暇だ。
小説はクラスの鞄の中だし、図書室に行こうにも、先生に保健室を任されているのでここから出る訳にもいかない。
本当だったら未だに目を覚まさない彼女、巴マミの様子を伺いたかったのだが、インキュベーターの監視が此方に向いている。
故に下手に干渉できないのだ。
何故にインキュベーター達は俺を監視しているんだろうな?
家に居る時は杏子のインキュベーターがずーっと此方についてくるし。
おかげで、下手に魔法を行使できなくて歯がゆい思いをしている。
ここから狙撃しても良いんだが、それだと俺の正体がばれてしまう。
興味があるのは良いが、その興味を今は倒れている彼女に向けると言う事をしてほしい。
はぁ、不幸だ。
セイバーに聞いたら目を覚まさないのはメンタルン面の影響らしく、体事態はもう平気だと言う。
昨日の負けを気負いすぎてんのかね?
まぁ、しょうがない。小2の彼女には命がけの戦いは相乗以上に精神を抹消し、すり減らして言った事だろう、ましては昨日は死にかけたのだ。
これが恐怖に感じないはずがない。
大丈夫だ…、などと無責任な事を軽々しく口にしていい事では無い。
勿論、これからも陰からサポートしていくつもりだ。だが、表立って動くわけでは無い。彼女からしてみれば、孤独と死との世界をたった一人で歩まねばならない。
彼女の戦いは冷静で的確だった。でも、そう言う奴に限ってやせ我慢している可能性が大きい。どうもキラに重なって見えるのだ。
…、
悩んでてもしょうがない。此方がどれだけ考えても彼女の事を救う事は出来ない。
デスクに向かい合い、書類を手に取り、整理したり、書かなければならない場所にはそこにあったペンで記入していく。
それが終わったら、わかりやすいようにまとめて置く。
ふと生前の事が思い浮かんだ。
「何時だって、どんな時だって。物事に立ち向かわなければならない心がある
歩くんだ、歩き続けるんだーーーその彼方にはきっと…」
”求めてた答えがあると信じて”
これがお前が忘れた”モノ”だ。
かっこいいよな。臆病者の俺とは正反対だ。
深紅の宝石が秘かに光っていたのに気が付かづに…、
逃げていた。
逃げ続けていた。
ただただ、怖かったのだ。一人誰に知られることなく孤独に終わることに。
当たり前だ。孤独な道のりだってわかりきっていた。
それでもあの騎士に憧れた。
誰にも知られることなく、人々の平和を護るために戦い、誰に称賛されることなく、それでも戦い続ける平和を護る騎士に憧れた。
わかっている。騎士もまた、孤独との戦いであったことぐらい。
それでも、少しでも騎士の助けになれるのならば、そう思い弱い自分を奮い立たせて来た。
最初は覚悟もなく戦った。途中からは覚悟を持って戦わざるおえなかった。
後悔したことだって一回や二回じゃない。
それでも立ち上がったのはひとえに、騎士に対する深い感謝の念と憧れがあったからだ。
彼女の中ではそれ程に騎士に対する思いが強く、また、騎士が居るからこそ立ち上がる性格だった。
それは、あの日家族と自分を助けだしてくれたという、王道展開だという理由としては十分すぎる物だ。
(何時だって、どんな時だって__、)
「な、何?」
(物事に立ち向かわなければならない心がある)
騎士と同じ声だった。
(歩くんだ、歩き続けるんだーーーその彼方にはきっと…)
頭にイメージが湧いてくる。
そこには絶望しかない。
それでも騎士は進み続ける。
”求めてた答えがあると信じて”
これがお前が忘れた”モノ”だ。
頭に冷や水をかけられた思いになる。
そうだ、始まりはそれだった。今更逃げ出すことは許されない。自分が許さない。
くじけるのはまだ先だ。こんなところで立ち止まって居られない。
早く騎士に追いつき、再開してからだ。
目が覚めて一番最初に見たのは病院のような環境だった。
点滴こそない物の消毒液のにおいや、自分を囲むような白いカーテン。
そう言えば朝学校に来ようとして、そこから先の記憶がない。
何か大事な事を忘れている気がする。
思い出そうとしてもかすみがかって思い出せない。
そう考えて居ると、くぅ~っとお腹が鳴り、顔を真っ赤にした。
今のを誰にも聞かれてないか、周りを確認してしまう。