ロンドン某所。
「ひっ、や、止めてくれ!金なら………金ならいくらでも払う!だから、命だけは!!!!」
「…………恨むんなら、自分を恨むんだな。」
そう言って少年は愛銃の引き金を引く。
パシュッ!
「がっ!?」
銃口より発せられた弾丸は男の脳天を穿つ。
辺りに血が飛び散り男はそのまま力なく崩れ去る。
男の絶命したのを確認した少年はジーンズのポケットから、携帯を取りだしある番号へとかける。
数コールすると彼女のやたら耳障りの悪い声が聞こえた。
『ハァーイ。もう任務は終わったのかしら?』
「ああ。任務完了だ。万事、滞りない。」
『そう。じゃあ、すぐに処理班を向かわせるわね。』
「ああ、そうし________」
「見つけましたよ、ジョーカー。」
少年の言葉を遮るように、背後から声がする
「!?」
少年は後ろを振り返り、声の主を視認する。
月夜に照らされた金色の髪が美しく靡いている少女だった。
「…………」
少年は少しの沈黙の後、先ほどの男だった肉塊にしたのと同じように少女へと銃口を向け、その引き金を______
容赦なく引いた。
刹那、少女の眉間に弾痕ができ、周囲に血が飛び散る。
そして少女も力なく崩れ落ちた。
「……………ごめんな。」
『どうしたの!?ジョーカー?もしもし!』
「うるせぇな、聞こえてるよ。」
ケータイのスピーカー越しにカン高い声が聞こえてきた。
「…………見られた。彼女には申し訳ないが…………」
『そう………あなた、やっぱり……………最低ね。』
「………ああ。解ってるさ。」
「まだ…………死んでませんよ?」
「!?」
ふと、背後から再び声が聞こえた。
しかも、先ほどと同じ声で。
少年の頭の中には「有り得ない」という言葉が響き渡る。
そして恐る恐る、後ろを振り返る。
そこに立っていたのは間違いない。
見間違う筈など無い。
何せそれは、先ほど少年が撃ち殺したはずの、あの金の髪が美しい少女だったのだから。
「っ!………」
「ああ、もう!痛いじゃないですか。それにこの服、結構気に入ってたのにぃ!」
「どう……言う、ことなんだ……………何で死んでない…………外した?いや違う!俺は確実に。」
有り得る筈がない。
弾丸で脳天を貫いて、普通の人間が死なないわけがない。
いや、人間どころか大抵の生物がそうだ。
ならば、今目の前に居るこの少女はいったい何者なのか?
「………言いたいことや聞きたいことが多々あるかもしれませんが………今は、私の話を聞いていただけませんか?」
「…………ああ。了解した。しかしここはもうすぐ人が来る。お前のこともあるし、場所を変えようかと思うんだが。」
「はい。よろしくお願いします。」
そう言って二人はロンドンの、霧深い闇夜に消えたいった。