はこちん!   作:輪音

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CLⅩⅣ:愛に生きる、ということ

 

 

提督がいないと艦娘は狂うのです、とその駆逐艦は言った。

狂うかね、と聞き直したら、必ず狂いますときつく言った。

それでは提督に依存しているのかと聞いたら、違うと言う。

依存しているのではなくて、共存しているのだと言われた。

共存しないと駄目かと聞いたら、駄目になりますと言った。

共存とはなんだと聞いたら、ケッコンすることだと言った。

ケッコンしないと駄目かと尋ねたら、気持ちの問題と言う。

気持ちはそんなに大事かと聞いたら、人間と同じと言った。

 

 

提督は必要かね、と聞いたら、必要ですと軽空母は言った。

指揮能力や作戦立案能力が提督より上の者さえいるだろう。

そう言ったら、有能なだけが提督の条件でないと返された。

有能でなくていいのかと聞いたら、状況次第だと言われた。

状況とはなんだと聞いたら、人柄も大事なのだと言われた。

人柄が状況に影響するかねえと言ったら、無言で微笑んだ。

男前の方がいいだろうと聞いたら、特に拘らないと言った。

醜男よりも美男子がいいだろうと、更に詳しく突っ込んだ。

男は顔じゃないでしょうと哀れむような顔で切り返された。

そんなにあの男がいいのかと、憮然としながら聞いてみる。

苦笑いしながら、焼きもちですかと女のようなモノは言う。

ふざけたことを抜かすな、女ですら無い癖にと嫌味を言う。

女ではありませんが、女のようなものですと彼女は言った。

 

 

提督がおられるからこそ戦えるのだと戦艦が女の顔で言う。

提督がいないと駄目かねと訊ねたら、勿論ですと即答した。

無能な提督だと困るだろうと言ったら、大丈夫ですと言う。

なにが大丈夫だ、と聞いたら、私たちが守るからと言った。

つまらぬ男でも守るのかねと聞いたら、当然だと言われた。

惚れたからかと聞いたら、女はそのために死ねると言った。

男にはわからぬと言ったら、女の為に死ぬ男もいると言う。

口が減らんなと言ったら、腹は減りますよと切り返された。

 

 

姉妹愛に生きているのです、と軽巡洋艦は夢心地で言った。

そんなに姉妹艦は大事かと聞いたら、勿論ですと断言する。

引き離されたらどうすると聞いたら、ニヤリと無言で笑う。

提督に興味は無いのかと聞いたら、時と場合によると言う。

興味を感じない提督の時は無視するのだと彼女は断言した。

そいつに口説かれたらどうすると聞くと、撃ちますと言う。

空砲かね、と聞いたら、実弾の方がいいですけどと言った。

そんなに提督は嫌いかねと聞いたが、そうでもないらしい。

なら何故あんなことを度々やったと聞いたが、微笑むだけ。

 

 

提督とケッコンするのは私だけですと、潜水艦は自信満々。

キミだけかね、と聞いたら、そりゃあそうですよと言った。

そんなに彼はモテないのかと聞いたら、逆ですよと言った。

モテるのにキミとだけケッコンするのかと怪しく思い聞く。

過去の醜聞を散々暴かれて、貰い手がいないのだと言った。

誰が暴いたのかねと尋ねたら、とある艦娘の名を洩らした。

そんなことをしてどうなると言うが、仕方ないですと返す。

そこで思い出す。

あの鎮守府は、とっくになくなっていたよなということを。

 

 

 






【最速駆逐艦閑話】

「島風、ちょっと聞きたいんだがいいかな?」
「かまわんよ。なんだ?」
「そこの連装砲たちだが、どうやって動かしているんだ?」
「サイコミュ。」
「え? 本当?」
「だったら、いいな。」
「まあ、そうなるな。」
「他になにかあるか?」
「動かし方が謎だとしても、まあ多分脳波制御とか、独立駆動系のなにかなんだろうなあ。」
「そこは妖精の謎技術で。」
「それ、便利な方便だな。」

「砲撃以外でなにに使っているんだ?」
「ワイヤーの端と端を二体に持たせて、敵の足に引っ掛ける。」
「引っ掛かる?」
「引っ掛かる。」
「初見殺しか。」
「島津並だよ。」

「その、パンツ丸見えはなんとかならないかな? まあ、外では陽炎型スパッツを標準装備させているけど。」
「これは余の見せパンだ。」
「そうなの?」
「そうだよ。」
「それにしてもだな……。」
「そもそも提督の趣味で、ああいうスパッツを履かされているし……。」
「ちょっと待て。個人的趣味じゃない。下着丸見えを防いでいるんだ。」
「スパッツを履いていたら、その中は履かなくていいのか? その場合はこの見せパンとどう違うんだ?」
「……え?」
「冗談だ。陽炎型はスパッツの下にTバックを履いているようだがな。」
「お、おう。」

「提督、駆けっこをしよう。」
「お前でもそういうことを言うんだな。」
「中身は外見に引っ張られるものさね。」
「そういうものか?」
「そういうものさ。」
「私は走るのが全然早くないぞ。」
「提督と走れるのが嬉しいのさ。」
「そうか。」
「では提督が負けたら俺の言うことを聞く、俺が負けたら提督にエッチなお仕置きをされる、ということで。」
「は?」
「ヨーイドン!」
「ちょ、待てよ! 大淀! 吹雪! 島風を確保してくれ!」

「提督、あくまでも仮の話なんだがいいかなかな?」
「なんだ、なんでも言えばいい。私たちの仲だろ。」
「その、提督を分割して皆に配る場合、どうやったら一番公平かなと思ってな。」
「……え?」
「あ、いや、その、会合でちょっと猟奇的な話になってなんだか盛り上がって。」
「なにそれこわい。」
「その、本当にバラバラにするつもりは無いんだ。単純に分けたらどうかなと。」
「ちなみに最も競争率の激しい箇所はどこですかいのう、なあ最速駆逐艦さん?」
「それを言うのは恥ずかしいな。」
「もしかして……。」
「う、うむ。」
「目玉?」
「う、うーん。」
「ホルマリンや瓶が沢山いるね。」
「まあ、そうなるな。」


【ちょいオマケ】

「金剛さんのあのフレンチクルーラーみたいな髪型って、毎日結われているんですか?」
「オー、あれはウィッグだよ。」
「成程……。では隼鷹さんは、あの髪型をどう管理されているんですか?」
「あれは、部分的にほっそい針金状の形状記憶合金を仕込んでいてね……。」


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