NG間違っちゃった世界で   作:仙儒

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19話

 暇だ。

 小説はクラスの鞄の中だし、図書室に行こうにも、先生に保健室を任されているのでここから出る訳にもいかない。

 本当だったら未だに目を覚まさない彼女、巴マミの様子を伺いたかったのだが、インキュベーターの監視が此方に向いている。

 故に下手に干渉できないのだ。

 

 何故にインキュベーター達は俺を監視しているんだろうな?

 

 家に居る時は杏子のインキュベーターがずーっと此方についてくるし。

 

 おかげで、下手に魔法を行使できなくて歯がゆい思いをしている。

 

 ここから狙撃しても良いんだが、それだと俺の正体がばれてしまう。

 

 興味があるのは良いが、その興味を今は倒れている彼女に向けると言う事をしてほしい。

 はぁ、不幸だ。

 

 セイバーに聞いたら目を覚まさないのはメンタルン面の影響らしく、体事態はもう平気だと言う。

 昨日の負けを気負いすぎてんのかね?

 まぁ、しょうがない。小2の彼女には命がけの戦いは相乗以上に精神を抹消し、すり減らして言った事だろう、ましては昨日は死にかけたのだ。

 これが恐怖に感じないはずがない。

 

 大丈夫だ…、などと無責任な事を軽々しく口にしていい事では無い。

 

 勿論、これからも陰からサポートしていくつもりだ。だが、表立って動くわけでは無い。彼女からしてみれば、孤独と死との世界をたった一人で歩まねばならない。

 彼女の戦いは冷静で的確だった。でも、そう言う奴に限ってやせ我慢している可能性が大きい。どうもキラに重なって見えるのだ。

 

 …、

 

 悩んでてもしょうがない。此方がどれだけ考えても彼女の事を救う事は出来ない。

 デスクに向かい合い、書類を手に取り、整理したり、書かなければならない場所にはそこにあったペンで記入していく。

 

 

 それが終わったら、わかりやすいようにまとめて置く。

 

 

 ふと生前の事が思い浮かんだ。

 

「何時だって、どんな時だって。物事に立ち向かわなければならない心がある

  歩くんだ、歩き続けるんだーーーその彼方にはきっと…」

 

 ”求めてた答えがあると信じて”

 

 これがお前が忘れた”モノ”だ。

 

 かっこいいよな。臆病者の俺とは正反対だ。

 

 

 深紅の宝石が秘かに光っていたのに気が付かづに…、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逃げていた。

 逃げ続けていた。

 ただただ、怖かったのだ。一人誰に知られることなく孤独に終わることに。

 

 当たり前だ。孤独な道のりだってわかりきっていた。

 

 それでもあの騎士に憧れた。

 

 誰にも知られることなく、人々の平和を護るために戦い、誰に称賛されることなく、それでも戦い続ける平和を護る騎士に憧れた。

 

 わかっている。騎士もまた、孤独との戦いであったことぐらい。

 

 それでも、少しでも騎士の助けになれるのならば、そう思い弱い自分を奮い立たせて来た。

 

 最初は覚悟もなく戦った。途中からは覚悟を持って戦わざるおえなかった。

 後悔したことだって一回や二回じゃない。

 それでも立ち上がったのはひとえに、騎士に対する深い感謝の念と憧れがあったからだ。

 

 彼女の中ではそれ程に騎士に対する思いが強く、また、騎士が居るからこそ立ち上がる性格だった。

 それは、あの日家族と自分を助けだしてくれたという、王道展開だという理由としては十分すぎる物だ。

 

(何時だって、どんな時だって__、)

 

「な、何?」

 

(物事に立ち向かわなければならない心がある)

 

 騎士と同じ声だった。

 

(歩くんだ、歩き続けるんだーーーその彼方にはきっと…)

 

 頭にイメージが湧いてくる。

 そこには絶望しかない。

 それでも騎士は進み続ける。

 

 ”求めてた答えがあると信じて”

 

 これがお前が忘れた”モノ”だ。

 

 頭に冷や水をかけられた思いになる。

 

 そうだ、始まりはそれだった。今更逃げ出すことは許されない。自分が許さない。

 

 くじけるのはまだ先だ。こんなところで立ち止まって居られない。

 早く騎士に追いつき、再開してからだ。

 

 

 

 目が覚めて一番最初に見たのは病院のような環境だった。

 点滴こそない物の消毒液のにおいや、自分を囲むような白いカーテン。

 

 そう言えば朝学校に来ようとして、そこから先の記憶がない。

 何か大事な事を忘れている気がする。

 思い出そうとしてもかすみがかって思い出せない。

 

 そう考えて居ると、くぅ~っとお腹が鳴り、顔を真っ赤にした。

 

 今のを誰にも聞かれてないか、周りを確認してしまう。

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