「テイトクー! 南米沿岸はあらかたオチタヨー! 次はテイトクをオトスヨー!」
「ソコはユズリマセン!」
「シズメ。」
「テイトクはモーットたよってくれてイイノヨ!」
「マア、ソウナルナ。」
百戦錬磨の部下たちが特撮さながらの空中戦を始め、辺りは騒然とし始めた。
またか。
どうして、こうなった。
俺は頭を抱える。
あの時、船は沈んだ。
大本営の策略によって。
不要品と断じられたのだ、この俺は。
そして、その時に死ぬ筈だったのだ。
だが、実際はこうして生き恥を思いきりさらしている。
なんとも難儀なことだ。
いや、滑稽なことかな?
部下たちは何故だか白い肌の姿で俺の元に再集結し、今では戦術群を率いる長として自分は祭り上げられている。
もしかして、お飾りじゃないのかな?
「ナニよ、ナンデ、コッチをミナイの?」
「そ、その、ろ、ろ、露出が多すぎて、ですな。 」
「チンジュフではヘンタイじみていたジャナイ。 」
「な、泣いてもいいですかな?」
「ブヒブヒって?」
「信用度第一位だった部下が、いつの間にか大変辛辣になっていた件。」
「フン、コノママじゃマケソウだから、イマノうちにチョウキョウよ。」
「せ、拙者、鞭とか、三角木馬などは嫌で御座る。」
「ナレルとダンダンカイカンにナルってイウワよ。」
部下たちが、徐々にきつくなってきている気がする。
気のせいなのかな?
どうにも彼女たちの真意がわかりにくい。
そこへのっしのっしと現れる異形。
通称ワ級と呼ばれる補給艦である。
彼女は統括艦でハイパーエリート。
俺が会った頃は普通の艦だったが。
いつの間にやらどんどん変化していることに当惑する。
彼女は大きなワゴンで旨そうなものを沢山運んできた。
南洋の果実にタルトに珈琲の茶器。
異形はにやりと獰猛そうに笑った。
当人に言わせると、快活な笑みだそうではあるのだが。
赤いリボンを装備した彼女は、可愛い声で話し始めた。
最近、その姿に段々と違和感を覚えなくなりつつある。
「果実盛り合わせにハバナのラム酒とエクアドルのバナナを使ったタルト、日本風プリン、ババロア、間宮羊羮、サヴァラン、それにエルサルバドルの珈琲をどうぞ。ルイボスティーに自家製レモネードもあります。」
俺の可愛い部下たちがワゴンに群がる。
まるで……いや、止めておこう。
俺とて命は惜しい。
「この中で、補給艦が一番流暢に人間の言葉を喋る件。」
「タワーブリッジ!」
「ノー! ノー! ギブアップ! ギブアップ! ヘルプミー!」
「テイトクがイチバンヘタレな件。」
その場にいた異形全員が頷いた。
解せぬ。