はこちん!   作:輪音

192 / 347
CⅩCⅡ:司令官と長姉駆逐艦

 

 

 

「司令官、お風呂が出来ましたよ。」

「おお、済まんな、吹雪。じゃあ、とっとと入るか。」

「そうですね、ちゃっちゃとさっさと入りましょう。」

「ちょっと待て。」

「どうされました?」

「なんで君も脱いでいるの?」

「司令官と一緒に入るためです、決まっているじゃないですか。」

「あのさあ、一応俺はこの鎮守府もどきの責任者。わかるよね?」

「ええ、勿論です。」

「その責任者が部下と混浴するだなんて、公序良俗に反するぞ。」

「日本では最近まで、混浴出来る温泉が全国各地にありました。」

「はあ。」

「艦船の魂を持つ私たちにとって、司令官との混浴は普通です。」

「はあ?」

「お湯がどんどん冷めますから、司令官、早く入りましょうね。」

「ま、いっか。ところでなあ、吹雪。」

「なんです、司令官? やりますか?」

「やらねえよ。」

「残念ですね。」

「あ~あ。」

「どうされました?」

「普通の吹雪が欲しかったなあ。」

「私のおっぱいは普通の標準の吹雪より二センチも大きいんですよ! 二センチも! 触ってみます?」

「触らんわ。」

「うぶですねえ、ふふふ。」

「これがモノホンの艦娘だったら、うふふきゃっきゃなんだが。」

「あこがれます?」

「部下と不適切な関係を持ったとして、処分対象になるだけさ。」

「その時は一緒にどこまでも逃亡しましょう。」

「お前と関係を持つのが前提なのな。」

「え、司令官、まさか何名もの艦娘と関係を持ちたいんですか?」

「そんな訳ないだろ、一名でもてんてこ舞いなのに。」

「私って、罪な女ですね。」

「錯乱してるんじゃねえ。」

「完全体ですよ、完全体。」

「不完全体の間違いだろ。」

「お背中洗いますね。」

「マイペースな奴だ。」

「おっと、手が滑ってしまいました。」

「やめれ、やめれ、やめんと怒るぞ。」

「ここはもうとっくに怒っていますよ。」

「ただの生理現象に過ぎないのである。」

「よーし、私がやっつけちゃうんだから!」

「なにをやっつけるつもりだ、お前はよ。」

「なに、ってナニに決まっているじゃないですか。」

「当たり前のように言ってんじゃないぞ、駆逐艦。」

「司令官は照れ屋さんですね。」

「歳上のおっさんから言われるとゾッとするわい。」

「今は可憐な美少女の姿じゃないですか、司令官。」

「ただし、外見に限る。」

「その内、中身も好きになりますよ。」

「さりげなく、くっつくんじゃない。」

 

 

「おお、このアジのカルパッチョは実に旨いな。」

「私が釣ってきて、絞めて、調理しましたから。」

「中身が俺より歳上のおっさんでなければなあ。」

「何事も慣れですよ、慣れ。」

「地味に厭なことを言うね。」

「明日はお好み焼きにしますね、司令官。」

「いいねえ、そうだ。たまにはそばを載せたお好み焼きを食べて……。」

「はい?」

「あ、その、ええと……。」

「なあ、司令官はん。」

「あ、ああ。」

「ワシもな、こないなことになっとるから、司令官はんになんと言われようとかまわんのですわ。」

「す、すまんな。」

「ええんです、実らぬ恋と知っておるさかい。でもな、お好み焼きにはそばを入れんもんなんです。」

「えっ、でも広島の……。」

「あかん。それ以上言うたらあかん。そないなことを言われたら、ワシは司令官はんを……。」

「わ、わかった。お好み焼きにかやくご飯は付くのかな?」

「はい、司令官。にゅうめんも付けましょうか?」

「おう、頼むよ。吹雪の作る飯は旨いからなあ。」

「任せてください!」

「あはは。」

「うふふ。」

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。