今回は犬魚様の許可を得まして、『不健全鎮守府』の提督のちょっとエッチな日々を描いてみました。
今話は三五〇〇文字弱あります。
我が鎮守府がなにかと世話になっとる有馬
財閥。
そことは、ズブズブのぐちょぐちょな関係じゃ。
で、跡取りのお嬢さんが鎮守府を是非とも見学したいと言ってきたとかで、小さな娘さんのたっての希望を断るだけの鬼畜力がワシには無かった。
我ながら、甘いものよ。
平戸のカスドースよりも甘いのう。
蟹座を拝命しとる身としては心苦しいが、これも浮き世の定め。
積尸気を思う、今日この頃じゃな。
ふう。
九州の夏は暑く、予算削減のために窓を全開にした執務室。
なんでこんなあっつい時に、仕事をせにゃならんのかのう。
蒸し暑い。
はよう、梅雨明けせんかのう。
なんか重要書類らしい紙束で自分自身をあおぎながら、やたら髪の毛の長い副官に問いかける。
「卿(けい)はどう思うかね、サミヒアイス。」
「五月雨です。有馬財閥の娘さんと、とっとと政略結婚してしまえばいいんじゃないですか。あ、でも、あの歳でお腹を大きくさせたらダメですよ。」
「カーッカッカッカ。言いおるわ、こやつめ。」
「はい、最新作の冷やし珈琲オレです。」
茶色というよりも白濁に近い色合いの液体に満ちた、水滴をその身にまとわせる硝子コップが机の上に置かれた。
「奄美産の黒糖を使った黒蜜と、地元牧場産の低温殺菌牛乳を使いました。はっきり言って自信作です。」
「お前は夕張か。」
「夕張さんもおいしそうに飲みましたよ。口の端からたらりと白っぽい液体を垂らしながら。」
「ほう。」
おそるおそる口に含んでみる。
いつもならば途端に拡がる強烈な苦味や酸味やえげつないナニかに口内が浸食汚染されることもなく、黒蜜や牛乳によって逆にまろやかさや芳醇さを増したかのような錯覚さえ感じた。
冷たさが心地よさを倍加している。
悪くない。
そうか、サミダリューンの珈琲はこうして飲めばそれなりの味になるのか。
「そうそう、夕張さんは提督のアレを飲むより楽だと言われていました。」
ブハッと口中の液体を吐いてしもうた。
白濁した液体に汚染されてゆく駆逐艦。
「もう、なにやっているんですか。」
「それはこっちの台詞じゃ! いきなりなにゆうとんじゃ!」
「えっ? 私、なにか変なことを言いましたか? 青汁とかなんか、そんな感じの飲み物じゃないんですか?」
「こやつめ、すっとぼけよる。」
そこへ鈴谷がやって来た。
「あっついねー、おっ、カフェオレがあるじゃん。いっただきー!」
なんの躊躇も無く、白濁した液体を口にする鈴谷。
「スネークバイト!」
必殺の掌底を無防備な腹にぶつける。
お前の弱点はすべて把握済みよ。
お前の体で、ワシが触れていない場所など無いからのう。
散々提督式エステティックの踏み台になりおった故にな。
あのバターのようにとろける快楽無しに、生きられるか?
のう、鈴谷?
くくく。
ぶはあっ、と口中の液体を駆逐艦に吐きかける重巡洋艦。
筆頭駆逐艦は白濁した液体まみれになってしもうたわい。
鎮守府を訪れた有馬のお嬢さん、山風、早霜、ジャーヴィスと共に入浴した。
なんで、こがあなことになっちょるんじゃろうか?
お嬢さんのたっての願い事らしい。
まあ、ワシは●リじゃねえし、●学生になんとも感じんから問題は無いがの。
ガキどもがやたらとじゃれてきて、北上の気持ちが少しはわかった気もする。
早霜が、有馬のお嬢さんの面倒を見てくれるのがありがたい。
これこれ、お嬢さん、ワシにぴったりくっつかれても困るわ。
これこれ、山風にジャーヴィス、M字で喧嘩をしてはイカン。
女の子がそんな恰好をしてはイカンと、提督は思うのである。
嗚呼、ワシの可愛い浜風ちゃんがここにおってくれたらのう。
「司令官。」
「なんじゃ、早霜。」
「以前浜風ちゃんに漫画のモデルになってもらった時の写真を、私は何枚も持っています。」
「ほう。」
「すっぽんぽんはありませんが、それ以外は大抵あります。」
「言い値で買おう。」
熊野が提督式エステティックなんちゃらをやって欲しいと言うので、終業後に私室へ呼ぶ。
勿論、鈴谷には内緒じゃ。
あやつはきちんと注意しなかったら、毎晩でも普通にここへ平然と来るけえ。
なんのためらいも無く、ワシの目の前でバスタオル一枚に着替える重巡洋艦。
こいつもだいぶん慣れてきたのう。
恥じらいが無くなってきて、ちと残念な気もするが。
ふっ、ワシの秘術的施術を喰らうがいい。
喰らえ!
九州の父の力を!
揉み揉みして、第五スロットに最速スロットルで突撃する。
ハナの穴!
ドリルドリルドリル!
