十六夜に舞う紅き華   作:ルヴァリア

2 / 3
たぶん誰も見てないんで好きにやらせてもらうよ


最強の殺し屋

深夜、ロンドンのとあるバーにて。

「………………」

「………………」

二人は隣合い沈黙を続けていた。

「君は、また厄介事を背負い込んできたのかい?」

ふと、マスターである初老の男性から聞かれた。

「いや、今回のは転がり込んできたというか…………まあ、とにかく、俺に非は無いと思うんですよね。」

「はっはっはっ。ところで、なにか飲む?」

「俺はエスプレッソで。…………あんたは?」

「へっ?………私ですか?」

「以外誰が居るんだよ?お前は何飲む?」

「えと………じゃあ、オレンジジュースで。」

「かしこまりました。」

そう言うと男性は背後の棚からグラスを用意する。

「…………何も言わないんですね。」

「何がだい?」

ふと、少年が男性に問う。

「いや、深夜に殺し屋が血塗れの女連れて来てるんですから、もっと何かあるでしょう?普通。」

「はっはっはっ。君は僕が普通だと思うかい?」

「いや、まあ…………そうでしたね。あなたは、此方側の人間だ。」

「元を付けてくれたまえよ、まあでも正直言うとすごく気になるね。」

男性はふざけた笑みを浮かべそう言う。

「はい。お待たせ。」

そんな話の腰を折り、男性は二人の前にグラスを差し出した。

「それじゃ、僕は奥でラジオでも聞いてるさ。何かあったら奥まできてくれ。…………イヤホンしているから何を言っても僕には聞こえないよ。」

そう言って男性はドアの向こうへと消えていった。

 

 

「………………」

「………………」

そして再び二人に沈黙が訪れる。

「…………はあ、黙ってても拉致が明かねぇな。

まあ、軽く自己紹介だ。俺の名は十六夜。裏では【ジョーカー】の名で通っている。政府公認の殺し屋だ。」

「あ、えと、私はアリス。………アリス・ブレアと言います。」

「………で?お前俺に何の用だ?探してたんだろ?」

「はい。」

「何のために?」

「あなたに…………お願いがあるんです。」

「仕事の依頼ってことか?」

「はい。私の依頼は………殺してほしいんです………………私のことを。」

「……………はあ?」

「だから、私を_______」

「いや、聞こえてる聞こえてる。そこじゃないんだよ。」

「じゃあ、どこなんですか?」

「そもそも弾丸で脳天をブチ抜いて死なねぇような奴を、どうやって殺せばいいんだ?」

「それがわからないからあなたに頼んだんですけど。」

「それよりも、お前は一体………何なんだ?」

「わかりません。……どうしてこうなったのか、なぜ死なないのか。」

「……………ちょい、おでこ見せろ。」

そう言って十六夜は少女の前髪をずらし、自分の弾丸を撃ち込んだであろう位置を確認する。

「…………傷が………消えてる?」

そうなのだ。確かに十六夜はアリスの眉間に弾丸を撃ち込んだ。しかも、その弾はアリスの脳を貫き背後の壁にめり込んでいたのにだ。

生物的に有り得ない、としか言いようがなかった。

「正直、ここじゃ何も解らん。一旦家に帰るわ。」

「あ、はい。さようなら。」

「いや、お前も来るんだよ。」

「えっ?ちょっ…………」

そう言って十六夜はアリスの腕をつかみ、財布から代金をカウンターの上に置いて、帰路へとついた。

 




ぐったぐだでも良いじゃないだって誰も見てないんだもの
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。