とうとう『はこちん!』も第二〇〇話となりました。
皆様の常のご愛顧に感謝します。
節目的記念回なのに、函館が舞台ではないという掟破り的展開でお送りいたします。
今回は六〇〇〇文字程で、登場人物たちが殆どエロいですし下ネタもかなり多いです。
某作品のようにはっちゃけきれませんでしたが、下品なのが厭な方は即時の転進を進言致します。
「俺の嫁艦を! 貴様! よくも!」という方がいらっしゃいましたら、誠に申し訳ありません。
『魔法使いの嫁』と『ベルセルク』と『無限の剣製』風味をほんのり加味し、とある妹スキーで濁った目の人を提督として出演させています。
『艦隊これくしょん』二次作品として異端中の異端的作品ではございますが、『はこちん!』をこれからもよろしくお願いいたします。
この世は魔の森。
死ぬまで抜け出せない、魔物の棲む森。
人の皮をかぶった悪魔たちの踊る森林。
人の生き血をすする魔物が荒ぶる世界。
己の狂気を自覚出来ない者たちの狩場。
みんなみんな狂っているのにそのまま。
狂いっぱなしの社会で皆は生きてゆく。
魔の森に住んでいること自覚せぬまま。
四〇過ぎで引きこもり化した俺は、周囲の説得もあって艦娘乙種に志願することにした。
最悪轟沈し殉職しても、そこそこの弔慰金が遺族に支払われるそうだ。
過労で死んでも、知らぬ存ぜぬ金など払わぬ勝手に死にやがってこっちは迷惑なんだよと吐き捨てる会社は全国各地に無数にある。
学生時代から他人を蹴落とし続ける人生ばかり歩んでいる連中や、弱き者をいじめるのが当然と思い込んでいる連中がのうのうとのさばる、今の日本社会。
差別する側の人間が牛耳る日本社会。
自浄作用なんて最初から存在しない。
間接的な殺人を平気で行う会社はざらにある。
それを屁理屈で正当化する会社もざらにある。
私が死んでも、代わりはいるもの。
そんな状況で苦しむ人たちへ更に鞭打つあんぽんたんがあちこちにいて、たぶん、そんな現状に対応出来ない人はかなりいると思う。
俺も対応出来なかった一人だ。
追い打ち的に深海棲艦の侵攻。
更に歯車会社員が軋んでゆく。
壊れてゆく。
みんなみんな壊れてゆく。
なにもかも。
人をどんどん使い捨てる社会。
勘弁して欲しいよ、まったく。
不景気。
低賃金。
物価高。
重労働。
自暴自棄になる人も少なくない。
人を殺すにゃ刃物は要らぬ、ちょいと仕事を多く与えりゃいい。
なんてな。
乾坤一擲の賭けのひとつが、艦娘になることであった。
世のため人のためになって、死んでも貢献出来る存在。
いろいろと都合がいい。
俺にとってはだけどな。
横須賀の大本営まで行って、書類手続きを済ませる。
新薬の人体実験の同意書みたいな書類を書いていく。
注射を打たれて、数日様子見。
病室みたいな四人部屋には似た境遇に見える人たち。
ぺこりと頭を下げると、同じ反応。
特に会話も無く、劇的展開も無く。
医師と幾つか会話。
童貞であることを知った彼は、何故かしきりに残念がっていた。
別に童貞だろうとなんだろうと、全然関係ないんじゃないかな?
そして、全裸になって、棺桶みたいな箱に入る。
何故か我が息子が勃起していた。
嗚呼、長年の相棒ともお別れか。
急になんだか寂しくなってきた。
液体が注がれ、段々意識が薄れてくる。
急いで最後の自家発電に励んだ。
今更ながら寂寥感が増してゆく。
ぼんやりと、高校生時代に一度だけ見せてもらった巨乳の女の子の胸を思い出した。
あの子と付き合っていたら、人生が変わっていただろうか?
