【艦隊これくしょん】空谷の跫音   作:バイオレンスチビ

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今回の第三話はバイオレンスチビが書かせて頂きます!

第二話
https://novel.syosetu.org/83523/1.html



第三話~揺らめき立つ陽炎~

少々遠出しすぎたようだ。

急がないと時間に遅れてしまう。

「ぅ……」

折られた腕が腫れて痛くて辛い。

それに利き手の右手を折られたのは不味い。

一応、私は秘書艦なのだ。

仕事はほとんど無いにしても流石にこの状態で殴られたら…きっと痛みに悶絶することになるだろう。

コンコン

「失礼します、雪風です!」

ガチャッ

ドアを開ける。

「今日は遅かったなぁ…。」

そこにはいつも通りに私を睨むしれぇがいた。

もう、殴る気満々って感じだった。

そして、しれぇの手によって机の上の何かが飛んできた。

バリィーン!

「…!」

頭に当たって粉々になったのはグラス。

「さっさといつもの奴を持って来い。」

素手で破片を拾いながら答える。

「はい、わかりました。いつも通りのブラックを入れてきます。」

ちょっとした振動だけでも右腕に激痛が走る。

給湯室でお湯を沸かして高級な豆の珈琲を入れる。

痛みに耐えながら静かにゆっくりと香りが残るように入れる。

ピチャンピチャン

赤い血がたれている。

誰の血?…あぁ、私のか。

グラスの破片で切っちゃったのかも知れない。

袖で拭き取る。

大破状態でボロボロの制服だから気にしない。

皮膚に刺さったガラス片を抜きたいけれど、片腕しか使えないなら仕方がない。

「そろそろかな…」

入れたての珈琲を左手に持ち、少し早めに歩く。

遅いとまた殴られるからだ。

笑顔が見られれば殴られても別に良いんだけど今日は流石に身の危険を感じる。

「雪風です、失礼します!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この鎮守府はおかしい。入った瞬間からそう思った。

悲しみと苦しさで空間ごとねじ曲げられているような息苦しさを感じる。至るところで悲鳴や泣き声が聞こえてくるし、極めつけはさっきの雪風だ。

大破をこえた損傷に明らかな生傷、

体を庇うようにいびつな姿勢で泣きながら走っていった小さな後ろ姿が脳裏から離れない。

取り敢えず、この後に確認するべきなのは司令官のことだ。

司令官が虐待等を行っていたら一応、

訴えることもできる。

「ここかぁ…。」

大きな扉の前に立つ。

コンコン

「失礼します。

陽炎型駆逐艦、陽炎です。やっと会えました!よろしくお願いします!」

一応、敬語で挨拶しておく。

「陽炎型駆逐艦ってこたぁ…このクソ餓鬼と同型か…」

視線の先には先程よりもボロボロになり横たわっている雪風の姿。

「ほら、お前は寝てて良いのか?」

ガスッ

「うぐぅ…わかりました。希望に応え「とっとと案内してやれや!」…。」

ガスッ

「返事も出来ねぇか?」

ガスッ

「ごめん…な…さい…。」

そう言いながら危ない動作で立ち上がりヨロヨロとこちらに向かってくる。

「ご案内しま…す…。」

辛そうな顔で足を引きずり

「雪風…。」

 

「雪…風は大…丈夫で…す。」

そう言って彼女は無理矢理笑った。




第四話はビーターのチャンネルが担当します。
https://novel.syosetu.org/83523/2.html
第四話はこちら

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