ぐしゃっ!!
人体から出てはいけない音を聞きながら思う。
せめてこの善行で天国に行けますようにと…。
そこから意識が暗転した。
???
稽古の帰り道にトラックに轢かれそうになった。
逃げなくちゃ! そう言う感情とは反対に、僕の足は震えて動けないで居た。
終わった。そう思い、せめてもの抵抗で腕を前に出して来るべき衝撃に備えていた。
次の瞬間に手を引っ張られた。何事だ?!
そう思った時に映ったのは黒に近い青色の髪の毛だった。
顔は見えない。
ただ、僕の腕を痣ができるんじゃないかと思う程の力が籠められ、そのまま捻られる。
合気道とはちょっと違う、けれどそれに近い何かで僕の体は大きく空中で一回転し、歩行者用の歩道まで飛ばされる。
ろくに受け身も取れないで思いっきり背中から叩きつけられる。
幸いと言うべきなのか、愛用のヴァイオリンの入ったケースは無事そうだ。
そう考えてる間に大きな音が響く。
続いて「きゃー!」と言う女性たちの悲鳴が木霊する。
そうだ、助けてくれた人は…、肺から一気に抜けた空気を深く吸いなおし、よろよろと立ち上がる。
立ち上がると既に野次馬たちが集まり始めていた。
そう思うとトラックは急発進してその場を後にしようとした。
僕はとっさに手持ちの楽譜の裏にトラックのナンバープレートに記されている物を書き留めた。
僕は見たくはないが、助けてくれた恩人の姿を確認した。しなければならなかった。
…、地獄絵図だ。助けてくれた人の顔はわからない。ただ、血だまりが徐々に広がっていく光景だった。
他にも手が曲がってはいけない方向に曲がっている。
余りの事にそれを見て居ることしかできなかった。
最初に誰かが「こいつをどうにかしなくちゃ」という声でハッとして、携帯電話を取り出し、警察と消防署に電話をかける。
それしか僕にできることは無かった。
?????
はわわわわわ、どうしようどうしよう!
送る世界を間違っちゃっただけじゃなく、トラックにひかれちゃったよ!
一応アヴァロンとエクスカリバーが入っているから大丈夫だと思うけど…、
ご、ごめんなさーい!!!