真姫からなんとか曲のCDを焼き直して貰った帰り道、偶然花陽と出会った有宇は自らの真姫を心配する想いが、かつて星ノ海学園で奈緒を救えなかったことへの罪悪感からきているものだと気付かされる。動揺する有宇の耳に聞こえてきたのは、穂乃果達のそばに居ると決めた時に聞こえたのと同じ“あの声”。益々動揺し、最後には崩壊の能力を発動させようとする有宇を止めたのは、件の人物、友利奈緒だった。
有「と、友利…いつから?」
ものすごいタイミングで現れ、人を蹴っ飛ばしてくれた闖入者に、僕は道に這いつくばったままの状態で訪ねた。
友「んー、いつからっていうとまああなたが女子高生のストラップを買い取ろうとしてた所からですね。」
いや、スクールアイドルの、な?僕を現役女子高生の持ち物買おうとした変態みたいに言わないでくれる?
と、突っ込めなかったのは、その言葉の意味がそれ以上の衝撃を僕に与えていたからだ。
――あなたが、ストラップを買おうとしたところからですね。
―――つまり、友利は僕と小泉の会話を聞いてた、ってことになる。
……どこまで、気づいてる?真っ先にそんなことを考える自分に嫌悪感を抱かずにはいられないが、それ以上にコイツに知られたくないという気もちは大きかった。
自分への同情や罪悪感で僕が他の人を手助けしていたと知ったときコイツがどんな反応を見せるのか。
それを知るのが、とても、怖い。
有「…見てたんなら知ってるだろ。あれは、A-RISE。スクールアイドルだよ。」
探るように、慎重に。そうやって出した言葉に違和感を感じたのか、友利は一瞬だけこちらに目を向けたが、「そーなんですか。」と話を続けた。
友「まあとりあえずそろそろ立ってもらえます?周りがすごい目でこっち見てきてますし。さっさと帰りましょう。」
有「誰のせいだよ…。」
友「あのままほっといた方が良かったですか?」
有「…ありがとうございました。」
素直にお礼を言うと、うむと頷く友利。まあ何も言うまい。コイツが蹴っ飛ばすのがあと数秒遅れていたら冗談抜きで死んでいたかもしれないのだ。いや、念能力を使える僕は助かったかもしれないが、周りにいた人達を巻き込んでしまっていた可能性はかなり高い。そう考えるだけでゾッとする。
友「まったく、高坂さんの崩壊の監視に付けた貴方が崩壊起こしそうになってどうするんですか…。…帰りますよ。歩未ちゃんがオムライスを作って待っています。」
意外にもお咎めなく解放されたことに違和感を感じながらも、僕は友利の横に並んで歩き始める。僕が友利の横に並んだのを確認してから、友利が口を開いた。
友「……先ほどの話。」
有「ん?」
友「…ストラップの話です。スクールアイドル、と言うとこの前高坂さんがやると言っていたアレですか?」
有「…ああ。そうだよ。」
監視対象の能力者、つまり高坂についての報告を、僕はほぼ毎日友利に対して行わされている。その中の一つに、高坂が何をするために学院に残ったのか、という説明も確かしたはずだ。
友「ふむ…聞いたところ学校のアイドルが校外でも活動をするというシステムのようですが…。それをあなたが手伝っていると。」
有「まあ監視の一貫だけどな。」
話の流れに不穏なものを感じていると、案の定と言うべきか、友利はついに決定的なセリフを口にした。
友「…そしてそのアイドルグループの作曲をしてるのが西木野さん。そう言えば最近随分熱心でしたね。」
覚悟していた事なのにそれを聞いた瞬間、僕は激しく動揺した。身体中から冷や汗が出て来るような錯覚に陥り、表情は完全に固まってしまう。友利は一瞬こちらに目を向けながらもまるで気づいていないかのように歩いていく。
……これは、バレてる、ってことなんだろうか?そもそも、コイツは頭も良く、かなり鋭い。元々僕の考えなどお見通しで、最後の確認にカマを掛けただけなのかもしれない。時が止まったような静寂の中で、友利の口だけがゆっくりと動き始める。どんな罵倒がくるのかと身構える僕にかけられた言葉は、予想だにしないものだった。
友「……いい事なんじゃないですか?。」
……は?意外どころか状況に合わないとまでいくような友利のセリフに唖然としていると、友利が続けて話し始める。
友「あなたがやっているのは善行ですよ。何が理由であろうとね。」
有「……」
黙り続ける僕に構わず、友利は続ける。
友「
有「いや、友利、それは――」
友「―――ただし。」
ようやく動いた口で反論めいた事をしようとする僕を遮るかのように、友利が言葉を続ける。
友「それはあなたがちゃんと西木野さんに向き合えている限りの話です。その誰かと重ねて見てしまうのではなく、ね。」
有「…」
友「…イメージの押しつけは悲しいですよ。」
西木野さんにとっても、
友「
話す友利は完全な無表情で、彼女が何を思っているかを感じ取ることは出来ない。
友「ですが私は、そうなっている今の現状を何一つ後悔していません。私は超能力者を守る為に動く現状に誇りを持っています。今こうしていることが、あの頃よりも不幸だとか思ったことは一度もないんすよ。」
ともかく、友利は締めるように言う。
友「あなたがいいと思っていることが、イコールで相手のいいと思っていることとは繋がるとは限らない。そういう事ですよ。あなたが本当に西木野さんの力になりたいと考えているなら、まずは彼女にきちんと向き合ってあげなさい。」
少し話しすぎましたかね。と言うと、僕の1歩前へ踏み出す友利。
友「…余計な話が長くなってしまいましたね。私は用事があるので先に戻ります。さっきの話、忘れないでくださいよ?」
有「あ、ああ。」
どうにか返事を返すと、友利は「では。」と言って曲がり角を曲がっていった。
友利が完全に見えなくなったのを確認してから1人呟く。
有「余計な話、ね…。」
僕には「私は大丈夫だからもっと自分のことを気にしろ」と言ってるようにしか聞こえなかったけどな。いつの間にかあげていたらしい手をポッケに引っ込めながら、一人歩く。あいつは「関係ない話」とも言った。…謝らせてもくれないということなのだろう。余計な同情心や、罪悪感の為に人助けをして自己満足をしていた僕を責めようともせず、ただただこれからを良くしようとすることに力を注ぐ。
有「相手と向き合う、か。」
呟きながら元来た歩いていく。西木野のため、高坂達のため、小泉のため、東條先輩のため、そして友利のため、僕に何が出来るのか。ない頭を働かせているにも関わらず、先程まで止まらなかった頭の「声」、そして頭の痛みが、少しずつ薄れていっているのを感じていた。
第11話決意、二月分の投稿です。今月は受験期で遅れてしまったのと、先月は正月特別編を書いて間隔を開けてしまったので、あらすじを書いてみました。下手すぎて要点が分かりにくくてすいませんm(_ _)mでもお陰で受験も終わったぜ!これからはペースをあげるぜ!週一とかで書いちゃうぜ!((絶対無理))。
まあそんな感じでできる範囲で頑張っていこうと思います。それでは拙い文章ですが読んでくださった方々ありがとうございましたm(_ _)m