Charlotte〜乙坂有宇と9人の女神〜   作:黒髪ワタル

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早目に書けちゃったので投稿します~( ~’ヮ’)~一応6月分(?)の投稿ですm(_ _)m


第3話 始動

「……ふぁ〜あ。」

 

いつもより1時間ほど早い時間に目覚める。ようやく桜が咲いてきたばかりの春の朝は空気が冷たく、震えながら洗面所に向かう。

昨夜はあまり眠れなかったにも関わらず足どりはしっかりしていて頭もスッキリしていることに少し驚いた。

 

 

────これは新しく環境が変わることに不安を感じているのか、それとも────

 

 

そんな益体もない事を考えながら歯を磨く。僕は口をゆすぐためのコップに溜めた水を眺めながら昨日のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

───────有「……おい、ちょっと待て、じゃあつまりお前は僕にこの学校に転校して1年間彼女の監視兼護衛をやれって言ってるのか?」─────────

 

 

 

 

 

突然の提案に驚きに震える僕に畳み掛けるように友利はにこやかに言い放つ。

 

 

 

 

友「はい!何か問題でも?」

 

 

 

 

……またいい笑顔で頷くなこいつは…。

 

 

 

 

有「いや…転校って…確かにそれができれば堂々と監視につけるが、そもそもここが女子校なことに変わりはないんだが…。」

 

 

 

 

 

男が転校させてくださいって言っても正式に断られるか警察に通報されるかの違いでしかない。……いや結構重要だなそれ。僕の冷静な反論に友利は1度思案顔で頷くと急に表情を真剣なそれにして言った。

 

 

 

 

友「…女装すればいいんじゃないですか?」

 

 

 

有「するか!?シリアスとギャグパートを混同させるんじゃねえ!?」

 

 

 

 

またなんでさっきみたいな真剣な表情でそんなことが言えるんだよ!?やめろよなちょっと嬉しかったんだぞアレ!?

 

 

 

 

友「冗談ですよ。あなたにはテスト生としてここに転校してもらいましょう。幸い廃校の危機にあるこの学院なら男子生徒を取り入れるため、という言い訳もできますしね。」

 

 

 

 

ニコリともせずにそう言う友利。…お前が言うと冗談に聞こえねえんだよ…。

 

 

 

 

有「……。」

 

 

 

友「どうしました?これなら誰もが要望を叶えていると思いますが?」

 

 

 

返事をせず黙り込む僕を不審に思ったのか、確認する様にこちらに問いかける友利。いや、不満はないんだけど……。

 

僕はなおも数秒黙っていたが、諦めて話すことにした。もう今更だしな。

 

 

 

 

 

 

有「……歩未が心配なんだよ」

 

 

 

 

 

友「……シスコンですねえ。」

 

 

 

 

 

有「ほっとけ」

 

 

 

 

 

そうと分かっていてもどうしても口調が投げやりになることだけは止められなかった。反応も予想通りだしな。でもコレばっかりはどうしようもない。歩未は1度とても危険な目に遭っているし、前の世界ではそれが原因で歩未をなくしてしまった。僕は同じ思いをもう2度としたくないし、するわけにはいかない。確かに今でも中学と高校は別だが、僕がもしこの学院に転校すれば少なくとも学校にいる間はかなり遠くに離れてしまう。シスコンだなんだと言われようとそれだけは嫌だった。

 

 

 

 

友「…わかりました。それでは学校にいるあいだ歩未ちゃんは私が責任を持って面倒をみます。それでも信用出来ないのならここの近くの中学への転校を許可しましょう。」

 

 

 

 

有「……いいのか?」

 

 

 

 

友「…私も歩未ちゃんのことは心配ですし。転校の方はそもそも歩未ちゃんはあなたに能力を奪われていて能力が発動する心配はないので特に問題はないっしょ。」

 

 

 

 

有「……そうか。ありがとう。でもやっぱりあいつはあっちに残しておこう。せっかく出来た学校の友達とムリヤリ離すのも可哀想だしな。……それに…。」

 

 

 

 

 

友「?。それに、なんですか?」

 

 

 

 

途中で途切れた言葉を訝しるように顔を覗いてくる友利に僕は「いや、何でも。」と顔を背けてしまう。

 

 

……それに、お前に任せた方が僕が見ているより安心だしな。

 

 

それほど気になることでもなかったのか、僕が顔を背けると友利は「そーですか。」と言って、あっさりと僕から離れた。

 

 

