カキカキ
執務室にペンがはしる音が鳴る。最近の執務はパソコンで出来るのだがここの提督は『こっちの方がやり易い』と言って書類にしている。
「司令官、大本営からの手紙です」
「ん。ありがとう、吹雪」
「はい」
提督は吹雪から大本営の手紙を受け取る。
「なになに...。吹雪」
「何でしょう?」
「桟橋に行くぞ」
「何故?」
「いいから、いいから」
「えっ、えぇー」
吹雪の手を引き、提督は桟橋に向かった。
ー桟橋ー
「急に桟橋なんかに来てどうしたんですか?」
「実は今日、新しく配属される艦娘が来るそうだ」
「どんな方です?」
「あの艦を操る艦娘だ」
そうして提督は沖の方を指差す。吹雪もつられて見ると...
「あっ...」
指を指した方向には、右舷から左舷まで壁のようにある艦橋、艦首付近にある14cm単装砲、そして他の艦より高い舷側を持つ艦―――間宮がこちらに向かってきていた。
「...もしかして提督」
「そうだ、間宮が配属された」
「おおー!」
吹雪は飛んで喜んでいた。
「はじめまして、間宮です。今回、この鎮守府の食堂を任されました。よろしくお願いします」
「よろしく。俺は、ここの提督だ」
「吹雪です。よろしくお願いします」
「じゃあ、食堂に案内しよう」
「お願いします」
三人は食堂に向かった。
ー艦娘寮本棟・食堂ー
「ここが食堂だ」
と言って、提督は食堂の電気を点ける。白を基調とした部屋が光に照らされる。それを見て間宮はつぶやいた。
「使われた形跡がありませんね」
そう、テーブルや厨房には使われた後が無かった。
「ああ、ここの鎮守府は出来たばかりだし、艦娘たちはどうか分からないが、俺は即席食品を食べていたからな」
「そうだったんですか?司令官」
「ああ」
「そうですか...。では、今日から使わしてもらいますね!」
「どうぞ、好きに使ってくれ」
「では、お昼を今から作りますから他の方も連れてまたお昼に来てください」
「分かった。吹雪、他のやつにも伝えてくれ。俺は残りの執務を終わらせる」
「了解しました!」
吹雪は駆けて出て行った。
「それでは、楽しみにしているから」
「はい。腕によりをかけます」
「ああ、頼んだぞ」
続いて提督も出て行った。
ー執務室ー
カキカキ
提督の執務の内容は様々ある。旗艦が提出する出撃報告書の確認や開発、建造の報告書、現在の鎮守府の装備などである。それを秘書艦と手分けして作業し、大淀まで届けるのだ。
「ふむふむ」
今は、ちょうどこの前行った『南西諸島沖警備』の報告書に目を通していた。
(苦しいな...)
主力艦隊と交戦しなかったものの、被害はけして小さくなかった。
(武器の開発と戦力強化だな)
そう思いながら報告書に印を押す。ふと、時計を見ると、
「もう12時か...よし、行くか」
提督はペンを置き、食堂を目指した。
ー食堂ー
食堂内は吹雪から話を聞いてかここの艦娘全員が集まって、食事を楽しんでいた。
「いらっしゃい、提督」
「ああ、間宮。厨房はどんな感じだ?」
「使いやすいですよ」
「そうか、なら良かった」
「どうぞ、お昼のランチです」
「どうも。おお、どれもおいしそうだ」
提督の前に並べられた料理はどれもいい匂いを醸しだしていた。
「では、いただきます」
「はい、召し上がれ」
ーーーーーーーー
ーーーーー
ーー
「ごちそうさま」
「お粗末さま」
「どれも、おいしかった」
「ありがとうございます」
「ああ、夕飯も楽しみだ」
「はい!楽しみに待っててください」
「では、もう少し仕事があるのでまた」
「はい」
提督は吹雪を呼んで執務室へ向かった。
ー執務室ー
15:00
おやつの時間帯になり二人は仕事を切り上げ、応接用のソファに対面で座りのんびりしていた。
「なあ、吹雪」
「はい、何でしょう」
「今、この鎮守府にほしい艦種は?」
「え?」
「いや、この前の作戦は苦しかっただろう」
「そうですね...」
吹雪は考え始める。
「駆逐艦以外の艦種は必要かと...」
「特には?」
「んー。手っ取り早くは空母や戦艦かと」
「そうか、ありがとう」
「いいえ」
二人はまたのんびりし始める。
突然、吹雪が思い出したかのように、
「あっそう言えば司令官!」
「ん?何だ?吹雪」
「呉鎮守府にも『吹雪』が着任したそうですよ」
「ほう」
「配属は第三水雷戦隊だそうです」
「ほう...お?」
「お?」
「その艦隊の所属艦は?」
「えっと、川内型姉妹全員と睦月ちゃんと夕立ちゃんと吹雪だそうです」
「そうか...」
「どうしたんですか?」
「いや、気になっただけだ」
「そうですか」
そう言ってまたソファに身を預ける。そんな時、扉がノックされる。
「はい?」
「間宮です」
「どうぞ」
『失礼します』の言葉と一緒に間宮が入ってくる。手にはお盆があり、上にはおいしそうなパフェが乗っている。
「今度からおやつの時間にこんなのとかを販売と思っているのですが。その前に、提督に味見をしてもらいたいと思って」
そう言う間宮の持つお盆に二人は目を張った。そこに乗せられたパフェは大きめで、様々なフルーツが盛られている。
「ほうほう。頂こうか」
「はい。お願いします。吹雪ちゃんのもありますよ」
「わーい」
二人の前にパフェが置かれる。
「「いただきます」」
二人はスプーンでパフェを一口食べた。とても甘い香りが口いっぱいに広がる。提督は思った、「さすが、将兵に人気だっただけはある」と。
「「ん~!!おいしい~」」
「おいしいですよ!!間宮さん!!」
「ありがとうございます!他にも餡蜜や団子なども作りますよ」
「ああ、本当に美味しいな。ところでいくら位で売る気で?」
「150円くらいを考えてます。あと、提督にこれを」
「ん?」
提督に百枚くらいの「間宮券」とかかれた束が渡される。
「これは?」
「それは、それ一枚でこのパフェなどの甘味を一つタダで振舞うものです。大盛りも構いません。艦娘たちに提督が、がんばったと思ったらあげて下さい」
「分かった」
「ではこれで」
間宮は二人の食べ終わったグラスをお盆に乗せて、部屋を出て行った。
「美味しかったですね!」
「そうだな。今度また、食べに行こうか。一緒に」
「睦月ちゃんとかも誘いましょう!」
「ああ、いいぞ。じゃあ、残りも終わらせるか」
「はい!」
そう言って二人は仕事に戻った。
いかがでしたか?
設定用の話ですが、プロローグが終わったら出したいと思います。
ご意見ご感想などありましたら、お書きください。