愉悦部になのはさんがやって来たようです   作:sT油

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FGO でなのはコラボまだですか、まだなんですか。HF楽しみですね!!今の自分のトレンドはシンフォギアですッ!!!(全く脈絡のない前書き)


コルキスの魔女

建物に駆け込むと、エントランスのような広間はたくさんの子供で溢れていた。その子供たちは肌の色も目の色も髪の色までバラバラだった。

「外国の子がたくさん……?」

「大方この工房の資源になる予定だったガキ共だろう。ずいぶん原始的な魔術を使う奴だな。……だが問題はここじゃねぇ」

そう言ったランサーが槍を向けた先にはエレベーターの扉があった。

「ここのちょうど真下から何か感じる……でもこの子達も放っておけないし」

私は言葉が通じない子たちに、身ぶり手ぶりで建物の前で待つように伝える。幸い伝わったようで、子供たちはぞろぞろと外へ出て行った。

「用は済んだか? マスター」

「うん。行こうか、ランサー」

私達はエレベーターに乗り込み、最下階のボタンを押した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 チンという音と共に扉が開く。元は清潔な、研究所然とした部屋であったろうそこは、壁に飛び散っている血痕と蒼い炎に彩られていた。その光景に呆然としていると、褐色の肌の金髪の男が駆け寄ってきた。

「ら、ランサーのマスターか! 助かった! はやくこの魔女を殺してくれ!」

 男の後方には黒いローブを纏った女性がいた。おそらくあれがキャスターで、この男がアトラム・ガリアスタなのだろう。

「いったいどうしたんです?」

「あの外れサーヴァントが俺の工房を破壊したんだ! 挙句の果てに集めた資源も逃がして……くそっ!」

「資源……?」

「世界中から集めたガキどもだ。なにもかも台無しにしたのはあの裏切りの魔女だ! さぁランサーのマスター! はやくあいつを!」

 するとキャスターがこちらに手を伸ばした。その正面に紫色のいくつかの円が現れる。

「ちっ」

ランサーの舌打ちする音が聞こえたかと思うと、次の瞬間には私はランサーに担がれていた。

「えっ、わっわっ」

 先程までいた場所から少し離れた、部屋の隅でランサーは私を下ろす。振り返るとさっきの男が火に包まれていた。服も髪も黒焦げになりながらも、アトラムは虚ろな目で自分の燃え盛る体を眺めている。その異常な光景を私は声も出せず、ただ見つめる。