 

 

友「では、いいんですね?」

 

 

 

 

有「ああ。不本意だけどしょうがない。1年間の護衛と監視、引き受ける。」

 

 

 

 

僕は友利にそう答えると、少し離れた位置で疑問符を浮かべたままの少女に向き直ると手を伸ばして言った。

 

 

 

有「…そんなわけで、乙坂有宇だ。」

 

 

 

 

少女は相変わらず状況が呑み込めていないようだったが、やがておずおずと僕の手を握る。

 

 

 

穂「わ、私…高坂穂乃果。」

 

 

 

有「高坂か。よろしく。」

 

 

 

僕がそう言って笑いかけると、ようやく彼女も笑顔を見せてくれた。

 

 

 

穂「…うん!よろしくね!」

 

 

 

 

───────初めて正面から見た彼女の笑顔は、やっぱり太陽のように眩しかった────────

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

歩「有宇お兄ちゃん〜?早く来てご飯を一緒に食べようなのです〜!」

 

 

リビングから聞こえてきた歩未の呼ぶ声にハッとなる。どうやらかなり長いこと回想していたらしい。時計を見ると結構な時間が経っていた。歯磨きを終え早歩きでリビングに向かうと歩未がドアの前で少しだけ怒ったような顔をして迎える。

 

 

 

歩「もお有宇お兄ちゃん?お友達を待たせておいて中々起きてこないなんていけないのです〜!」

 

 

 

有「あん?友達?」

 

 

 

もちろん呼んでない。不審に思って歩未をどかして奥を覗き込むと全く友達などとは程遠いメガネがイスに座って勝手にお茶を飲んでいた。

 

 

 

有「テメェ高城なにしに来やがった?」

 

 

 

高「おはようございます乙坂さん。いやぁそれにしても妹さんはお茶がいれるのがとてもお上手ですね。」

 

 

 

顔を見るなりいきなりケンカごしの僕を全く意に返さずお茶を飲みながらそんなことを言ういけ好かないメガネ…でなく高城は会って数秒でいきなりげんなりし始めた僕の顔が見えていないかのようにそのまま続ける。

 

 

 

高「もちろん転校してしまった親友である乙坂さんにご挨拶に来たのですよ?」

 

 

 

有「…あー、ハイハイ親友な。オッケーわかった。で、ホントは何しに来たんだ?俺の親友は何の用もなくいきなり人の家に押しかけるようなやつじゃないだろう?」

 

 

 

めんどくさかったのでノッてやることにした。

 

 

 

高「ははは、さすがですね乙坂さん。……お茶もう1杯頂けますか?」

 

 

 

僕でなく、歩未に向かってそう言う高城。いきなり話かけられた歩未は一瞬固まったがすぐに笑顔になると。

 

 

 

歩「はいなのです〜!ついでにもう一人分の朝食も用意するので少々お待ちくださいなのでござるー!」

 

 

 

と言うと、とてとて台所へ戻っていった。

 

 

 

高「そこまで気をつかってくださらなくても…。」

 

 

 

と、ぬけぬけと苦笑する高城に僕まで笑ってしまう。

 

 

 

有「よく言うぜ。このためにわざわざこんな時間に押し掛けて来たんだろう。」

 

 

 

そう。このタイミングで僕と2人で話すために。

 

 

 

有「で、本当に何の用だ高城。」

 

 

 

ドカっと高城の前に腰をおろしながら聞くとようやく高城はメガネを少しあげ真剣な表情をして僕に向き直った。

 

 

 

高「…もちろん、昨日の話を乙坂さんがどこまで理解していらっしゃるかを確認しに来たんです。」

 

 

 

やっと本題に入ったか……ってか、え?

 

 

 

有「理解?確認?何のことだ?」

 

 

 

話の意味がわからない僕は聞こえたままにオウム返しをする。すると高城はなんとも言えないような微妙な表情を見せて再び話し始めた。

 

 

 

高「乙坂さん……友利さんがあなたを高坂さんの監視に選んだ理由…わかりますか?」

 

 

 

有「そりゃあ…僕なら万が一崩壊が起こっても止めることが出来るから、だろ?」

 

 

 

昨日友利自身そう言っていた。が、僕がそう答えると高城は今度こそ完全に呆れた表情で僕を見つめ、物わかりの悪い子供に説明するように話し始めた。

 

 

 

 

