はこちん!   作:輪音

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SCP-173を土台にして、話を構築しました。



CCⅩLⅧ:無垢~ニイマルマルヨン

 

【ユークリッド級、たぶん】

 

 

特別収容プロトコル:SCP-●●●●は、日本人系中学生の少女に該当する姿を外見としています。

函館鎮守府事務課職員はSCP-●●●●(以下、『彼女』)と業務を行う際、事前に与えられた手順を遵守(じゅんしゅ)しなくてはなりません。

必ず三人以上で『彼女』と共に業務を行い、業務中は施錠された室内で作業を行わう必要があります。

業務終了後は、『彼女』を室内に残したまま全員がほぼ同時に部屋を退出しなくてはなりません。

『彼女』と業務を行う際、常に二人は『彼女』を監視してください。

 

 

説明:『彼女』は二〇一●年池袋騒乱のただ中で生き残っていたところを、メトロン星人によって函館鎮守府事務課に保護されました。

『彼女』の素性は判明していますし、関係者も複数存在します。

一見してなにも問題無いように見えますが、激しい暴動の中で傷一つなく歩き回っていたことにこそ充分留意する必要があります

『彼女』は自身を北海道●●市出身と称しており、それは現地にて確認が可能でした。

両親、同級生、近所の人々などの、彼女に対する記憶が改竄(かいざん)された様子も見られません。

時折『彼女』は『実家』に帰省しており、監視もさせましたが特に危険な兆候は見られませんでした。

また、『彼女』は自身を元●●型駆逐艦の艦娘であると思い込んでおり、話に矛盾が生じると「それは禁則事項です。」と言って誤魔化します。

一度過度の追求を意図的に行わせた結果、その当事者と命令者は行方不明になりました。

彼らの消息は今も不明です。

今後、『彼女』に対してやたら強気に出たり過度の追求を行うことは禁止されています。

 

『彼女』は普段、極めて友好的です。

艦娘に対しても仲間意識があるためか、大変親切に振る舞います。

『彼女』は誰かに直視されている間、快活で前向き且つ勤勉です。

決して、『彼女』から視線を逸らさないでください。

『彼女』は蝦夷鹿や羆(ひぐま)などを、頸部(けいぶ)の圧断や絞殺といった方法で攻撃した過去が報告されています。

地元では『熊殺し』と呼ばれてもいるようで、それへ言及した際に『彼女』は照れた様子を見せました。

ただ、それは擬態である可能性も高いので、慢心は禁物です。

『彼女』がもしも攻撃してきた場合、職員は準一級災厄系収容プロトコルに従うことが定められています。

事務室に彼女しかいなかった時、室内から石を擦っているような音が聞こえてきたと複数の職員が報告しています。

これは通常業務の範疇に入っており、如何なる『彼女』の態度の変化も事務長に報告すべきです。

 

尚、『彼女』の机周辺が汚れていることもありますけれども、それを『彼女』に指摘してはなりません。

職員は『彼女』の机ならびに周辺の汚れを視認出来次第、『彼女』が離席している間に清掃作業を行ってください。

 

 

 

【補遺:二〇一●年●月●●日に於ける取材記録(閲覧権限は係長以上)】

 

(しばしジャリジャリした雑音が続く)

 

えっ、取材ですか?

『ピープス』ですか?

それとも、『ハコラク』ですか?

もしかして、『HO』?

あ、違うんですか。

えっと、私みたいな普通の女の子なんて取材しても面白いんでしょうか?

はい、私は元(ジャリジャリとする雑音)の艦娘で、今は退役していますが、ここ函館鎮守府事務課に奉職出来て嬉しく思っています。

この仕事はとても遣り甲斐があります。

地元の(ジャリジャリとする雑音)に戻った時もみんな羨ましがって、お土産の間宮羊羹や月餅はいつも大好評です。

えっ?

艦娘だった時ですか?

私がいたのは南方の(ジャリジャリとする雑音)泊地で、あそこは毎日が激戦でした。

あの、詳しくお話しないといけないでしょうか?

……助かります、あの時のことは懐かしい面もありますけど、苦しい思い出もありますから。

それで退役した私が東京にいた頃、池袋騒乱に巻き込まれてとても大変でした。

その時にたまたま函館鎮守府関係の方に出会えまして、今はここにいます。

 

ええ、ちっちゃな頃はやんちゃでした。

蝦夷鹿をやっつけちゃったりして。

おいしいですよ、蝦夷鹿。

おいしくないって言っている人は、殺り方が悪いか、解体の仕方が悪いか、熟成の方法が悪いか、調理の方法になにか問題があるかのどれかだと思います。

そっと殺らなきゃいけないんですよ、獣って。

こう、頸をですね…………アッスミマセン、モウスコシデヤッチャウトコロデシタ。

エエト……その、大変申し訳ありません。

あの、大丈夫ですか?

ちょこっと力が入り過ぎましたね。

 

そんなに皆さんに見つめられていると、なんだかとっても恥ずかしいです。

ちょこっと目を逸らされてもいいんですよ、ふふふ。

 

 

(ジャリジャリした雑音が続き、これ以降のやり取りは聞き取れず)

 


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