はこちん!   作:輪音

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CⅩCⅧ:被食者と捕食者

 

 

提督になったらわかるけど、結局俺たちって被食者なのであって、つまりは捕食者じゃないんだよなあ。

権力と立場で勘違いしやすいけど、それって砂上の楼閣なんだよなあ。

ヤったつもりなんだけど、本当にそれは勝利なんだろうか?

勝利したと思わされてはいないだろうか?

征服したと思わされてはいないだろうか?

男ってバカばっかだからなあ。

セックス&バイオレンスで勝ったつもりになっている。

自分自身の完全勝利を疑ってすらいない。

アホや。

みんなアホや。

そういう連中は結果的に皆いなくなった。

どこへいったかなんて知りたくないなあ。

勝ったと思わされているだけなんじゃね?

本当は……。

 

勝てる見込みがちっとも全然まるっきり無いやん。

軽い気持ちで受け入れたのが間違いだったかなあ?

まさか、こんな風になっちゃうとは思わなかった。

見込みが甘すぎた。

教育係達まで取り込まれるとは思いもしなかった。

真面目な子たちなんだけど、免疫力が無さすぎた。

あいつら、前より格段に……。

そういや、あいつのとこ、ケッコン経験艦があんなにまだいるけど、大丈夫なのかね?

まだ童貞らしいけど。

俺もお仲間だけどさ。

まるで仔犬たちとぬいぐる……おうふっ!

 

「はぁーい、提督! いっちばーん!」

「なんですかなんですかぁー? 提督、私のことがそんなに気になりますかぁー? うふふ♪ えいえいえい♪」

「あら、司令官。私の身体でお役に立てることがなにかあるかしら? うふふ♪ えいえいえいえいえいえい♪」

「えっ、なになに? どうかしたの?」

「あ、あの……な、なんでしょうか?」

「素面だよう……本当だってばさあ。」

 

お前たち……。

なんで、そんな恰好をしている!?

ここは平静を装って即時離脱だっ!

大丈夫!

大丈夫!

まだ大丈夫!

 

「あっ、いやいや、ちょっとな。」

「なになにー? あたしの出番?」

「およ? 提督、どうかしたの?」

「私の美肌に見とれていたのね♪」

「構ってー! なんか構ってー!」

「提督に抱きついて破廉恥です!」

「イケるイケる! ヒャッハー!」

 

ヤバい!

不味い!

即時離脱すべしと本能が警告を発している!

やわらかすぎる!

不味い! 不味い! 不味い!

ちくわ大明神よ! 我に力を!

 

「お、お前たち、早く寝なさい。俺もこれから寝るから。」

「「「「はーいっ♪ ではでは、ご一緒しますね♪」」」」

「こんな私でも提督のお役に立てて、本当に嬉しいです。」

「メシの時に仕込んだからさ。ほら、もうギンギンだろ?」

「はい?」

 

 

「ちょっと待ってくれ頼む!」

「はりきっていきましょう♪」

「夜の砲雷撃戦、始めるよ♪」

「私も一緒にいかせて。ね♪」

「よし、やっちゃうからね♪」

「身体が火照ってきました。」

「おちんぎんは消毒だーっ♪」

 

 

あ、危ないところだった。

もう少しで俺は……。

ぼ、暴発分は不問だよな。

くう、あれは危険な技だ。

習った捕縛術が役立った。

猛特訓の甲斐があったぞ。

わざと縛られた者もいる?

まさかそんなことは無い。

無いよな。

お仕置きされたいなんて。

いやいや、まさかまさか。

口にはギャグを噛ませた。

今夜一晩駿河問いの計だ。

天井を強化してよかった。

特注品の石板が役立った。

ミントタブレットを装填。

くく、身をよじるがいい。

天井はびくともせんから。

なんかシュールな光景だ。

ラジカセでお経を再生だ。

お前ら一晩中聴いてくれ。

煩悩退散且つ破邪顕正や!

精神鎮静用のお香も焚く。

執務室で寝るとしようか。

明日は少しお説教しよう。

ナイトメアモードじゃよ。

したくないが致し方ない。

大破の可能性も考えよう。

バケツを用意しとこうか。

雑巾とモップも必需品だ。

タオルも多めに用意する。

したいのは別のことだが。

現在はその時でないのだ。

すべて終わったら電話だ。

あいつは笑うに違いない。

むっきー!

冗談が真になっちまった。

準備万端が効を奏したよ。

もっと平和な夜が欲しい。

鉄格子と防弾硝子の増設。

扉を鉄のものに換装だな。

私室改三なんて笑えない。

いやはや。

 

 


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