高「…いいですか?乙坂さん。あなたがこれから転校するのは能力者の集まりでもなければ秘密裏に建てられた高校でもない、普通の学校です。もし崩壊しそうになった学院とそれを防いだヒーローのような話が学院の外に漏れたら最後、2人揃って一生研究者達のモルモットですよ。」

 

 

 

 

 

有「……。でも…そしたら友利は一体僕に何をやれってんだ?」

 

 

 

 

 

まさかモルモットやれってわけじゃないだろうし。

 

 

 

 

高「友利さんがわざわざ口に出さなかったのを私が話すというのはあまりいい気はしませんが…よく考えてください乙坂さん。私達は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、事を大きくはできないんです。つまりもちろん崩壊を起こすわけにもいかない、だからこそ友利さんはあなたを派遣したんです。……もうおわかりですよね?」

 

 

 

有「……まさか、僕に高坂の能力を奪えって言うのか?…でもお前達はそれに反対していたんじゃなかったのか?」

 

 

 

 

そこまで言われてようやくそこにたどり着いた僕に高城は満足そうに頷く。

 

 

 

 

高「もちろん、いざという時はという話です。彼女が絶望せずに1年間終えることが最善の方法には変わりありません。ですが、もし崩壊が起こりそうになったとき、あなたが使うべき能力は浮遊でも、念動力でもなく、略奪です。実は脳への負担については私も友利さんもあなたと考えは同じです。まさかいきなり記憶に障害が出てくるとは思いませんし、あなたがそこまでの覚悟をもって臨むというのならとめる権利などありません。」

 

 

 

 

 

高「……わかりましたか?つまりあなたはこれから1年間あなたがすることは彼女の護衛でなく監視でもなく────」

 

 

 

 

 

 

ここで高城は1拍おいて続けた。少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべながら。

 

 

 

 

 

高「───最悪の悲劇を避けるためのストッパーとして彼女の側にいてあげてください。」

 

 

 

 

有「……ふぅ。」

 

 

 

 

秋葉原の駅を降りて神田へ向かう。目の前がきらびやかなチカチカした町並みから昔ながらのという住宅街が広がっていく。歩いていくうちにだんだんと街の喧騒が遠ざかるのを感じながら僕は今朝話した(結局朝飯も僕の家で食べていきやがった)高城の話を思い出していた。

 

監視ではなく、ストッパーとして、か…。正直、どっちの解決でも特に問題ないんじゃないかと思う。崩壊が起こった瞬間に僕が念動力を発動させてしまえば大きく広がることなく事を止められる。奴らの耳に入るほど大事になるとは思えないのだ。

 

 

 

…まぁこれは研究者達を知らないからこその楽観的思考なんだろうな。

高城の表情はそんなことになってしまえば間違いなく僕達2人は研究者に捕まると語っていた。それどころかあいつからは、できれば略奪すら使わないで一年が過ぎてほしいという念がありありと感じられた。

 

それは多分研究者達うんぬんの話より略奪による僕の脳への負担を考慮してのことだろう。あいつはあくまで1年間崩壊を起こさずに過ごすということに賭けているようだった。…そしてそれは、きっと友利も。

 

 

 

 

 

 

……ふん。まぁあいつらには僕がいない間歩未の面倒をみてもらうことになってるしそうでなくとも元々多少の恩はある。ここらで返しておくのも悪くない。

 

 

 

 

 

有「…ここか」

 

 

 

 

 

 

僕は校門にたどり着くとこれから1年世話になる校舎を見上げた。古いながらも趣きのある校舎とすでに満開となっている何本もの桜は、新しい転校生を迎えてくれているような気がした。

 

 

 

 

 

有「…さて。じゃあまずはあいつの友達になることから始めるか。」

 

 

 

 

 

 

────今から思えばここが全ての始まりだったと思う。僕は校門をくぐり、動き出した。彼女を崩壊から守ったり、その前に能力を奪って止めるのではなく、彼女に崩壊を起こすような絶望を与えないようにするために─────

 

 

 

 

 

 

 

 




……ハイ、すみません、まだラブライブキャラが穂乃果ちゃんしか出てきませんでした。ゴメンナサイ。次回!次回こそは!((フラグ))
まぁ前書きでは一応6月分の投稿って事にしてありますがたぶん6月中にももう1話書くと思います(ヒマだし)。
最近UAやお気に入りが少しずつ増えてきていてとても嬉しいです!ホントありがとうございます(⊃‐^)
それでは拙い文章ですが読んでくださった方々ありがとうございましたm(_ _)m
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