許嫁拾いました   作:彰吏

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なんと3日連続投稿。自分でも信じられません。
本当は今まで書き溜めたものを修正して投稿してるだけなんですけど。



第18話

「今日は何の日でしょーか」

 

 

日曜日の昼下がり。こんな日はリビングでゆったりと読書するのが1番である。そんなことを俺が提案したら圭萌がいつの間にか2人分の緑茶を用意してくれた。選ばれたのは綾鷹でした。

そしてソファーに並んでそこから2人でまったり読書タイムだったのだが・・・

いつの間にかソファーの上で圭萌が膝を抱える姿勢で俺が胡座をかいて背中合わせで読書しており、それからさらに少し経ち冒頭の圭萌セリフである。

どうやら圭萌は本が読み終わってしまったようだ。それなら新しい本持ってくればよかったのに。

俺はまだ本が読み終わってないので、読み途中のページに栞を挟んだ。俺は話しながら読書できるほど器用ではないし、それに好きな人の話を片手間で聞くほど酷い性格はしてないしな。そんな事言っても背中合わせだから話すのにはあんまりよろしくないんだけど。

 

 

「えっと、今日って6月12日だよな」

 

「そうだよ」

 

「6月15日ならわかるんだけど」

 

「正解には関係ないけど言っていいよ」

 

なぜに上から目線なんだろうか。質問者だからか。クイズ番組でいうと司会者だからか。でも、司会者ってそんなに上から目線じゃなかったような。まあいいか。

 

 

「6月15日は千葉県民の日だぞ」

 

「へぇー、初耳なんだけど。そもそもなんでそんなこと知ってるの?」

 

「千葉県民だからに決まってんだろ」

 

「決まってるんだ」

 

「それに千葉県民の日は千葉県の多くの施設や観光地で割引があるぞ。有名どころだとマザー牧場とか県立博物館とかな」

 

「そうなの。じゃあ行かなきゃね」

 

 

背中越しでも感じるこのいかにも楽しみですみたいな感じ。はっきり言ってかわいいです。だが、俺はあえてそんなかわいらしい圭萌を絶望させなくては。

 

 

「ウキウキしてるところ悪いんだけど、割引になるのは子どもだけだったはずだぞ」

 

「えっ、そうなの」

 

「だから俺たちが行っても普通料金になると思うぞ」

 

「だけど待って。これから先その子どもだけの割引が続いたとして、私たちは普通料金でも私たちの子どもと行けば私たちの子どもは割引されるね」

 

「そーだなー」

 

「なんか反応が素っ気ないな」

 

「いやなんというか、ちゃんと子どもを作るつもりがあるんだなと思って」

 

「もしかしてハチ君はないの」

 

「そんなわけないだろ」

 

「本当かな」

 

「昨夜のことを思い出してみれば信じてもらえるけど」

 

 

背中から温もりが消えたと思ったら、近くにあったと思われるクッションに顔を押し付けていた。他人が悶えるところとかあんまり見る機会ないけど、かわいいのは圭萌だからかな。

ひとまず、質問者が戻ってくるまでお待ちください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか復帰した圭萌はさっきまでと同じふうに俺の背中に自分の背中を合わせてきた。ここでさらに弄るのは簡単だけど、さすがに可哀想だし話が進まないのでここはスルーだな。

 

 

「話が逸れたな。それでなんだったっけ」

 

「今日は何の日なのかって話だったけど、このまま話しても私が一方的にやられそうだから正解を言うね」

 

「拗ねるなって、頭撫でてやるから」

 

「ふにゃ〜、じゃない。正解はね、ってちょっと撫でるのは止めなくていいよ」

 

「わかったよ。それで正解は?」

 

「恋人の日でした」

 

 

また頭の悪そうなこと言い出したよ。いや待てよ、名前だけで決めつけるのは良くないな。それに俺だって今では立派なリア充だからこういうイベントにも慣れてかないと。頑張ればそれだけ見返りがあるし。

 

 

「なにそれ?」

 

「あれ?意外と積極的だね。ハチ君なら嫌そうな顔すると思ったのに」

 

「昔ならそうだったかもしれないけど、今は圭萌がいるからな」

 

「ハチ君ってあざといよね」

 

「そんなことないと思うんだが・・・。それでその恋人の日ってのはなんだよ」

 

「えっとね、もともとはブラジルの縁結びの聖人アントニウスって人が歿したのに起因してるらしいよ」

 

「なるほどな」

 

 

俺はそのアントニウスさんがどれだけ素晴らしい人かわからんけど、きっと圭萌も知らないだろうからいいか。だけどこれだけ聞いてもわからないってことは、まだ世間に浸透してないのかな。

