目が覚めると色々な機会に繋がれていた。
体は…、重いけど疲れたな~、程度の物だ。
上半身を起こす。
消毒の匂いにこの数の機会だから間違いなく病院だよな。
動こうとした時に後ろ髪を引かれた。
諺では無く、何かに引っ張られているようだ。
そう思い、病室のベッドに目をやると長い髪の毛が見えた。
あれ?アスランってこんなに髪の毛長い筈は無いんだけどな…、不思議に思いながら枕元にあったナースコールのボタンを押す。
そうすると急に慌ただしくなる。
ナースに医師らしき人が来て、全身検査。
その後、心理検査見たいのに事故にあったことや会う前の記憶の事を聞かれた。
へー、俺トラックに轢かれてたんだ。その前は此処の世界に来たばかりだから何とも言えない。
検査中に確認したけど機械技術が進んでいる。
ミッドにでも落ちたか?とも思ったが、それも違うようだ。
それらを含めて考えて導き出した答えは名前以外に反応しない事だ。
ただ、こればかりは困るんでここはどこですか?と聞いた時に憐みの目で見られた。
地名は見滝原と聞いたことのない名前だった。
どこ、そこ?
あ、いや、此処なんだろうけどさ。
あの女神様またドジったな?
そんなこと考えて夕方。
にぎやかな声が聞こえると思っていたら俺の部屋に来た。
誰だろう、そう思いながら知り合い何て一人もいないんだけどな。
コンコン
ノックの音が響く、別段断ることなど無いので「どうぞ」と言って通す。
何処かで見たような気がする少年とその家族らしい。
一同皆が頭を下げて「ありがとうございます」と言い出したので、混乱している。
俺、何かしたっけ?
そう思っていると、ご両親だけを連れて外に出て行ってしまった。
少年と俺の間に気まずい空気が流れる。
「取り敢えず座ったら?」
そう言って、椅子を指すと「そ、そうだね」と返事を返してきて椅子に座る。
そうしてまた、気まずい雰囲気に成る。
少年はどこか居場所がなさそうにきょろきょろしていて話しかけてくる気配が無い。
俺も目が覚めたばかりで尚且つ、不器用な俺にはどういう事をすればいいのかははわからないが、アスランの記憶の中には孤児院の経験がある。
恐らく不安、なんだろう。そう思い少年を掴み胸の所まで引っ張る。
抵抗と戸惑いを孕んだ声が漏れるが気にしない。
胸の所まで来て撫でながら、
「大丈夫、俺は此処にいる。君は何も悪くない、心配するな」
我ながらもうちょっと良い声掛けってものができないかね。
そうすると少年が泣き出した。どうして泣いているのかはわからないが、この部屋に来た理由なんだろう。
しばらくは同じことを言いながら撫で続けた。
俺は恭介だ。
あの事故から一年。
未だに目を覚まさない命の恩人に日に日にどうしたら良いのだろうかと言う罪悪感だけが積もってきた。
稽古にも身が入らない。
さやかが心配して何度か相談に乗って貰ったりしていたが、罪悪感が減ることは無かった。
そんな折、病院から電話があった。
彼が目を覚ましたそうだ。
一家総出でお礼をと来たは良いが、どうしたら良いのだろう?
そのことで頭がいっぱいだった。
親たちが先生に呼ばれて二人きりになった時にどうすればいいのかますます混乱して行った。
近くに座るように言われて、手がいきよいよく伸びて来た時は殴られる! と思った。
その腕は僕の手を引っ張り、無理やり胸へと押さえつけられた。
当然抵抗しようとしたが、次の瞬間、その気は失せた。
「大丈夫、俺は此処にいる。君は何も悪くない、心配するな」
確かに聞こえる心臓の鼓動が彼が生きてることを証明した。
そして、一番聞きたかった一言、君は悪くない。
冷たくほっそりとした手が頭を何度も撫でてくれた。
僕が今まで背負っていた罪悪感はいともたやすく崩れさった。
何て言えばいいかわからなかった。が、彼の優しさに、涙が止まんなかった。
何度もごめんなさいと小さい声で言いながらそれでも優しい声がかけられる。