豊かに波打つ髪。
大きな胸。
すらりと延びた脚線美。
嗚呼、そうか。
俺はとっくの前に、幾つも選択肢を間違えていたんだな。
久々に大量の竜吐水を放ち、俺の意識は暗闇に包まれた。
誰かが呼んでいる。
無数の白い手の森。
魔の森だろう。
きれいな脚だ。
脚しか見えぬ。
追いかける。
追いかける。
追いつかぬ。
追いつけぬ。
魔女がいた。
美しい魔女。
豊かな髪。
豊かな胸。
きれいな脚。
交わった。
交わった。
果てしなく交わった。
俺は魔女の虜になる。
茨の檻に囚われた。
魔女が微笑む。
やさしく微笑む。
嗚呼、ここが地獄なのだと理解した。
なんと甘美な地獄なのかと理解する。
茨の檻は頑丈そうに見え、逃げられない。
もう、それでいい。
魔女といつまでも一緒にいたい。
魔女が俺の首を求めるなら、何時でも差し出そう。
それくらいしか出来ないのだから。
茨に薔薇が咲き、散り、また咲き、散りを繰り返す。
繰り返す。
繰り返す。
何度でも。
そんなある日。
骨頭の紳士が現れた。
ここにずっといてはいけないと言われる。
魔女はもう見えない。
あたしが魔女だから。
紳士がさっと杖を振ると、茨の檻に道が出来た。
わかるよね、と言われた。
わかるわ、と応えておく。
歩き出した。
随分長いこと、ここにいた気がする。
紳士はもう見えない。
魔女は既に見えない。
手が溶けてゆく。
足が溶けてゆく。
嗚呼。
これから艦娘になるのね。
嗚呼。
あたしは艦娘になるのね。
建造器から出てくると、周囲の人々から大変驚かれた。
それは、あたしが重巡洋艦の足柄だったからだと思う。
艦娘乙種で重巡洋艦が出てくるなんて極々稀少だとか。
実際、鉄底海峡解放戦時にも数名しか重巡洋艦がいなかったそうだし、その頃と比べると改二的な存在たる今の乙種でさえ、重巡洋艦は初めてだと言われた。
初物よ、初物。
総合性能は本物の駆逐艦並みだけど。
それでも、現在最上位系艦娘乙種よ。
本来の足柄よりも胸乳が一回り大きいと言われた。
周りの男たちがあたしの剥き出しの胸を凝視する。
下半身が反応している男性職員を、何人も確認出来た。
トロンとした目付きでふらふら近づく彼らに違和感を覚える。
近くにいた艦娘たちから、彼らは全員順次駆逐されていった。
それは胸というには
あまりにも魅力的過ぎた
大きく
形よく
たわわ
そして破壊力があり過ぎた
それはまさに
水蜜桃だった
あ~あ。
ついつい勢いでやっちゃったから、童貞のまま処女になっちまった。
あれ?
あたし、童貞だったっけ?
なんとなく違う気がする。
なんだか胸がぎゅっと痛くなった。
とても大事な人と別れた気がする。
でもすぐ傍にいる感じもするのよ。
誰だろう?
誰だろう?
思い出せない。
だけど。
思い出しちゃいけない。
何故かそんな気がする。
あたしは……艦娘よね?
大きく形よき胸。
すらりとした脚。
波打つ豊かな髪。
そんな艦娘になった。
美しきツクリモノに変わった。
後悔なんて無いわよ。
あるのは戦への思い。
配属先の鎮守府はそこそこの規模で、そこは周囲の艦娘一名二名系個人的小規模鎮守府を複数統括する中規模鎮守府だった。
小規模鎮守府には本物の艦娘がいて、それを模造品たちが上位的存在として管理する。
なんだか茶番にも見えるし、派遣社員が正社員を指導するようにも見える。
滑稽な気もするけど、数だけなら乙種の方が多い。
せめて、彼女たちと仲よくやってゆこう。
馴れ合いじゃなく、信頼しあってゆこう。
この中規模鎮守府群を統括するのが、函館鎮守府だそうな。
あちらには本物の足柄がいるという。
一度会ってみたいものね。
ここに所属する艦娘乙種は計一七名。
軽巡洋艦一名、軽空母一名、駆逐艦一五名。
かなりの規模に思えるが、これでも本物の駆逐艦六名に圧倒されてしまう戦力だ。
なんてこったい。
これを補完するのが、艦娘甲種の本物の艦娘たち。
へんてこだけど、しょうがない。
あべこべだけど、しょうがない。
着任したら、何故かみんな、顔を真っ赤にしている。
提督もたらりと鼻血を出していた。
緊張しているのかしら?
