NG間違っちゃった世界で   作:仙儒

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10話

 BBQ、準備はメイドさんたちが進めていた。

 手伝おうとしたら、坊ちゃまはこの屋敷の主なのですからと手伝わせてもらえなかった。

 

「おい、杏子、つまみ食いしようとするな」

 

 目を少し離した隙にこれだよ。

 杏子はちぇっ、と一言言い残しただけでやめた。

 

 だが、杏子の気持ちもわからんでもない。

 客人の到着が遅れているのだ。

 

 リムジンを迎えに行かせたのだが、それがまずかっただろうか?

 だが、生憎、家にはワゴン車の類は置いていない。

 それにワゴン車では三家族を入れて来るのは困難だろう。

 

 取り敢えず、遅い事には変わりない。

 

 目の前では肉などが焼かれ始めている。

 杏子はそれに待ったをされた子犬のように肉を見ている。

 

 今回は野菜の類をできるだけ抜いておいた。

 使用人たちは栄養が偏ると反対の声挙げていたが、無理やり食わせたところで、子供たちの為にもならない。

 下手に食わせて吐いたりしたら、大人になってもそれを食べれなくなるし。

 そう言ったら渋々であるが従ってくれた。

 

 

 そんなことを思い返していたら杏子が涎を垂らし始めた。

 そう言えば、今日は菓子や食べ物を夜のために食べないように言いつけておいたんだっけ?

 ありゃ~、そろそろ限界かな?

 

 杏子だけ特別に先に食べさせるか?

 

 そう思っていたら、ようやくご客人が乗ったリムジンが到着した。

 

 きょどきょどと降りて来るさやかちゃんに恭介達。

 

 それに対して

 

「お前ら遅いんだよ、こちとら、腹減って死ぬところだったんだからな!」

 

 そう吠える杏子の皿には既に肉に焼トウモロコシが乗せられていた。

 何時の間に。でも、確かに戸惑うよな。

 反対の立場ならばきょどって緊張で固まっているだろうし。

 

「ようこそ、ザラ亭へ。歓迎いたします。長い挨拶は嫌われるので、各自、自分の家だと思って思う存分食べて飲んでいってください」

 

 一人待ちきれない奴もいるんで。何て言うと、皆が杏子を見て苦笑い。

 そんな視線をよそに、俺の挨拶が終わったのを食べていいと判断したのか既にがっつき始めている。

 逃げないから落ち着いて食えよ。

 

 そうすると、恭介とさやかちゃん、そして、ツインテールのピンク髪の女の子が来た。

 

「アスラン、おめでとう」

 

 そう言いながら花を一輪貰う。

 ありがとうと言いながらそう言えば、と恭介を止める。

 メイドさんにあれを持ってきて、そう言うと、メイドがヴァイオリンケースを持って来た。

 俺はそれを受け取り、恭介に渡す。

 

「恭介もコンクールで賞を取ったんだって?おめでとう」

 

 そう言いながらヴァイオリンを渡す。

 恭介は興奮気味にそれを受け取り、開けて、更に興奮する。

 

「ストラディヴァリウスだ!貰って良いの?」

 

 ああ、と頷く。

 駄目だったら元から渡していない。

 

「あ、良いな、良いな!アスラン私にも何か頂戴!」

 

 反応したのはさやかちゃん。

 それに、苦笑いしながら、誕生日になったらね。そう告げる。

 

 ぶぅ、とへそを曲げながら此方も花を一輪くれた。

 

 それにありがとうと言って頭を撫でると、さっきの態度とは別にニコニコしながらえへへと笑顔に変わる。

 感情豊かな子だな。大変結構な事だ。

 そして、その背中に隠れてるピンク髪の女の子に視線を合わせるように屈む。

 

 相手の目を見て優しくいう。

 

「アスラン・ザラだ。今回はこのパーティーに来てくれてありがとうね」

 

 そう言って手を伸ばすと、ビクリ、としたが、受け入れてくれた。

 顔は真っ赤だ。

 恥ずかしがりやさんか、どうした物かな?

 そう思っていると、さやかちゃんが「ほら、まどかも」そう言いながら、無理やり、前に出す。

 

 前に出されたピンク髪の女の子はおどおど、した後、深呼吸をして、

 

「か、鹿目まどかです、えと、あと、おめでとうございます!!」

 

 ガチガチに成りながらも花を差し出してくる。

 

「ありがとう」

 

 再度受け取ってお礼を言いながら頭を優しく撫でるとさやかちゃんの後ろに引っ込んでしまった。

 

 打ち解けるにはまだまだかかるかな?

 

「アスラン!これ引いても良い?」

 

 これまた今度は恭介がヴァイオリンを引きたがってうずうずしている。

 俺はちょっと待ったと言って、楽譜を渡した。

 オリジナルの曲だと言って、それを引いてくれないか?と頼んでみる。

 因みにオリジナルとは言ったが、生前に聞いて、此方の世界に無い曲だ。

 

 恭介は気前よく「うん」と言いながら引いてくれた。

 

 やっぱり、才能がある奴が引くと違うな~と思いつつ演奏を聞く。

 

 

 演奏が終わると周りから拍手がわいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今朝メイドが来た時には驚いたがザラと言う言葉に聞き覚えがあった。

 確かにあいつの家は金持ちだった。

 

 今更リムジンぐらいでは驚きもしなかった。

 私達は昔から散々レノアには振り回されて来たからな。

 確か、レノアが結婚したと聞いて、一番驚いたんだけどね。あのキャベツ馬鹿がキャベツのこと以外に興味を持つことが珍しかったから。

 まぁ、社交的ではあったから驚くことではないか…。

 それにしてもレノアの奴、連絡一つよこさないとはどういった見解かね~?

 

 

 到着して目についたのは、髪型こそ違えど、レノアの小さい頃そっくりな子だった。

 

 辺りを見渡してレノアの姿を確認しようとしたが、レノアの姿が無かった。

 あの馬鹿、子供ほっぽり出してキャベツの研究か?

 自分も余り人の事言えないが、流石に使用人だけって言うのはどうなのかね~。

 

 それにしても、まどかの奴、上手くやれてるかね?

 そう思いながら案内された大人用のバーでカクテルの入ったグラスを傾ける。

 

 あらら、恥ずかしがってさやかちゃんの後ろに隠れてやがる。

 

 あの内気なのはどちらに似たんだろうね~、全く。

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