NG間違っちゃった世界で   作:仙儒

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14話

 ノックをして部屋に入る。

 

「こんにちは、先生」

 

 こっちを向いて笑顔で挨拶してくれる少女。

 

「先生じゃない、アスランだ」

 

 そう言いながら二人して少し笑う。

 

 この挨拶は今に始まったわけでは無い。

 一番最初のきっかけは些細な事だ。

 魔女の結界に入り込んでしまった彼女のその後の経過を知りたくてお見舞いに来た事だ。セイバーの治療も気になったしな。

 

 従順なセイバーが初めて俺の意見に意を唱えたのも気になるし。

 もしかしたら俺みたいに転生者なのかもしれない。

 

 それならば、納得がいく部分もある。

 何時でも俺一番で考えてくれて行動しているセイバーなら俺に害をなすかもしれない存在を治療するのはリスクだと考えるだろう。

 それにあの女神様の言い分を思い出すと、俺以外にも転生者を送り出していることは明白だった。

 だから、俺はあえて接近し、敵対するならしょうがないが、仲良くなれれば協力関係を築き、共に彼女達が救われる未来を模索する道が開けるかもしれない。

 

 

 そう思っていたんだが、どうやら俺の気鬱で終わったようだ。

 

 だが、彼女からも魔力反応がおきている。カーテンで隠れているんだろうが、インキュベイダーが居るのをサーチャーで確認してる。

 この子も魔法少女か、どのような願いで魔法少女に成ったのかわからないが、できれば契約される前にインキュベイダーを消したかった。

 

 

 まぁ、なってしまったからにはしょうがない。

 

 だから、せめて、普通にできる時は少しでも穏やかな時間を送ってほしい。

 

 幸せをかみしめて欲しい。

 

 ただ、彼女の瞳には時折俺を憂いを秘めた強い決意の炎を灯している。

 

 こういう奴は何時も何でも一人で背負い込んでしまうタイプの瞳だ。

 だからかな、その悲しみの一つでも吐き出して、背負わせてくれないかと思う。

 

 それはそれとして、彼女が俺の事を先生と呼ぶのは、何時復学できても良いように勉強を教えているからだ。

 幼い頃から入退院を繰り返していたからか、文字こそかけたが、平仮名だけで漢字やその他の事は全然できなかった。

 まぁ、まださやかちゃん達位だし問題ないかと思ったが、学を習って置いて問題に成ることではないので毎日、とはいかないが、時間が許す限りここにきて勉強を教えている。

 

 余計なお世話かもしれないが、彼女は何時も嫌な顔一つせずにどんどんとその知識を高めていく。

 少し杏子にも見習ってい欲しいところだが、俺の教育方針は、

 

「馬鹿でもいい、陰で相手を騙して笑うような屑にだけはなるな」

 

 だからな。

 成績の事でどうのこうの言うのはメイドたちにやめるように徹底している。

 

 出していた宿題に目を通す。

 

「全問正解だ、凄いじゃないか」

 

 そう言いながら頭を撫でてあげる。彼女には一年先の俺と同じレベルの問題をやらせている。一年で習う所は重要点だけ抑えたのをやらせたら、意外とできてしまい、やることがなくなってしまったからな。

 

 だけど、来る都度に勉強だけと言うのも酷な話だと思い、CDとか小説とかも彼女の趣向に向いている物を持ってきたりしている。

 要は飴と鞭だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日もアスランは来てくれた。

 毎日に近い時間彼は此処によってくれる。

 毎回いいと断っているのに毎回、花束を持って花瓶に活けてくれる。

 私が過去に戻って来てからのこの時間が幸せで、できるならば、この幸せがこのまま続いてくれと願う。

 それが私の癖になっている。

 ワルプルギスの夜が来るまで八年。もう数えるのがバカバカしくなるくらいこの八年間を繰り返している。

 全ては私に笑いかけてくれる彼のために。

 私は全てを知ってしまっている。彼の優しさを、魔法少年の末路を。魔女の正体を。

彼の嘆きを。

 

 ずーと一人ぼっちだった私に優しい手を差し出してくれたから。

 私の初めての友達、違う、親友。そして思い人。

 彼に出会ってから全てが鮮やかになった。ただの街角も輝いて見えた。

 毎日が楽しくなった。

 

 だから、私達が魔法少女だと知っても別に偏見の目を見せなかった。

 

 そして、最後の最後で私達の代わりに彼は犠牲になるのだ。

 

 みんなの為なら自らの命を簡単に投げ捨てられるその優しさに何度涙したかわからない。

 

 見舞いの度に勉強を教えてくれるが、それも時々今までの問題と違う問題に四苦八苦しながら解く。そうすると何時も凄いじゃないかと褒めてくれる。

 

 時々、勉強じゃなく、音楽や病院生活は暇だろうからと私好みの小説等をくれる。

 

 アスランが態々私のために選んでくれたものだ。例え、余り好きでは無くても好きに成る。それ以外に在りえない。まぁ、殆どが私の好みなのだが。

 

 彼が帰った後、私は鋭い眼をしてインキュベイダーを見る。

 

「彼は一体何者だい?僕達インキュベイダーが見えるなんt」

 

 その瞬間、インキュベイダーを無数の弾丸が貫いた。

 

「貴方達が知る事では無いわ」




若干ほむほむがヤンでいるような…
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