だけれども、杞憂は驚愕に変わる。
所属艦娘たち全員からおっぱいを揉ませて欲しいとの要望を伝えられてあたしは驚く。
あの、あたし、中の人はおっさんなんだけど。
みんなもおっさんよね?
みんな、薔薇なの?
ここって薔薇の園?
ばいんばいんの巨乳はあたしだけなので、それを揉み揉みして英気を養いたいらしい。
まあ、そういうお店には行けないし、男が男の乳を揉んで楽しいかどうかは微妙に思えるのだけど。
「揉み揉みは一分五〇〇円よ。ぱふぱふも同じ。ちゅうちゅうは一分一〇〇〇円。」
「金取るんすか、姐さん。」
「誰が姐さんよ。無料にしたらずっと揉み続けるでしょ、あんたたち。」
「くっ、なんも言えねえ。」
「図星を刺されたで御座るよ。」
「有料でも、揉みたいお。」
「男の乳揉んで楽しいのかしら?」
「それは言わない約束で御座る!」
「その豊かな胸でご指導ご鞭撻をお願いいたします。」
「順番が来るまで、いつまでも待ち続ける所存です。」
「足柄さんの見目よきおっぱいだから、揉む価値があるんですよ。」
「ぱふぱふを! ぱふぱふを! 一心不乱のぱふぱふを!」
「ふーん、まっ、いっか。現金決済で先払い出来る子からどうぞ。」
「いっちばーん! へへへ、おおお!」
「なによ、あんたもけっこうあるじゃない。」
「姐さんのおっぱいほど大きくないですよ。」
「おっぱいやわらけー! 最高だぜ!」
「拙者、生きててよかったで御座る!」
「片方ずつとは意表を突かれたわね。」
「次、あたし! あたし! あたし!」
「ママ……ママ……嗚呼、星が見える。」
「幼児プレイはしないわよ。」
「これは提督や艦娘をダメにするおっぱいだわ!」
「あんまりこねくり回さないで欲しいんだけど。」
「あ、あの……。」
「鳳翔さん? え、なんですか、そのお札は?」
「足柄さんのそのおっぱいを、是非とも揉んでみたいんです。」
「えっ……ええ? 鳳翔さん、そっち系の人だったの?」
「ち、違います! 女の人の大きなおっぱいを揉む機会なんて滅多にありませんから、折角ですし、この好機に揉ませてもらおうかと思いまして。」
「は、はあ。」
「あの、私、薔薇でも百合でもありませんから!」
「他の希望者もいますから、今日は五分にしましょう。」
「焦らすのがお上手ですね。馴れていらっしゃいます?」
「なにを言っているんですか。」
「独占は……ダメですよね?」
「ダメです。」
「あ、あの! 足柄さん!」
「神通さん、どうしたんです? お札を握り締めて。」
「これで、足柄さんのおっぱいを揉ませてください!」
「ま、まさか、神通さんも薔薇百合の人なんですか?」
「ば、薔薇じゃないですけど、おっぱいは揉みたいんです。揉み心地がよさそうですし。人をダメにすると噂のおっぱいを揉ませてください!」
「は、はあ。」
「あ、あの、私、こんなモノが付いているんですけど、大丈夫ですか? 見慣れたモノですから、大丈夫ですよね? こんなに大きくなっていますけど、大丈夫ですよね? 触ってみます?」
「は、はあ。その、それ、カチカチなんですが、大丈夫ですか?」
「私は童貞ですから、大丈夫です。」
「正直、不安材料しかありません。」
「なんだか体が火照ってきました。そろそろ夜戦の時間ですね。」
「神通さん?」
「ゆたか、って呼んでください。」
「それ、人間の時の名前! 言っちゃダメですって!」
「その、滅茶苦茶にしてくださってもいいんですよ。」
「あたしたち、初対面ですよ!」
「嗚呼、このおっぱい。このおっぱいに巡り会うため、私は生きてきたんですね。」
「それは違うと思います。」
「嗚呼……嗚呼…………ふう。」
「あの……。」
「次は足柄さんのおっぱいを飲ませてください!」
「出ません。」
「そ、そんな! どうしてお乳が出ないんです?」
「艦娘だからです。」
なんとも変な基地に着任しちゃったわ。
夕飯はカツカレーよ!
みなぎってきたわっ!
どんどん食べなさい!
次々揚げてゆくわよ!
手製の漬物もどうぞ!
