NG間違っちゃった世界で   作:仙儒

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16話

 転移魔法で部屋に戻る。

 

 前に一度遅くに帰った時に軽くパニック状態になっていたことがあったからな。

 家のメイドさんたち、過保護すぎるんだよな。

 どうしてだろう?

 

 その時は何とか母上の所に行きつつ散歩して庭を一周してきたと言って誤魔化した。

 

 事実、広大すぎる庭は一周するならばどれ程の時間をかけねばならないかわからない。

 森とか湖とかあるしな。

 俺自身も片方の塀からもう片方の塀までを把握していない。

 

 女神様、頑張りすぎです。

 

 そんなことを考えながら布団にダイブ。

 

 人避けの結界を解除し、一息つく。

 今日も月が綺麗だな。

 

 一応さっき助けた少女の事が心配だったので、サーチャーで監視していた。

 

 …、うん。大丈夫みたいだ。

 

 そう確認したら目覚めた少女とインキュベーターとの念話がオープンチャンネルで聞こえて来る。

 

 結論から言うと此方が使う魔法はインキュベーターでも感知できないみたいだ。

 きょろきょろと眠っていたベンチから顔を動かしてインキュベーターを探す少女。

 

 少女は魔法陣を見て魔女の結界だと思ったのか変身して様子を伺っていた。

 しばらくして、何も起こんない事を変に思ったのか恐る恐る結界から出た。

 

 その瞬間魔法陣が消失し、混乱してるようだ。

 

 そう言えばこの世界、結界みたいのは魔女なり、使い魔?なりが出現するときしか感知してないな。

 少女が使っていた武器から考えても、魔法とは名ばかりの近代武器での戦いを、或は一世代前の杏子みたいなヌンチャクと槍になるような物しか存在しないのか?

 ならば、今回の少女の行動は納得がいく。

 

 因みに今回使った魔法はヒーリングサークル。内側から出る事は出来るが、外側からは結界を破壊しない限り中に入れない。そして同時に認識妨害もついている三層構えの魔法。

 ユーノがA‘Sでなのはに使っていた魔法だ。

 俺は補助系統の魔法に関しては殆どセイバーに頼りきっているのでどの位の強力な魔法かはわからない。

 後は感覚で使ってるし。そう言った意味では俺も彼女達と変わらないのか。

 

 因みに彼女に被せて行った楯は少女が持って帰った。

 

 重たいだろうに…。

 

 

 

 

 っと、杏子も戻ってきたようだ。

 早速どたばたとしている。それに苦笑いしながら居ると、俺の部屋の入口の扉がプシューっと開く。

 その手には耳かきセットが握られている。

 

「アスラン、おまえこれ好きだっただろう?やってやるよ」

 

 そう言って嬉しそうな顔で俺のベッドに上がり込んでくる。

 目が光ってるよ。これ、断れないパターンの奴だわ。

 何時もがさつな態度を見ていると思いっきり鼓膜をぶち抜かれそうで怖いんだが、腹をくくるしかないか…、

 

「ほーら、早くしろよ」

 

 自らの膝を叩いて呼びかけて来る。

 

 杏子の膝に頭をのせる。女の子特有の良い香りがする。

 

「じゃあ、外側からやってくかんな、い、痛かったらすぐ言えよ」

 

 そう言って杏子の耳かきが始まる。

 

 

 

 あれ? 全然想像していたのと違う。全然痛くない。へ~、杏子ってこういう所器用なんだな。

 

 気持ちいい…、段々と…眠く……なっ……ZZZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、アスラン。痛くないか?」

 

 そう聞くが返事が返ってこない。

 

「アスラン?」

 

 そう言いながらアスランの顔を覗き込むと気持ちよさそうに寝ていた。

 

 なんだよ、これからがあたしが練習に練習を重ねた耳かきテクニックだってのによ~。

 

 そう思いながらも心の中は充実感でいっぱいだった。

 

 そう…、だよな。あたしの耳かきが気持ちよくて寝たんだもんな。それだけ杏子様の耳かきが上手いってことだ。

 

 

「アスラン。あたしあんたにあえて、ここの家に来て本当に良かったと思ってる。もうあの日、絶対に他人のために成ることはしないと誓った。絶望しかない所を救ってくれた…」

 

 あはは、何しおらしく成ってんだろうな。

 

 でも、

 

「お前が居たからまた人を信じてみようと思えた。友達もできた。全部アスランのおかげだと思ってる。だから、今度はあたしが護ってやるよ、全部の敵から」

 

 だから、居なくなるなよ

 

 その言葉だけ言えなかった。絶縁する前に母親がやってくれたのを真似て子守唄を歌ってみる。

 

「ありがとう、アスラン」

 

 そう言うとアスランの前髪をあげ、額にキスをする。

 恥ずかしさで顔が熱いが、後悔はしていない。

 きっとこれが幸せ、ってもんなんだろうな。

 

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