《ポツポツポツポツ》
「雨・・・・-何時から降り始めたのかな?」
「時雨あんたが自習が始まってすぐよ、本当よく寝てたわ」
横から聞こえた声の主をの方を僕は向く。
そこには少しブラウン髪を頭の上で左右巻いてのが特徴の我がクラスの学級委員長の満潮だったの。
「ほんっとによく降る雨ね。全く嫌になるわ」
「そんなこともないさ」
「今なんか言った」
「別になにも、それより何か用があったんじゃないのかい?」
僕の一言に「あっ」と呟く。
「《あの子》あんたを迎えに来てたわ」
「夕立がそれで今何処に」
満潮の一言に人がまばらの教室を見回す。
「少し待ってたらお姉さんがなんか用があってそのまま拉致られてったわ。待てて欲しいてさ、じゃあ伝えたわよ」
それだけ言うと満潮は離れていった。
ふと窓から下を見ると傘をさし下校する生徒の姿がガラス越しに見える。
傘がまるで雨の中に咲く花にみえる。
「雨はきらいか」
僕は雨が嫌いだった。
ん?なぜ過去形かって。
それ大切な人との《想い出》が僕を変えたからこれはそんな話。
〔数年前〕
「私がいっちばーんいい部屋を貰うんだから!!」
不意に家に向かう道すがら聞こえたのはそんな声だった。
(確か隣に引っ越してくるって聞いたけど今日だったんだ)
そんな事を考えながら家に帰ると二階の自分の部屋を開けた。
「・・・・・君は何をしてるの?」
向かいの家から窓を開けてニコニコをこちらを見る陽の光にてらされて金色に輝く髪と深緑をたたえる瞳を持つ少女に向かい窓を開けて問いかけた。
「私は夕立あなたは?」
「僕は時雨よろしく」
それが彼女との始まりだった。
引っ越して来た当初は最初はクラスも別々で通学路で挨拶する程度だったのが中学に入って同じクラスになった事で変化をみせるんだ。
そして
これが
本当の意味での僕と彼女の始まりでもあるんだ。
《ザーーーーーーーーーーーーーー》
教室の窓を叩く雨音を耳につく
「今日も雨か気が滅入るな」
「どうしたっぽい時雨」
無意識に口をついて出た自分の呟き聞いていた夕立不思議そうな顔をして口を開く。
「こう、雨が続くと気が重くなるんだ」
「・・・・・・・・時雨は雨が嫌いっぽい?」
夕立が今までの声のトーンとはうって変わって少し真剣な感じで問いかける。
「・・・・・僕は雨が嫌いだ、じみじめするし、いい良いことなんて無いじゃないか」
「夕立、そうは思わないっぽい・・・・・そうだ、今度、時雨に見せてあげるっぽい」
夕立の一言に怪訝な表情をする時雨を尻目に夕立は何か楽しそうだった。
《ザーーーーーーーーーーーーーー》
その日は昨日から続く雨が朝からの嵐に変わっていた。
「これじゃあ外出は無理だね・・・・・あれ」
不意に目に入ったのは隣の家の夕立の部屋のカーテンがしまっているのが見えた。
「こんな日に夕立は何処行ってるんだろう・・・・・・まあいいや、そう言えば読みかけの本が確かここに・・・・・・あった」
本棚から目的の本を取り出すと時雨そのまま本を読み始めた。
「・・・・・・・あーーーーもうこんな時間か」
時計を確認すると自分がかなり集中して本を読んでいたことに気づいた。
「雨ももうすぐ止みそうだね,あれ?まだ夕立は帰ってきてない・・・・・・一体どこに・・・・」
《ピンポン》
「こんな日に誰かな?宅配便?・・・・・母さんはいないのかな、今行きます」
不意に聞こえたチャイムの音に時雨は玄関に向かった。
「はーい、どちら様?」
「夕立っぽい」
「今開けるから待ってて」
《ガチャ》
「どうしたんだい・・・・ってずぶ濡れじゃないか!」
玄関の扉を開けた時雨が見たのは濡れねずみになった夕立だった。
「時雨、夕立と来るっぽい」
「ちょっと待って」
「待てない、急がないと消えちゃうっぽい」
時雨の手を取るとそのまま夕立は走り出した。
雨が止み始めたとはいえまだしとしとと降る雨の中を傘も差さないで走る2人にすれ違う人達視線が突き刺さる。
「ちょっと、本当に何処に行くの?」
「もう少しっぽい」
その声を聞きながら周囲を見ると自分が学校に向かっているのに気付く。
そして夕立は時雨の手を取ったままそのまま学校に入るとそのまま階段を上っていくそして。
《ガチャリ》
夕立は屋上の扉を開けると立ち止まった。
「時雨に見て欲しいのはこれっぽい」
そう言って夕立は時雨を屋上へ出るように促す。
「夕立、一体ここに何があるって・・・・・・・・・」
そう呟きながら屋上に出た時雨は言葉を失う。
時雨の目の前に広がるのは雨が止み始めるなか雲の晴れ間から注ぐ光の中に浮かんだ大きな虹だった。
「時雨は、雨が嫌いだって言ったけどきっとこの虹みたいに雨が降らないと見えない物があるっぽい♪」
そんなことを言いながら夕立は両手を上げて虹を掴もうとするかのようにピョンピョン飛び跳ねる。
(僕は雨は嫌いと決めつけてそこから動こうとしなかった・・・・・・でも夕立は違う雨を楽しもうとするんだなら僕も)
ふとそんな事を考えていると夕立がこちらを見ているのに気付いた。
「・・・・・夕立、いい雨だね」
「ぽい♪」
時雨の一言に夕立が笑う。
そしてその笑顔につられるように自分も笑顔だろうなを時雨も思いながら2人は虹が消えるまで見上げていた。
「あの後、2人とも風邪引いて大変だったけ」
「誰が風邪ひいったぽい?」
不意に聞こえた声に振り向くとそこには夕立が立っていた。
「いや、何でもないよ。夕立ごめんね、迎えに来てくれたのに」
「夕立がかってに迎えに来ただけっぽい、時雨帰るっぽい」
時雨は頷くと鞄を持つと2人は教室をでると玄関まで出る。
「雨が上がったっぽい♪」
「夕立、ほらあれ」
不意に見上げた先には少し小さな虹かかっていた。
「虹っぽい、待つっぽい♪」
言うが早いか夕立はそのまま走り出した。
「全く、夕立は相変わらずだな」
不意に自分の脳裏にある事が浮かんだ。
何かの本で読んだのか忘れたが虹の根元には宝が眠っていると言う話がある。
「雨の贈り物が虹ならきっと虹の根元に眠っていた宝はきっと・・・・・」
「時雨、早くするっぽい、虹が消えちゃうっぽい」
こちらに向かい叫ぶ夕立を時雨は見つめた。
「今 、行くから待ってくれないかな?」
そう言うと時雨も少し小走りで夕立に向かっていった。
おしまい。