安定してきたか?
だが、何事に対しても慣れて来た時が一番危険だ。
何時だったか助けた少女が銃を使って戦闘を繰り広げている。
リボンを上手く使いながら戦うその様はさながら何かの演劇を見ているようだよ。
感心しているが、少し過信している。詰めが甘い。
雑魚相手だから通じる物が殆どだ。
だが、周りはよく見ている。
まだまだ伸びしろがある人材だ。
ところどころビームライフルで援護を気付かれないようにしつつ観察する。
今の所インキュベーターの存在は確認できないが、恐らくどこからか観察しているのだろう。
奴らが使い魔のように戦闘能力があるとは考えにくいし。
まぁ、雑魚はこれくらいか。
少女は奥へと進んでいく。
最深部。やはりと言うか何と言うか、ピカソとかだな。俺にはわからん芸術だ。
戦闘が始まる。
俺も移動するか。此処からでは最深部まではビームライフルが届かない。
戦いは苛烈を極めていた。
ツタ、鋏、馬車の車輪みたいの。
そんなものが不規則に襲い掛かり、避けながらの銃撃戦に成っているが、やはりランダム攻撃で狙いが甘くなっている。
それに、このボス、じゃなく魔女、何か今までの奴に比べて固いな。
銃弾を弾いているように見える。
相性は最悪か。
溜息をつきながら邪魔な奴らをビームライフルで撃ち抜く。
その瞬間、攻撃が来なくなったのを悟ったのか後ろに大量の銃が現れた。
まるでゲート・オブ・バビロンだな。それともぐだぐだ本能寺の信長か?
「無限の魔弾よ!敵を薙ぎ払って!!」
そこから凄まじい勢いで銃たちが火を噴く。
圧倒にして圧巻。大爆発が起こった。
それを皮切りに明らかに人にはデカすぎる銃を魔女に向けて構える。
「これで終わりよ!ティロ・フィナーレ!!」
そこから今までで一番デカい火力の一撃が炸裂する。
どうも、この世界の魔法少女のそれは魔法戦と言うよりも、武器を召喚してその武器の火力で戦う魔法とは名ばかりの近代科学的戦闘だ。
そう思っていると、大爆発が起こった。
全てが終わったと思った。
正確には思いたかった。
っ!!
正にその時だった。
勝利を確信した瞬間に隙が生まれる。
俺はインキュベーターの事を忘れて飛び立った。
ツタに絡まれて、酷い悲鳴が木霊する。
相当痛いのだろう。
ツタをビームサーベルで斬り払い、少女を抱きかかえ何度も呼びかけるが反応は無い。完全に気を失っているみたいだ。
ツタによる鋭い突き攻撃を与えつつビームライフルを本体に向けて撃つ。
それは寸分たがわず、敵に吸い込まれるように伸びていき…、
「なっ!!!」
弾かれた。
「こいつ、ビームを弾くのか!」
だが、こちとらビームを弾く敵を相手にした経験はたくさんある。
それにセイバーの特徴はスピード特価だ。
パワーも一時的ならばフリーダムと渡り合える。それだけのスペックがある。
とは言え、少女を抱えながらの戦闘は不利だ。
攻撃を縦横無尽に避けながらする。
だが、やはり本体には効き目が無い。
少女を置いて戦えば良いのだが、こいつの狙いが俺だけだとは考えにくい。だからそこら辺に置いて戦闘はできない。
フューーーン、パリーーーーン。
頭の中で何かが割れた音がした。視界が一気にクリーンになる。
この世界に来て初めての覚醒状態だ。
ビームライフルをマウントし、ビームサーベルを抜き放つ。
迫りくるツタを持ち前の運動性能で回避しつつける。
そのまま、本体に迫り、頭の天辺にビームサーベルを奥深くまで突き刺し十字に斬り裂く。
そこに向かってアムルフォルタスプラズマ収束ビーム砲二門が火を噴く。
流石に答えたであろう。魔女は大きな悲鳴を上げながらゆっくりと後ろに倒れるとグリーフシードを残し消えていった。
さて、少女はどうするか…、家に連れて帰るのもいいんだが、杏子が居るし、魔法少女同志仲が良いとは限らない。
しょうがないので人避けの結界を小規模に張って、ベンチに寝かせた。
何かかけてあげられればいいんだが、生憎そんなものを持ち合わせて居ない。
しょうがないから楯を被せてグリーフシードを置きその場を去る。