それでは、どうぞ
零戦52型が四隻の艦隊を捉える。
『吹雪たちの艦隊を発見しました』
「ここは...」
「おそらく敵単艦での偵察艦を撃墜した先ですね」
「という事はまもなく...」
「正面海域の敵主力艦隊との交戦ですね」
そういう提督と大淀がいるのは鎮守府本庁舎にある艦隊司令部。二人は提督の艦載機が送る映像を見ながらそう話した。
「敵艦隊の艦種と編成は?」
「軽巡ホ級と駆逐ロ級二隻のみです」
「そうか」
二人は映像を見ながら交戦のときを待った。
ー鎮守府正面海域ー
吹雪たちの艦隊は先ほど駆逐イ級との交戦を難なくこなし奥へ進んでいた。
「んー。居ませんね」
吹雪は艦橋から水平線へ目を凝らす。いつどこから現れるか分からない深海棲艦に艦橋内は少し緊張に包まれていた。そのとき、
『正面に敵艦隊を発見!軽巡1、駆逐2!』
「全艦に通達!旗艦先頭、単縦陣で敵と交戦す!全艦最大戦速!」
観測妖精と吹雪の指示で一気に緊張感が高まる。四隻は徐々に「吹雪」「古鷹」「睦月」「白雪」の順に縦に並び敵に向かう。
「反航戦で敵と交戦します!砲撃戦よーい!」
吹雪の声と共に全艦の艦砲が左舷側で敵艦を捉える。対する敵も単縦陣で艦砲はこちらを向いている。
「てー!」
ドーン!ドーン!
それぞれの艦砲が弾を放ち、目標目掛けて飛び交う。この交戦で敵の駆逐ロ級一隻を撃沈、軽巡ホ級を小破、もう一隻の駆逐ロ級を大破に追い込んだ。こちらは、古鷹と睦月が微減で済んだ。
「これより雷撃戦に移ります!雷撃戦よーい!」
両艦隊が右回頭し、魚雷発射管を向ける。
「てー!」
魚雷が放たれ海に微かな泡が見える。敵のホ級も負けじと魚雷を放つがこちらの魚雷と当たったりしてあまり数が来なかった。
ドッバシャーン!!
魚雷が命中し水柱と轟音を響かせる。間からはホ級とロ級が沈むのが見えた。
『敵全滅を確認!こちらは睦月が魚雷を受けて中破!白雪に曳航されています』
「分かりました。全艦に伝達、これより鎮守府へ帰投す!」
吹雪たちは燃えて沈む敵艦を横に見据えて鎮守府を目指した。
一方、艦隊司令部では攻略成功に安堵の声が、
「よっしゃー!何事も無くてよかった」
「そうですね提督」
「ああ、そろそろ艦載機を戻す。あと、あいつらを迎えにいこう」
「そうですね」
そう言って二人は桟橋に向かうため部屋を出て行った。提督の艦載機が四隻のほかにもう一隻、吹雪によく似た船体の艦が漂っているのを見ずに。
「ん?何でしょうかあれ?」
同刻、吹雪はその艦を発見していた。
『側面に”サザナミ”と書かれています』
「とりあえず接近して中を見てみましょう」
吹雪たちは艦を寄せて”サザナミ”と書かれた艦の中に入り、辺りを探索した。
「んー。誰も居ませんね。あとは艦長室ぐらいでしょう」
吹雪たちは、艦長室に向かった。
「とりあえず、中に入りましょう」
四人は恐る恐る中に入り、人が居ないか探した。が、結局見つからず部屋の真ん中に集まり首をかしげた。
「戦闘のあとで交戦場所付近にあった帝国海軍の艦なのだからドロップしたものかと思ったのですが...」
「妖精も艦娘の姿も見つからないのね」
「でも、ドロップ艦なら艦娘は居るはずですよ」
「もう一回探しましょうか」
吹雪、睦月、白雪、古鷹がそう言って考えていると、
「本当に端から端まで探しましたか~?ふむふむ」
「探しましたよって!うわっ!」
「”うわっ”って酷いですね~吹雪ちゃん?」
「いきなり現れて何言ってるんですか漣ちゃん!あと、勝手にスカートの中を見ないで!!」
「許可を取ればいいの?」
「そう言う事じゃありません!」
「「「あっ居た」」」
漣は突然現れた。吹雪は顔を真っ赤にして、
「と、とりあえず!これから漣ちゃんを私が曳航して鎮守府まで行きます!」
「りょーかい」
