<後一度だけ、奇跡は起こせるよ>
そんな声が頭に響く。
優しい声で誘う歪んだ世界。
その声の主は私の病室のベランダに居た。
猫のような、そうでないような不思議な生物。
深紅の何を考えて居るのかわからない瞳だった。
「私も彼みたいになれるの?」
彼女、巴マミを助けてくれた人の事を思い出していた。
紅の騎士様。
私を、私達を助けてくれた彼を思い出していた。
初めて会ったのに、大切な人とすぐにわかった。
<彼が誰を指しているのか僕にはわからないけど、今よりもより多くの事ができるのは事実だね>
そう言って一言言って
<君にはその素質と権利がある。さぁ、僕と契約して魔法少女に成ってよ>
選ばれた者、もしかしたら彼みたいになれるかも知れない。
そうしたらきっと、もっと彼と出会うチャンスは大幅に増える。
「…、わかったわ。お願いできる?」
そう言うと耳から垂れてるそれが伸び、私の胸を貫かれる感覚がした。
意識が無くなる前に、
<これで契約は完了だよ、よろしくね、マミ>
それだけが聞こえた。
オープンチャンネルでの念話が聞こえたのでセイバーをセットアップして音速で駆けつけたが、遅かったようだ。
これで誰だかは知らないが、戦いの運命から抜け出せなくなった。
戦って、戦って、戦って戦って、何も報われること無く朽ちていく、呪われた道を。
そんな残酷な運命は俺一人が背負うので十分だ。
かと言って今からビームライフルで狙撃しても遅いだろう。
最悪、何があるかわからない。
歯がゆい状況でただ、見守るしか選択肢は残されて居なかった。
はぁ、杏子に次いで、誰だかわかんないけど、その娘にも目を配らないといけないか。
それにしても杏子も杏子で話てくれればいいのに言ってくれないし。
まぁ、俺を一般人だと思ってるから余計かな。
直接関与することも無かったし。
危なっかしいところはあったけど、それだけだ。
インキュベーダーが居なければもっと自由に介入できるんだけどな~。
そう思いつつ、仕方が無いので戻っている途中に魔力を検知してそこに行くと誰かが飛び降りようとしていた。
何か魔力に酔って操られてるようだ。
飛び降りる瞬間、後ろからわきの下に手を入れて、安全柵の中に戻り、気絶させる。近くの壁に黒い何かが刺さっていた。
あれが原因か。
一応、目が覚めるまでの間はケージング・サークルで囲って置く。
チェーン・バインドでも良かったんだが、見た目がね…。
そのまま、黒い塊に触れると結界が展開される。
歩いて移動している。何か白い頭のモフモフにヒゲ着いたのが何匹も居て、中にはいびつな鋏で切りかかってくる奴もいたが、基本、ビームライフルでぶち抜いて終わり。
最深部だと思われる部屋の扉を開けたら、巨大な鋏を持った奴が居た。
相変わらずピカソだな~。
そう思いながらスラスターを付加して一気に加速、肩のビームサーベルを抜きつつ回転して過ぎると、持っていた巨大な鋏が腕ごと落ちる。それに驚いて声をあげているが、後ろからその頭を撃ち抜くと、魔女は消滅した。
弱いんだか、俺がチートなのか…、多分後者なんだろうな。
また黒いアイテム手に入れた。これで21個。ジュエルシードならば全部そろっているぞ、そう思いながら、ケージング・サークルを解除する。
黒い髪の毛に白い肌の女の子。頬が少し紫がかっている。酸欠か、こりゃぁ心臓の病気だな。
病院も近く出し連れて行きますか。
流石に病院に行くのにあの格好は不味いだろうと思い、バリアジャケットを解除して、お姫様抱っこで、抱えて病院に急ぐ。
病院の受付まで行って「この子がそこで倒れていた」と言ったら「暁美さん!」と言ってナースの一人が抱えて行って残りのナースが事情を教えてくれた。
連れてくる途中にセイバーに回復魔法を頼んでおいた。
セイバーはこれならば、この世界の技術で治せると言ったが、早く治るのに越したことは無いだろう?
そう言うと黙ってしまった。