許嫁拾いました   作:彰吏

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6月にはいってからの忙しさがおかしい。
いつもよりさらに内容が薄く、かつ短いですがお許しください。




第15話

「ごめんね、遅くなって」

 

「いや、大丈夫だぞ」

 

 

そう言いながら、俺は立ち読みしていた雑誌を棚に戻した。

ちょうど圭萌と一色と別れてから1時間たったぐらいである。俺が思ってたより早く合流できた感じだな。

 

 

「連絡してくれたら俺からそっちに向かったのに...」

 

「ごめんごめん、忘れてたよ」

 

 

忘れてたって...。まぁいいけどさ。

 

 

「圭萌1人なのか?」

 

「いろはちゃんは先に帰ったよ。ハチ君によろしくって言ってた」

 

「そうか」

 

 

自分から誘ったくせに俺とは全く関わらず勝手に帰るなんて......変わってないな、あいつも。

 

 

「それにしてもハチ君にあんなに可愛い後輩がいたなんて知らなかったよ」

 

「一色本人から聞いてると思うけど、高校の時に少しいろいろあってな。それと可愛いんじゃなくてあざといんだよ」

 

「あれは可愛い後輩だと思うよ。だってハチ君に懐く後輩なんていろはちゃんぐらいだったんでしょ」

 

「サラッとひどいこと言うよね」

 

 

その通りなんだけどね。だけど、あえて言うなら懐かれてたってよりは弄られてこき使われてたのほうが正しいけどな。

 

 

「それよりもそろそろ行こ」

 

「おう」

 

 

めずらしく圭萌から手を出してきたのでそれに俺は手を絡めて歩きだした。て、どこに行くんですかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、いつもだったらぶらぶら歩きながらウインドショッピングするところなのに、今日はめずらしく圭萌が早く帰りたいと言ったので、いつもよりだいぶ早い帰宅となった。

それによりいつもなら2人ともまだ夕食の片付けをしてる時間なのに、2人とも風呂をすましてしまいあとは寝るだけの状態になった。

流石に寝るのには早すぎるので、リビングで読書しているのだが......

さっきからずっと見られてるんだよな。誰からだといえば、言わずもがな圭萌なんだけど。ここで逆に圭萌じゃなかったら選択肢的には幽霊ぐらいしか残らないんだけど。それはないのでここは圭萌一択である。

圭萌のほうはたぶんバレてないと思ってるんだろな。チラチラ視線を向けたり、紅茶を飲むふりして見たりなどしてくるけどそれでは俺じゃなくてもバレる。

それにしてもなんで見られてるんだ?俺なんかしたっけか。風呂に入ったばっかだからなんか変ってことはないと思うんだけど。目に関しては諦めてもらうしかない。1人悩んでもしょうがないし本人に聞いてみますか。

 

 

「どうしたんだ、圭萌」

 

「なにが?」

 

「しらばっくれるなよ。さっきから俺のこと見てただろ」

 

「バレたの」

 

「あれでバレなかったら、相手はたぶんアホの子だぞ」

 

 

一瞬頭にお団子頭の女の子が浮かんだけど気のせいだな。

 

 

「実はハチ君にしてほしいことがあってね」

 

「なんだよ」

 

「これをつけてほしいんだ」

 

 

そう言って渡してきたのは、見覚えのある紙袋だった。これってまさか、

 

 

「俺が圭萌にあげたネックレスのペアルックの片割れか」

 

 

それは俺が初デートの時に買ってあげたネックレスのペアルックの片方だった。その時は流石に自分で買うのは恥ずかしくて断念したんだけどまさか圭萌から貰えるとは。

 

 

「それでつけてくれるかな?」

 

「当たり前だろ。つけるなって言われてもつけるよ」

 

 

人からの贈り物ってこんなに嬉しいんだな。それはまあ誕生日プレゼントは貰っことあるし、嬉しいとも思うけどなんて言うのかな。なんでもない日にプレゼントされるってのも嬉しいことを初めて知ったよ。

 

 

「うれしい。私がつけたいんだけどいいかな?」

 

「おういいぞ」

 

 

嬉しすぎて頭の中パーリーしてたらなんか許可しちゃったけどこれやばない。

ちょっと待って圭萌さん、なんで前からつけようとしてるのかな。確かにソファーに並んで座ってたから後ろにまわるより前からのほうが楽かもしれないけど、前からだといろいろやばいからやめてくれ。

 

 

「う...うぅん...手が...届き...にくい...」

 

 

だったら後ろにまわろうよ、マジで。てかなんで耳元でそんなに甘い声だすんだよ。なにこれ誘ってるの。

 

 

「よしできたよ、ハチく...うわっ」

 

 

やっとのことでネックレスを俺につけることができて、安心したのか俺の膝の上にのっていたところから、体勢が崩れて俺に抱きつくような姿勢になった。

そこで俺は我慢の限界がきた。というか我慢を超えた。むしろここまでよく耐えたと言ってもいいだろう。風呂あがりのいい匂いや体の柔らかさとか声とかよく耐えたと。だから俺はわるくない。あれ、これこの前も言ったような......

 

 

「ネックレスありがとな。これから毎日大事につけさせてもらうよ。圭萌が安心できるようにな」

 

「え、なんで」

 

「気付かないわけないだろ」

 

「はぅ」

 

 

なんとかなけなしの理性で今のうちに言っておかないといけないことは言えたな。結果としては圭萌の恥ずかしがる姿を見て更にやりたくなったから言ってよかったと思ってる。

 

 

「圭萌、俺からのお願いもきいてくれるよな」

 

「できることなら...」

 

「それじゃあさ、圭萌のすべてを俺にくれ」

 

「...もうあげてるよ」

 

 

耳元で俺が囁くと顔を真っ赤にさせた圭萌がそう弱々しく返してきた。

 

 

「可愛いこと言うなよ...」

 

 

 

 

 

 

 

 




来週もちゃんと書けるかな。



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