そこからは早かった。各艦に戻り、吹雪は漣の曳航の準備をする。
「古鷹さん!先頭お願いします!」
「了解。全艦前進原速!」
「漣」を加えた五隻は「古鷹」を先頭に「吹雪」「漣」「白雪」「睦月」の順に並び再び鎮守府を目指した。
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時間はお昼前、桟橋には提督と大淀が居た。水平線からこちらに向かってくる今朝出て行った艦隊を見て。
「おー来た来た」
「提督、艦が一隻増えてます。どうやらドロップ艦が出たようです」
「ドロップ艦?」
「はい、出撃した先で敵艦隊と交戦のあと、時々近くに帝国海軍の
「なるほど」
大淀が提督にそんなことを話していると、艦隊はもう桟橋に着けていた。
「司令官!」
「おお、お帰り。結果は?」
「はい!最初に駆逐イ級一隻と交戦、こちらは損害無く撃墜。次に軽巡ホ級一隻と駆逐ロ級二隻と交戦、こちらは古鷹が微減で睦月が中破しましたが撃墜。帰投の際漣を発見しました」
「綾波型駆逐艦「漣」です、ご主さま。こう書いてさざなみと読みます」
そう言って空中で文字を書きながら漣は自己紹介した。
「よろしく。俺はここの提督だ」
「よろしくね。あとこれカード」
漣は自分のと武器のカードを提督に渡した。
「ありがとう。さて、損傷艦は順に入渠と補給。吹雪は、工廠に寄って建造の結果を聞いて執務室に来てくれ」
「「「「「はい」」」」」
返事と共に各自散って行った。
ー執務室ー
提督が書類の整理をしているとノックの音が鳴る。
「はーい」
「吹雪です」
「どうぞー」
「失礼します。今日の建造の結果、この方が出てきました。どうぞ」
「ん?」
吹雪が扉から少しずれると扉の向こうから一人の女性が現れた。
「あの....軽巡洋艦、神通です。どうか、よろしくお願いします.....」
「ああ、よろしく。俺がここの提督だ」
「はい、よろしくお願いします」
少し戸惑いながらも挨拶する神通にやさしく答える提督。そのあと提督は吹雪に視線を移し、
「もう一方はどうなった?」
「はい、もう一方は私の艤装が出てきました」
「そうか、とりあえず鎮守府の端に泊めておいてくれ。どうするかはあとで考える」
「分かりました。あとカードです」
提督は吹雪からカードを受け取ると、
「ありがとう。あと神通を案内してやってくれ」
「はい。行きましょう神通さん」
「はい」
二人が出て行くのと入れ違いに大淀がやってきて、
「提督。今朝大本営に送った件なのですが...」
「ん?何か返ってきたか?」
「はい、大本営というか木村総帥殿からなのですが『どうしてそのような考えになるか聞きたいので直接明日伺うことにする』だそうです」
「えっ」
その言葉に提督の背中に嫌な汗が流れる。
「あっでも下のほうに『けして怒ってはおらん、興味があるだけだ』と書いてあります」
「なんだ」
が、そのあと続けた大淀の言葉に安堵の声をもらした。
「総帥は明日の0900に船でこちらに来るそうです」
「分かった。明日は、古鷹を旗艦に吹雪以外で艦隊を組んで鎮守府正面海域に出てくれ総帥の乗った船を鎮守府まで護衛してきてもらうように。吹雪は今日と同じくらいのときに執務室に来るように伝えてきてくれ」
「分かりました」
大淀は執務室を出て行った。提督はそれを確認すると、
「明石に頼んで応接用の家具を作ってもらわなければな。少し手伝うか」
そう言うと提督は工廠に向かった。
その応接用の家具を作り、運んでいる二人が居たとか。
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次回は、木村総帥が提督の鎮守府に来ます。どうなるのか?
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