あ、れ?
どうしたんだろう、確か魔女と戦って…、!
そうだ、魔女と戦って負けたのだった。
では、何故生きてるのだろう? そう思い起き上がると大きな楯がずるりと地面に落ちた。
これは!
以前私が魔法少女となるきっかけとなった紅い騎士様が身に着けていた大きな楯。
私はまた助けられたのね。
曲がりなりにも魔法少女として板についてきたと思っていたんだけどな~。
それは良いとして、この円形の魔法陣は何だろうか?
魔女の結界…、と言うわけではなさそうね。
悪意を感じられない。それどころか、入っていて安心感を覚える。
その類の新しい魔女かとも思ってキュウベぇに念話を使うが、キュウベぇには私と言う存在が感知できないと言っている。
「これは少し厄介かもしれないわね」
そう口にして眉をひそめるも、魔女の気配どころか悪意さえ感じられない。
こんなことは魔女狩りをしていて初めてだ。
キュウベぇでさえわからないなんて…、
取り敢えず武器を取り出して攻撃してみる。
別に何もない。
本当に何もないの?そう思いながらゆっくりと魔法陣の中から出てみる。
呆気なく出れてしまい、私が出るのを見届けるように魔法陣は消失した。
「やぁ、こんな所に居たんだね。君で言う所の紅い騎士とやらが君を抱えて出て来たと思ったら急に消えたからびっくりしたよ。まさかこの僕が見失うなんてね、こんなことは初めての事だ」
そう言われ、やはりあの魔法陣は紅い騎士様のものだったんだと思いなおす。
それにしても、
「貴方にもわからない事なんてあるのね」
そう口から漏らす。
「ああ、今回の事は僕達にとってもとても実に興味深い事だよ」
そう言うと騎士様の持っていた紅い楯をジーと見つめるキュウベぇ。
かくいう、私も夢にまで見た騎士様の、しかも二回も助けてくれた命の恩人の物だ。
私がこの手で直接返したい。
そして、願わくば、肩を並べて共に戦いたい。
貴方の助けた小さな命は、こんなにも強く、多くの者を助ける正義の味方になったと。
「あっと、いけない。速く帰らないとお父さんとお母さんが心配するわ」
そう思い、時計を確認する。
それに、夜更かしは美容に良くないしね。
次の日、眠い目を擦りながら起床する。
今日も学校なのよね、魔法少女との両立は難しいわね。
そう思いながら朝食を食べ、学校へと急ぐ。
あらやだ。何時もよりも三十分も遅いわ。
別に誰かと待ち合わせをしている訳でもないが、速く行って予習や宿題をやっておきたいのだ。
何事も完璧にね。
そう思って走っていると急に視界が歪み、意識が遠のく。
あれ?
そのまま、地面が近づいて周りから悲鳴が響いた所で完全に意識が途絶えた。
悲鳴が聞こえたので急いで走っていくと、昨日の金髪少女が倒れていた。
おたおたとする周りの連中をよそに呼吸、心拍数、血圧を測定する。
呼吸は落ち着いてる、脈拍も安定してる。血圧は…、少し低い位か?
取り敢えず何ともなさそうな所を確認すると、大きなため息を吐く。
貧血か。
そう思いながらどうした物かと考えた。
救急車を呼ぶほど一大事でもないし、事を大事にしたくはない。
かと言ってこのままにしとくのは論外だし。
仕方が無い、抱えて学校に運んでいくか。
おんぶでも良かったんだが、あえて、お姫様抱っこで移動する。
この方が顔色を窺えてちょうどいい。
セイバーに他にも悪いところが無いか、念には念を入れて検査して貰ったが、寝不足と度重なる疲労との事だ。
セイバーに回復魔法をかけて貰いつつ学校へと速足で移動する。
そうでないと周りからの視線で気恥ずかしくて死にたくなるから。