それならそれで、なんで圭萌は知ってるのかわかんないけど。

 

 

「それでなにかするのか?」

 

「さすがハチ君察しがいいね。えっとね、恋人同士でフォトフレームを贈り合うんだって」

 

「なるほどな」

 

「てことで、とりあえず外出しよっか」

 

「そこで買うってことだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちは近くの家具・雑貨店に来ていた。ここは2人で何回も来ており、さっきまで2人で座っていたソファーもここで買ったものであったりする。

今日の目標はフォトフレームだけどまずは2人でぶらぶらすることに。

 

 

「このお皿水玉模様がかわいいよ」

 

「美濃焼の丼だな。お皿も売ってるんだな」

 

「買ってもいいかな?」

 

「いいんじゃないか、確か丼なんて家にないしな」

 

「それじゃあ私とハチ君でお揃いね」

 

 

お皿を買ってみたり、

 

 

「そういえばそろそろ陽乃さんの誕生日だね」

 

「へぇー、そうなのか」

 

「知らなかったの?」

 

「知らないな」

 

「7月7日だって」

 

「それならついでにここで買うか」

 

「私はこの前お世話になったからそのお礼も込めて買おうかな。あ、そうだ。ハチ君のプレゼントも私が渡しておくよ」

 

「そうか、ありがとな」

 

 

陽乃さんの誕生日プレゼントを選んでみたり、

 

 

「ここからは別行動ね」

 

「お互いに贈るフォトフレームを買えばいいんだよな」

 

「そうだよ、それじゃあ30分後ね」

 

 

最後にお互いフォトフレームを買った。ここで問題なのは俺のセンスがないってとこなんだけど・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は恋人の日の話を聞いてから思っていたことを圭萌に聞いてみた。

 

 

「フォトフレームはお互いに買って贈るとして、中に入れる写真はどうするだ?」

 

「私もいろいろ考えたんだけど今回は2人で写ってる同じ写真にしようと思うんだけどいいかな」

 

「それがいいな」

 

 

よかった〜。話を聞いた感じだと、俺単体の写真が必要なんじゃないかと思ってたけどそんなのあるわけないからな。

 

 

「この写真を入れてきてね」

 

「これはこの前の」

 

「デートの時に撮った写真だね」

 

「いつの間に現像したんだ」

 

「ちょっと前にね。これを飾っておけばわざわざスマホ見る必要ないよ」

 

「なんで・・・・・」

 

 

なんで圭萌がそれを知ってるんだよ。確かに大学とか家で1人でいる時とかたまにどうしても圭萌に会いたくなった時とかに見てたけど。

凄く恥ずかしいんだけど。今世紀で1番恥ずかしい、これはマジで。なので、

 

 

「この写真を入れてくればいいんだよな」

 

 

逃げることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、お互いに写真を入れたフォトフレームを贈りあった。俺の贈ったフォトフレームはたいへん喜んでくれて、寝室に置いてくれることが決まった。

そして圭萌から俺に贈られたのは、

 

 

「それはハチ君がいつでも持って歩けるようにキーホルダー型のフォトフレームだよ。それなら大学でも見れるかと思って」

 

 

ここまでしてくれるとなんか悪い気がしてくるな。それに俺が圭萌なしじゃないと生きていけない頼りないやつっぽくなってないか。

 

 

「それでいいんだよ。むしろそれぐらいのほうが私的には安心する」

 

 

そう言いながら圭萌は抱きしめてきた。確かに別にこのままでもいいかな。俺が圭萌に依存するぐらいじゃないと結婚なんてしないほうがいいのかもしれないしな。

だけど圭萌も俺と同じぐらい俺のことを必要としてくれているのか。

 

 

「大丈夫だよ。私だってハチ君に会いたいって時なんて凄くあるんだよ。それに私だって・・・」

 

「私だって?」

 

「ほら」

 

 

そこにあったのは圭萌から俺にくれたフォトフレームとは形の違ったものがあった。

 

 

「私は既に持ってるんだ。今回の件だって本当はハチ君にそれをあげるためだったんだよ」

 

「そうだったんだ。それならこれは家の鍵に付けさせてもらうよ」

 

「大切にしてよ」

 

「もちろん、それじゃあ」

 

「それじゃあ?」

 

「この感謝の気持ちを伝えるよ、ゆっくりね」

 

「それは嬉しいけどどうやって?」

 

「察してくれ」

 

 






これで書き溜めたものはなくなったのでこれからはたぶん遅くなります。

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