ある日何故か拉致られ、放送室の中にいる。
あの~、トーク下手な俺に放送何て勤まると思っているのだろうか?
この学校、何気に放送室のセットもどこぞのスタジオに負けない力の入り方をしているからな。
放送係とは、機械の調子が悪くなった時にアスランの血が騒いで直して以来、色々とお世話になっている。主にリアル鬼ごっこだったり、ファンクラブを名乗る女子軍団とかに匿ってもらったりしている。
メンバーも気さくで口下手な俺でも気軽に話しかけてくれる。
関わっていて気持ちの良い人達だから、こんな形で連れて来られると思わなかった。
最初は機械類が壊れて慌てて俺を連れて来たとおもっっていたんだが、放送室の中のマイクの前に座らされてんだもんな~。
「その、なんだ…人付き合いとか苦手なのに大丈夫ですかね?」
どうなっても知りませんよと言う。
言葉を発してその対面に座る形でニコニコ笑っている放送係のリーダーである少女に声をかける。
因みに一応年上だから敬語を使っている。相手は六年生、俺は二年生。杏子達は一年生。
何でも今日の放送担当の人が風邪で学校を休んでしまったらしく、それで急きょサプライズゲストとして出て欲しいとの事だ。
こちらとしては何時も…、ではないにしても、匿ってくれてることに借りを返したいところでもある。
はぁ~と溜息が出る。放送事故になっても知らないぞ?
そう思いながらも放送開始のカウントがガラスの向こうから指示される。
「はーい、今日は何時もの相方が風邪で休みなのでスペシャルゲスト、この学校で知らない人は居ないアスラン・ザラ君です!!」
流石にそれは無いんじゃないかと思い、つつもそれに合わせて
「アスラン・ザラですよろしく」
と短い挨拶。
「早速クールに挨拶頂きました。今回はアスラン君の秘密をズババッと明らかにしていきたいと思います。アスラン君は普段からこうなのですか?」
そう言われても自分の事なんて案外わからないものだ。
しょうがないので生前のアスランの印象をいう事にする。
「どうかはわかりませんが、人付き合いが得意ではないので」
苦笑いで答えると何を思ったのか
「そうなんですか、それでも女性を引き付ける魅力がありますよね。こう、母性本能をくすぐられます」
そう少し顔を赤くしながら言う。
そうなのか? どちらかと言うと男らしさに惹かれる人が多かった気がするな。ルナマリアとか、メイリンとか、ミーヤとかカガリとかも。
母性本能担当はキラだったし。
「では、皆様が一番聞きたいとお思いであろう、ズバリ!アスラン君の好みの女の子のタイプとは何ですか?」
こんな情報誰が聞きたいんだか。
女の子たちかな?誰でも聞きたがるし。
しかし、どう答えればいいのやら。
アスランのカガリへの恋は一目惚れだったしな~。
初恋のカリダは恐らく幼少期に母親がいない事が多かったため、母性本能を求めてだと思うしな。
「こんな不器用でも、頑固でも、それでも良いと言ってくれる人…、ですかね」
結構ここが重要だと俺は思うんだ。
「う~ん、それじゃほとんどの人が当てはまってしまうんですがね…、じゃあ、具体的に何ができたら良いな~とかありますか?ベタですが料理ができるとか」
…
「と言うか、好きな人のために何かできないか…、そう思って段々と成ってくものではないですか?」
そう、最初は誰も何もできない状態から始めるのだ。
そこから段々と好きな人のために、友達のために、親のために、そう思ってできるようになり、形になっていくんじゃないかな?
そこに得て不得手は在ると思うけど。
「へ~、意外に乙女チックですね。何か女の子として負けた気がしますが。では、好きな食べ物とかは何ですか?」
普通好きなタイプな女の子聞く前にする質問だよね、それ。
「ロールキャベツです」
アスランも生前の俺も好きだった。
「皆さんちゃんとメモは取りましたね、アスラン君の好きな物はロールキャベツですよ」
何でメモ取る必要があるんだ?
昼休み。
いつも通り、さやかとまどかと飯を食っていたら何時もの昼の放送が始まった。
ここの放送は結構面白いからな。飯のBGMとしては。
普通のラジオ何て聞いたことねーし。
そうして聞いていたら聞き覚えのある声で「ドナドナされたアスラン・ザラです」と聞いた時に思わず口の中の物をぶちまけそうになった。
そうして、殆どの女どもは食事よりも放送に耳を傾けている。
そう言うあたしも食いつつ何時もよりも耳を澄まして聞く。
アスランの事なら大抵知っているけど案の定そのままだった。
男らしいと思ったら意外と女々しいところあるんだよな。
後は結構、機械いじりで日々過ごしてる。
あたしにはわからないけど、周りの男どもよりは着飾ってなくってそう言うところは清々しいよな。
何時勉強してるのかわからんが、学年主席で学費ただだってんだからあたしなんかよりも頭の作りが違うのだろう。
それを少しも鼻にかけない所もいい。
成績に関しても文句は言ってこないしな。でも諦めた感じじゃない。
あたしなりに頑張って居たところはちゃんと褒めてくれる。
まぁ、嘘つくと拳骨くらうけど、そこも何て言うか、あたしの事ちゃんと本気で大切にしてくれてるんだなって感じる。
そんな中、好きな料理のロールキャベツってのは初めて聞いた。
帰ったらシェフに頼んで作り方を教えて貰おう。
後、本人はああいっていたが、アスランは耳かきが上手な奴が好きだ。
アスラン専属のメイドがやっていたのを見ていたし、本人も耳かきされるのは好きだと言っていた。
アスラン自身に耳かきをやって貰った時に確かに気持ちよかった。うっかり寝ちまったほどだ。
今はあたし専属のメイドに耳かきのイロハを教わっている。
それがさやかにばれたのは手痛い失態だったが。