番外編ぽく。
真夏ではありませんが、ちょっこしこわい話を書いてみました。
実はこういうのがけっこう好きです。
おや、みなさん。
集まってなにをされているんですか?
こわい話を話し合っているんですか?
個人的には稲川さんの初期の話が特に好きですね。
えっ?
私にトリを務めて欲しい?
あまりこわくないですよ。
それに実話って短かったりあっさりしていますし。
……よござんすか?
ようこざんすね。
それでは話しましょうか。
では、【沢山あるわよ】から。
これは知人の実体験なんですが、彼は浮気者でね。
あちこちの女の人と付き合っていたそうなんです。
彼の本命というか、我が儘を一番よく聞く人がまたこれがよく出来た人で、なんであんな奴と付き合っているんだろうと皆で話をしていた程です。
そうこうしている内、急に知人が具合を悪くして病院に担ぎ込まれました。
医師によると、体が既にぼろぼろだったそうです。
見舞いに行っても彼女が付きっきりですから、あまり突っ込んだ話も出来なくてね。
無難な話をしていて、彼女がお手洗いに席を外した時に彼がボソッと言ったんです。
「沢山あるわよ、って言われたからカップ麺とか揚げ物とかスナック菓子とかペットボトルの焼酎とか外国産の食いもんをよく口にしてたけど、あれってなんか関係しているのかなあ。」
続いては【耳かき】。
これは別の知人の話なんですけどね。
その彼もまた浮気者でね、あちこちの女の人とウハウハやっていました。
でもある時から、彼、具合を悪くしましてね。
耳鼻科で診てもらったら中耳炎が悪化しているのが判明して、即入院していました。
手術後の見舞いに行った時、彼はボソッと言ったんです。
「あいつにいつも耳かきしてもらっていたから、こんなことになるとは思いもよらなかったよ。」
あんまりこわくないですね。
あれ?
戦艦棲姫さん、顔色がよくないですよ。
えっ?
元から?
それは失礼しました。
次は【別れよう】。
高校時代の数学の先生が話してくれたんですけどね。
先生が付き合っていた女性はかなり気の強い人で、時々滅茶苦茶になってしまうので大変困っていたそうです。
それである日、先生は別れ話を切り出しました。
話を聞き終えた彼女は台所に向かい、包丁を持って戻ると先生に無言で抱きついていたそうです。
包丁を背中に突き付け、二時間ばかり。
では【なにか見てる】。
これも高校時代の話なんですけどね。
ある日、夜中に目が覚めたんですよ。
窓はカーテンが確実に閉まっていたんですが、強い視線を感じました。
なんだかよくわからないけど動いたらダメだ、って強く感じましてね。
じっとしていたんですが、その視線の主も全然動きはしませんでした。
その内寝ちゃって起きたらいなかったんですが、こわかったですねえ。
ちなみに、私の部屋は二階でした。
ネヴァダさん、大丈夫ですか?
お顔の色がよくないようですが。
そうですか。
なんだか顔色のよくない方が散見されますので、次で打ち止めです。
最後は【図書室】。
これは函館鎮守府着任前、千葉の茂原市にある提督候補生教育施設で体験したことなんですが、ある日資料を探しに図書室へ鍵を開けて入ったら、書架の隙間から人らしき頭が動いているのが見えたんですよ。
ああ誰かいるんだな、って思って資料を探し終えた時にふと気づいたんです。
そういや、この部屋さっきまで閉まっていたな、って。
すみません。
この程度ですね。
みなさん、夜更かしは乙女の大敵ですから、早く寝るんですよ。
あれ?
なんだかあちらの方で物音が……。
その後、おっさん提督は艦娘たちから、【こわい話禁止令】を言い渡されました。
提督に耳かきをしたかったらしい艦娘たちが涙目になったとかならなかったとか。
オイル漏れしちゃった娘が、何名かいたとかいなかったとか。
あるメリケン艦娘がおっさん提督から離れなくて大変でした。
※実際に聞いた話や実体験を一部の素材として用いています。