うねるうねるうねる!
ほんの数撃で呆気なく気を失う熊野。
ふっ、ワシの本領はこれからじゃわ。
夕張、明石、青葉と実験的に作られたサウナに入ってみる。
「どうですか? はっきり言って自信作です!」
ムフゥ、と鼻息の荒い夕張。
なににも囚われぬ双丘が揺れる。
「夕張さんにしては普通の作りですね。」
悪魔商人の明石が豊かな胸乳を震わせながら、あちこちを点検している。
「実用性は充分ということですね。それはよいことです。」
死んだ魚の目付きで青葉が微笑む。
サウナから出て汗ばんだ体を冷やした後、更に汗ばむような事態に陥った。
ハナの穴!
氷で作った棒が第五スロットにあんなに影響を及ぼそうとはな。
おそろしいものよ。
明石に頼んでいた桃色映像作品が届いたというので、受け取りに行く。
ロシア経由で輸入された、無審査モノがこの小さな段ボール箱にみっしりと詰まっとる。
おお、見ているだけでワシのギャラクシアンがエクスプロージョンしそうじゃ。
そこへ暗黒商人の工作艦が話しかけてくる。
「ふとした疑問なんですけどね、提督。」
「なんじゃ。」
「提督って、何名もの艦娘と夜を共にしていますよね。時折、街の休憩所にも出掛けていますし。今更、そういう円盤が必要なんですか?」
「甘い、甘い。平戸のカスドースよりも甘いぞ、明石。」
「はい?」
「和菓子ばっかり食べとると、洋菓子も食べとうなる。」
「はあ。」
「九州の菓子ばっかし食べとると、たまには中国地方や四国の菓子も食べとうなる。東京のどら焼きを食べたくなることさえある。」
「そういうものですか。」
「そういうものじゃよ。」
「私にはわかりませんね。」
「女にはわからんじゃろ。」
「ところで、今夜は如何ですか?」
「おいおいおい、唐突じゃのう。」
「女だって、そういう時があるんですよ。」
「そういうものかの?」
「そういうものです。」
香取先生と業務上の打ち合わせ。
流石は先生じゃ。
なんともエレガントに満ちとる。
打ち合わせ後、耳元で囁かれる。
「大人のレッスンをしていきませんか?」
「はい、喜んで。」
それはまさに大人のレッスンじゃった。
小粋なワシらに相応しい時間じゃった。
ウォースパイトな陛下に呼ばれる。
陛下は陸上部の部員みたいにスポーツブラっぽいモノとブルマっぽいモノを身につけ、室内運動していた。
揺れる揺れる、ワシの心も揺れる。
ワシのワシが天元突破しそうじゃ。
色即是空色即是空、積尸気冥界波。
陛下がにこやかに、ワシに言った。
「提督式エステティックが素晴らしいと、クマノから聞きました。」
内心、冷や汗をかく。
熊野、てめえ、なんてことを陛下に言いやがった。
「陛下、先ずはこの私が受けてみたいと思います。」
残念クッコロ女騎士のアークロイヤルがそう言った。
お前はお呼びじゃねえ!
「大丈夫ですよ、アーク。私は提督に全幅の信頼を置いていますから。」
ぐっ、不味い!
陛下から自然と放射される覇気の影響を受けないようにするため、ワシは咄嗟に左の小指を折る。
ぐああああっ!
「よろしくお願いいたしますね、提督。」
「は、はい。」
逆らえよう筈もない。
ワシの私室に招いた。
密室に二人きりじゃ。
国際問題にならんか?
唯々諾々と施術する。
ハナの穴!
陛下の第五スロットは国際問題になりかねないので、流石に自重した。
ロイヤルなロイヤルがロイヤルして、思わずロイヤルになりそうじゃ。
陛下の顔が赤いけれども、気にしない気にしないしちゃあおえんちゃ。
吐息が色っぽくて思わず暴発してしまったが、これは致し方なかろう。
嗚呼、刺激的な日々を過ごしたいものよ。
この平穏で起伏の無い日常も悪くはないが、やはり血と硝煙とオイルのにおいがワシは好きじゃ。
まあ、今夜は浜風ちゃんの写真があるからそれで充分か。
そう思っていたら、我が私室に艦娘たちがぞろぞろ入ってくる。
ふん、こやつら、ワシの小宇宙(コスモ)をおそれぬと見える。
よかろう、ならばかかってこい!
我がひのきの棒の力をとくと知るがいい!
この初期装備、なめてかかると痛い目を見るぞ。
さあ、舐めるがいい!
ひいひい泣かせたる!
いざ、真っ向に勝負!
追う艦娘
追われる提督
九州のとある鎮守府にて繰り広げられる
壮絶な鬼ごっこ
鬼は女か
男は夜叉か
思いは何処か
関門橋か
悲しい愛は
夜戦でぬぐえぬ
通りゃんせ
男の冷たさが
女の愛を加熱させ
過熱した愛が
男を冷淡にさせる
そして新たに
男が見出だした筈の希望は
絶望の始まりだった
夜の提督の部屋に
艦娘が揃う時
悪魔がひっそり笑う
Not even justice, I hope to get to truth.
真実の灯りは見えるか