「…………熱いな」

 その言葉を最期に、キャスターのマスター……アトラム・ガリアスタは黒ずんだ灰となって崩れた。

「幻術の中で殺したのか、趣味の悪ぃ女だ」

 ランサーは動じず、槍をキャスターに向けて構えている。だがキャスターはこちらを見ようともせずエレベーターの方に歩いていく。

「待ててめぇ、ッ!?」

 キャスターが片手を振ると炎がランサーを襲う。

「ランサー!?」

「俺は問題無ぇ! だがこのままじゃあ…」

 キャスターはもうエレベーターの目の前だ。今から走っても間に合わない。手の届かない距離の人を引き留めるような力が私にあれば…。

 その時、またあの熱が私を襲う。胸の中の熱い塊は私が伸ばした左手を通って外へと迸る。

『 restrict lock 』

 キャスターの足元に桜色の魔法陣のようなものが現れ、そこから同じ色の太い糸が何本も伸びてきてキャスターをがんじがらめに縛る。

「やるじゃねぇかマスター!」

 炎を振り切ったランサーが一瞬で間合いを詰めて、キャスターの首元に槍を突きつける。

「今ならお前がシングルアクション起こす前に殺せるぜ、キャスター」

「くっ……」

「これ…私がやったの?」

 近くに寄って実際に触ってみることで、それが幻でないことを知る。

「私にも魔術、使えたんだ」

 するとキャスターが凄い勢いで睨んで言う。

「魔術、ですって? こんなもの、魔術なわけがない。等価交換の法則もマナもオドも何もかもを無視した、こんなものが!」

 その剣幕に気圧されていると、キャスターは突然冷静になり、静かな声で語りかける。

「それでもその莫大な魔力量はすばらしいわ。…どうかしら? 私のマスターになるというのは。あなたのソレならサーヴァント二騎分の魔力消費なんて問題にならないわ」

「マスターを焼き殺した直後によく言えるな、お前…。嬢ちゃん、離れてな。わざわざ首が飛ぶのを見るこたぁ無ぇ」

 槍を握る手に力を籠めるランサーを慌てて制止する。

「ま、待ってよ。何も殺さなくたって…」

「何言ってんだ。今ここでコイツを見逃せば後々強大になって来るかも知れねぇし、何より魂喰いをしないとも限らねぇ」

「魂喰い?」

「現界に必要な魔力を、一般人の生命力を得て補うことだ。勿論喰われた奴は死ぬ。だからさっさと…」

「うん、わかった。契約しようか、キャスター」

「は?ちょっ、おいマスター!」

「フフフ……おかしな子」

小さく笑うキャスターに手をかざす。

「…………………どうすればいいのかな」

「やはり魔術はからきしみたいね……呼びかければいいのよ。あとは私が応えるから」

「わかった。じゃあ…私のサーヴァントになって。キャスター」

「いいでしょう。私は此よりあなたの杖であり…指となる」

その瞬間、私の右手にチクリとした痛みが走り、新たに令呪が刻印される。

「あくまで簡易的なモノに過ぎないわ…教会にでも行ってしっかり刻印してもらわないと」

「じゃあ帰ったら綺礼さんにやってもらおう。私、教会で寝泊まりしてるから」

「………そろそろここも危ない。出るぞ、マスター」

そうして私はキャスターを従えて、どこか不機嫌そうなランサーの後に続いた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

キャスターが解放したという子供たちを最寄りの交番まで案内して、出てきた警官が慌てふためいているのを遠目に確認して、その場を離れる。やることは済ましたのでこれでようやく教会に帰れる。

「俺は先に帰る。コトミネには俺が報告しとく。いいか、マスター。くれぐれもそいつに隙を見せるなよ」

ランサーはそれだけ言うと霊体化して行ってしまった。私は黙って霊体化してついてくるキャスターと教会へと歩く。

教会へと続く坂に差し掛かった時、キャスターが声をかけてきた。

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 

私と仮契約を結んだこの娘は、驚くくらいにあっさりと私の術中に嵌まった。その結果、こうして私の目の前でぼうっと突っ立っている。

私がかけたのは簡単な催眠魔術。トランス状態の彼女は私に何をされても抵抗できないし、魔術を知らない以上その状態を抜け出すことすら敵わないだろう。

まず私はこの娘の記憶を探ることにした。そこにはおそらくこの娘の持つ正体不明のエネルギーがなんなのかという答えがあるだろう。そしてあわよくば記憶の改ざんを行い、私にとって都合のいい手駒になってもらう。

「ちょっと覗かせてもらうわね…」

彼女の額に手を触れ、目を閉じる。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「お前のッ!その在り方が!時には人を不幸にさせると知れッ!」

「あたしらの目指したもんは、こんなんと違う!」

「この悪魔め」

「話し合いでわかりあうことを諦めたのはあなただ」

「あぁ、ぜんぶ僕のせいだ」

「またいつも通りの暮らしに戻れるんだよね?」

「時空管理法違反で、逮捕する」

 

「私に、帰る場所なんてどこにもありはしないんだよ、××××ちゃん」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「っ…!なに、これは……」

彼女の記憶を探っていると、突然電流のようなものが走り、はじき出された。

『リソースの三割を精神防衛へ。免疫システム作動、同種の精神攻撃への耐性を獲得。異常なし、通常の生命維持形態へ』

その機械的な音声は彼女の胸元から聞こえてきていた。おそらく何らかの遅効性のアミュレットでも所有していたのだろう。幸い、はじかれただけで身体や精神面へのダメージは無さそうだ。

彼女も目の焦点が合ってきた。二、三度首を振り、こちらを向く。

「ごめんキャスター、ちょっとボーっとしてた。なにか言おうとしてたよね?」

「……いえ、なんでもないわ。それよりも教会はまだかしら」

「あ、もうすぐそこだよ。この坂を登ったところにある」

「そう」

先に坂を登っていく彼女の背を見つめながら、先ほど見た記憶の断片を思い返す。

(この娘も…帰る場所がないのね)

そう思うくらいに、裏切る気は失せていた。

(たくさんのものを、失っているようだし……えぇ、少しくらい様子を見ても構わないでしょう)

そう自分の中で結論付けて、私は彼女…高町なのはという新しいマスターの後に続いて教会へと向かった。

 




誤字脱字等ありましたらTwitterのsT油@ハーメルンまで。
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