「足柄さんのお漬物って、なんだか懐かしい味がしますね。」
「あの、鳳翔さん。」
「なんでしょうか?」
「どうして、あたしに密着しているんですか?」
「密着しては……ダメですか?」
「上目使いにこちらを見る鳳翔さんが、あざと可愛くてびっくりですよ。」
「あの、神通さん。」
「なんでしょうか?」
「何故、あたしに密着しているんですか? 食べにくいんですけど。」
「足柄さん成分を補充しています。ダメですか?」
「なんですか、その足柄成分て。」
「この匂い、このやわらかさ、これこそ足柄さんです。」
「青い巨星もびっくりしますね。」
「嗚呼、この魔乳。濡れてきます。お姉様って呼んでいいですか? 私をスールにしてください。」
「お姉様は別にかまわないですけど、あたしは女じゃないので、スールはちょっと……。」
「問題ありませんわ、お姉様。いえ、ロサ・キネンシス。海百合会を結成しましょう。そして、このリリアン鎮守府の名を高めてゆきましょう! 嗚呼っ! お釈迦様も見ていらっしゃるわっ!」
「……もうお好きになさってください。」
提督は目付きが悪くて、世の中を斜めに見ていて、そして妹スキーな絶倫だった。
その目はどす黒く淀んで濁っている。
駆逐艦たちからお兄ちゃん呼びされ、彼は抵抗していたが半年で陥落したらしい。
連日連夜に行われる、水雷戦隊による波状攻撃を耐えきれなかった結果がこれだ。
駆逐艦たちの本気の猛攻を喰らう破目に陥らなくてよかったと、つくづく思った。
執務室は駆逐艦まみれだった。
やっぱりここは薔薇の園かも。
鳳翔さんと神通さんとに添い寝されつつ、何本もの触手に絡まれる夢を見た。
その触手は細い細い手にも見えた。
白い白い、青い血管の見える手に。
やさしくやさしく愛撫されてゆく。
それらはまるで魔女の手のように。
手の森の中であたしは溶けてゆく。
魔の森の中であたしは溶けてゆく。
翌朝早く、二名の艦娘乙種から同室になって欲しいと泣いて懇願された。
困惑する。
中の人がおっさんだと思うと微妙なんだけど、何故だか美しき情景に感じられる。
駆逐艦たちはとっくに提督を取り込んでいて、ガチガチに防備を固めているとか。
気軽に触れる相手が欲しいのだとぶっちゃけられた。
どちらも融合率が高そうな感じがする。
外見に中身が引っ張られてるんだろう。
ついつい情にほだされ、おっぱいが有料でよければと提案したら即座に了承された。
逃がさへんで、という気迫をギンギンギラギラベギラマに感じる。
はやっ!
早まってしまったかもしれない。
貞操は堅守しよう。
両側から抱きつく両名を連れ、食堂へ向かう。
途中、似た状況の提督とばったり出くわした。
目と目が遭った瞬間。
お互いに苦笑いした。
提督からおっぱいを触りたいと言われたので、一分二〇〇〇円ですと吹っ掛けておいた。
金額を防波堤にしておこう。
簡単に触られたくないしね。
駆逐艦たちも防波堤役だわ。
貞操は大事にしときましょ。
なんとかやっていけそうね。
苦難が多く見えるけれども。
あの頃に比べたら、大丈夫。
と、その時。
廊下の曲がり角からこちらを覗く、なにか美しいモノがニヤリと笑ったように見えた。
それは青く仕立てのよいマントを羽織り、とんがり帽子をかぶっているように見えた。
まるで、運命を司る神だか魔神だかの如くに。
I am bone of my sugar, spice, wonderful things.
体はお砂糖香辛料素敵なもので出来ている。
Glass is my heart,and heavy oil is my blood.
血潮は重油で心は硝子。
I have created over a thousand bullets.
幾度の戦場を超えて不敗。
Unknown to death.
ただの一度たりとて敗走はなく、
Not known to life.
ただの一度たりとて理解もない。
Have withstood pain to create many weapons.
かの者は常に独り 兵装の丘で勝利を叫ぶ。
Yet,those hands will never hold anything.
よって、生涯に得るものなにもなし。
So as I pray,unlimited sugar spice wonderful things works.
その体はきっと、お砂糖香辛料素敵なもので出来ていた。