「俺と、手を組まないか」
突然、そう言ってきた土御門に食蜂は驚いた。
「あなた、自分で何言ってるか分かってるの?数時間前まで私達敵同士だったのよ」
「ああ。能力者殺しから聞いた」
「ならどうして・・・」
「土御門舞夏って知ってるか?」
言いながら土御門が精神系能力者対策のインカムを投げ捨てた。知らないなら能力を使って自分の頭の中を探れという事だろう。
食蜂は能力を使って土御門の頭の中を探る。次の瞬間、土御門舞夏に関する凄まじい量のデータが食蜂の頭に流れ込む。義理とはいえさすが兄だ。妹の好物や趣味まで把握している。
「ええ。今あなたの頭の中から」
「そうか。じゃあ本題に入るぞ。と、その前に」
土御門は懐から拳銃を出すと、斜め上に向けて一発撃った。何かが砕けるような音がした。
食蜂は質問する。
「何をしたの?」
「監視カメラの排除だ」
土御門は拳銃を懐にしまいながら答えた。
「で、本題っていうのは?」
食蜂が土御門に聞いた。土御門が悔しそうに答える。
「能力者殺しに舞夏が人質として捕らわれている。俺は舞夏を助けるために、能力者殺しと手を組んだ。そして出た命令が・・・」
「私の殺害ね」
「そうだ」
土御門が答えると、食蜂はやれやれと肩をすくめ、言った。
「いいの?敵の私達と手を組んで。舞夏ちゃん、人質に取られてるんでしょう」
「いや、お前との対戦中にメールが来た」
「なんて?」
「『この館のどこかにお前の妹を置いて来た。せいぜい超能力者達と仲良く探したまえ』だと。クソッ、ふざけてやがる」
「確かに、ふざけてるわね」
「さらにそれだけじゃない。能力者殺しは俺達が勝っても負けても死ぬように、この部屋の外にトラップを設置した。つまり安全地帯はここだけだ」
「だからさっき監視カメラを壊したの?」
「ああ。これで会話も聞かれてたらたまったもんじゃないからな」
「そう」
食蜂はそう言うと、数秒間考え込むような仕草を見せ、土御門の方を向いた。
「いいわ。協力してあげる。ただ、私は戦闘向けじゃないから、私が危険な時は助けてよ」
「了解」
「そして早速、あなたの出番よ」
「何?」
土御門が辺りを見回すと、どこから入って来たのかいかにもスキルアウトらしき少年たちが十人ほど、土御門達を取り囲んでいた。
土御門は溜息を吐くと、食蜂にリモコンを渡した。
「俺だって超人じゃない。この人数を相手にお前を無傷で守り抜けるか自信がない。悪いが自分の身は自分で守ってくれ」
「あらぁ、無傷で守り抜くつもりだったの?あなた、見かけによらず優しいのね」
「行くぞ」
土御門は3メートルの間合いを一気に詰めると、目の前の敵のみぞおちに肘打ちを喰らわせ、怯んだ瞬間にその顔面を掴んで床に叩きつけた。
そして周りが驚いている間に、懐から出したサブマシンガンで5人を射殺する。これで残りは4人だ。
食蜂も上手く立ち回っている。
『印象操作/食蜂操祈は味方。彼女を攻撃する者は優先して排除しろ』
カカカッ、とリモコンを操作し、この命令を二人に下した。
するとどうなるか。
食蜂の思惑通り、食蜂を狙う二人と、『印象操作』を受けた二人が同士討ちを始めた。
「さすが超能力者。これなら大丈夫だ」
土御門の言葉に、食蜂がニコリと微笑む。
今回はかなり頑張って書きました。今後のためにも感想があればどんどんお願いします。