NG間違っちゃった世界で   作:仙儒

20 / 21
18話

「朝から大活躍だったそうじゃないか、白馬の王子様!」

 

 そう言って背中を強く叩かれる。

 痛え~よ。

 

「何の事だ?」

 

 こいつは学校で俺に話しかけて来る数少ない男子の一人。

 何と言うか、まぁ、憎めない奴だ。

 

「お前あれだけ堂々と女の子をお姫様抱っこして来てそりゃねーだろ、しかもクラスのマドンナの巴マミをよ」

 

 ああ、今朝の、と言うか、さっきの事か。

 通りで何時もよりも視線が強いわけだ。

 と言うか、

 

「マドンナ?そんなの居たのか?」

 

 俺の答えに不満を抱いたのか、眉間に皺をよせている。

 

「お前まさか、知らないとか言わないよな?」

 

「知ってたら聞かないだろう」

 

 そうか、同じクラスだったのか。

 全然知らなかった。あの子は巴マミって言うのね。

 まさか、あの金髪少女が同じクラスだったなんて、世間って狭いな。

 まぁ、俺の学校に関する興味が皆無なのが原因だと思われる。

 

 確かに此処の教育は生前の俺の学校に比べれば馬鹿なんじゃないの?ってくらい進んでて、小二にして早くも中学入るかレベルの授業やってるけどさ…、それでもC.E.の月の学校に通っていたアスランの記憶から言えば、次元が違うのだ。

 此処に通ってるのだって世間体としての事と、杏子を学校に入れる手前、自分が学校に行かないって言うのは筋が通らないからだ。

 何が言いたいかと言うと学校自体に興味が無い。

 

 だから、友達ができないんだよね。

 

「カー、これだからもてる奴はきにくわね~、リア充マジで爆発しろ!」

 

 そう言われてもな~。

 

 

 この後、休み時間に成るたびに鬼ごっこかクラスの内外からの女子軍団の尋問を受けた。

 人助けしたのに良い事ねーな~。嫌、見返りを求めてるわけでは無いけどさ、普通に、静かに過ごしたいじゃん?

 

 

 そう思い、持ち前の運動力と、反射神経に放送室にと隠れて、連中を巻いて食堂へと向かう。

 追いかけてる連中、何時昼飯食ってんだろうな。

 

 そんなことを考えながら食堂に辿り着く。

 ここの学校、月に一度集金があり、食費を一々払わなくても良いシステムに成っている。

 メニューは三つでそれぞれ栄養バランスが考えられて毎日変わりながら作られている。そこの隣にはクッキーやおやつ、デザートを備えられていてそれらは、それぞれがおこずかいで好きに買うと言う形を取っている。

 

 そうしたらそこで見慣れた姿が見えた。杏子達だ。

 杏子は何時も何か食っている印象しか持っていない。家でも常に何かを食ってるし。

 一体あの小さな体の何処に入って行くんだろうか?

 

 まどかちゃんもさやかちゃんも居る。それにもう一人誰だかわからないけど一人居た。きっとお友達だろう。

 

 やれやれと思いながら財布を取り出す。

 

 そのまま、五千円を取り出して後ろから杏子の頭にポンと手を乗せながら置く。

 

 それに「あ?」と振り返って来る。そうすると振り返り俺だと気付くと同時に、頭に置かれた五千円が落ちる。

 杏子はそれを掴むと輝いた顔に成り、

 

「どうしたんだよ、こんなに太っ腹じゃねーか」

 

 そう言いながらにやけてる杏子に、

 

「お前だけじゃなくてまどかちゃんとさやかちゃんとそこの娘のぶんだよ」

 

 まどかちゃんは何か言いたそうだったけど一緒にいた知らない娘が声をあげて、遮られてしまう。

 

「あの、私は別に…」

 

 そう言って断ろうとしたが、

 

「年上の好意は受け取っとくもんだ。それに一人だけ仲間はずれってのは悲しいだろ」

 

 その言葉と共に足早にその場を後にする。

 ああいうのはどこまで行っても平行線になるからな。

 

 改めて食堂に自分が食べる分を注文する。

 そう言えばあの娘が戻ってこなかったな。

 

 まだ、保健室で寝てると昼を食べられないで授業に出ることになる。

 でも女子の好きそうなメニュー何てわからないし、前に並んでいた女子が頼んだものと同じものものでいいか。

 注文してすぐに頼んだものが出て来た。

 

 二人分のそれを持ち、途中でジュースを二人分買った。

 

 保健室には幸い、無事に辿り着けた。

 

 保健室の扉を開けると案の定と言うか、何と言うか、今朝寝かせたベッドの場所にはカーテンがかかっていた。

 

「あれ、ザラ君どうかしたのかしら?」

 

 保健室の先生が聞いてきたので、俺は彼女が寝ているベッドを見ながら、昼食を見せた。

 

「目が覚めて何も食べずにいるのは体に良くないので」

 

 そう言いながらカーテンの中にある置きつけのテーブルに昼食と途中で買ったジュースを置く。

 

 それと、今日授業でやった内容を記したノートを置いた。

 

 そのまま、保健室を出ようとしたところで、先生に止められる。

 

「ザラ君、此処でお昼食べて行っちゃいなさい」

 

「いや、流石にそれは、流石に」

 

 断ろうとしたが

 

「もうすぐ昼休みも終わりよ。此処で食べていかなければ時間が無くなるわよ」

 

 そう言われるとぐうの音も出ないのだが、

 

「今日だけよ、それにちょっと用で少し留守にしなきゃなんないのよ。ちょっとの時間だから頼める?ああ、次の時間の先生にはちゃんと伝えておくわ」

 

 お願いね~と言いながら、保健室を出て行った先生。

 普通生徒に持ち場を任せるっておかしくないですか?

 

 まぁ、暇な授業を大義名分を得て堂々と休めるからいいか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。