【完結】気紛れ妖怪のひまわり喫茶   作:河蛸

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第二話「レイアウトをしよう」

 幻想郷で常識に囚われてはいけない。誰かがそんな事を言っていたと、聞いたことがあるような気がする。

 それは全くもって的を射ているなぁと、私は切に思う。

 

「ここがお店よ。どう? ちょっと張り切ってみたの」

「…………………………………………………………………………………………、」

 

 一日見ない間に太陽の畑に立派なお店が出来てました。何を言ってるか分からない? ごめん私の方が分からない。

 

 このお店を目撃するまで、店を建てたと言っても多分掘っ建て小屋程度なんだろうなと思っていた私である。はい、甘すぎました。大妖怪舐めてました。予想を上回るガチ具合でした。

 もう本当なんでこんなにやる気なのこの人。蜂蜜が美味しかったからでここまで頑張れる人もとい妖怪見たこと無いよ。

 もしかして目の前の光景が理解できない私の方がおかしいのかとさえ思えてくる。否、それだけは断じて否。私の後ろで多分物凄く素敵な笑顔を浮かべていらっしゃるだろう幽香さんが常識外れなだけなんだ。そうに違いない。

 

 因みに肝心の店の外観は、何と言うかお洒落な洋風の一軒家だった。絵本や物語に出てきそうなタイプの奴である。こう、一度は誰もが想像する憧れのお店をそのまま形にしたって言った方が伝わりやすいだろうか。

 まぁ取り敢えず私が言いたい事は一つ。コレを一日でどうやって建てた。

 

「全部手作りなんですか?」

「頑張ったわ」

「材料も自分で?」

「とっても頑張ったわ」

 

 果たして『頑張った』とはここまで万能感溢れるパワーワードだっただろうか。もう生きている間に起こる障害全てを頑張ったで片付けられそうである。

 よし、私は精神的に頑張ったから帰っていいですか。振り返る。向日葵みたいな笑顔で退路を塞がれていた。駄目なんですねちくせう。

 

「でも私、色々疎いから一般目線のアドバイスが欲しいの。ここが駄目だって思ったら遠慮なく言ってね」

 

 ……ああ、本気だこの妖怪。何が本気って、多分私がお店の景観全てが駄目と言えば目の前で一から建て直しを始めそうなくらい目が輝いているのだ。強ち冗談抜きで始めそうで怖い。

 

「えっと。見た目はとっても素敵だと思いますよ」

「本当? 嬉しいわ」

 

 その場で飛び跳ねそうなくらい嬉しそうに笑う四季のフラワーマスター様。

 あれ、なんだろう。もしかしたらこの大妖怪さんそこまで怖いお方じゃないのかもしれない。よく考えたら暴力を振るわれた事は無いし、雰囲気が怖いだけであれからずっとこんな調子でフワフワしているし、本当は優しい妖怪さんなのかもしれない。ただ、かなりマイペースなだけで――――

 

「じゃあこれはもう要らないわね」

「えっ」

 

 ゴトン、とずっと後ろに組まれていた幽香さんの手から岩も砕けそうなでっかいハンマーが地面に下ろされた。

 …………いや、うん。これはアレだ。どこにそんなものを隠していたんだとかそう言う当たり前な所には目を瞑って、これはアレだ。多分私が意見した時にすぐ建物を改装出来るよう準備していただけなのだろう。店の基盤は石材が使われている様だし、このハンマーで材を作ったんだ。決して意見した私の頭を物理的に矯正するためにスタンバイしていたハンマーでは無いはず。うん。

 

 泣きそうになりながら、促されるままに私は店の前へと足を運んでいく。入り口にまで辿り着いて、ふと、ひっくり返すタイプの看板が丁寧に掛けられている事に気がついた。こういう小物にまで凝っているんだ凄いなぁ、と半ば毒されながら綴られた文字を見る。何だか妙に可愛らしい文体が目に―――――

 

『入ってません』

 

 ―――――ん?

 手に取ってひっくり返す。

 

『入ってます』

 

 

 

 

 

 厠かッッッ!!!

 

 叫びそうになった唇を、思い切り噛んで黙らせた。血が出そう。でもこれ叫んだら私が血の噴水にされそうだから頑張る。多分今の私は色々堪えすぎて凄い顔になっているだろうけれどこれだけは口にしちゃあいけない。ストレートな突っ込みをしたが最後、私は喫茶店の前で赤い水を吹き出す愉快なオブジェに加工されてしまうだろうから。

 

 しかし幾ら何でもこのチョイスは無いだろう。折角お店の雰囲気は良いのにここに来て台無しである。せめて、せめて『ゆうかりんランド開園中☆』とかならまだ分かった。頭を掻き毟る程度のダメージを負うだろうけど理解出来たと思う。でもこれは無い。これだけは無い。この看板だけで向日葵に囲まれた素敵なお店が幻想郷一壮大なトイレに早変わりしてしまう。飲食店が厠? 致命的なんてもんじゃない。一撃必殺も良い所だ。

 

「ゆ、幽香さん、この看板はちょっとアレじゃないですか? 入ってるか入ってないかでは、お店っぽくないんじゃないかなぁ……あははは」

 

 辺り触りの無い言い訳を考えて伝えてみる。納得はしてくれた様子で、それもそうねぇと幽香さんは顎に手を当てた。

 

「あっ、じゃあ『頑張ってます』って書き直しましょう。誠意が伝わると思うわ」

 

 ……それはつまり裏返せば『頑張ってません』って書かれているのだろうか。自分から怠惰をアピールするお店なんて斬新すぎるぜ奥様。もっと無難な方面は思い浮かばないの。なんで模範解答をくしゃくしゃに丸めて口に放り込むような真似をしちゃうの。

 

「き、喫茶店なんですし、無難に開店中と閉店中でどうでしょう? ほら、店って文字が入っていたらそれだけで『ああ、ここお店なんだ』って気づいてくれそうじゃないですか」

 

 ただし、人の目につく場合に限る。ここ重要。

 店の所在地は太陽の畑のど真ん中である。人間の里からは離れているし、妖怪の山や他の妖怪たちが住んでいる竹林とはまた距離がある。更に言えば、太陽の畑は悪名高過ぎてあまり妖怪も人も近寄ろうとしない。多分、お客さんが来る望みは絶望的なんじゃないかなと思う。

 しかしそれを口にすれば、幽香さんは今から人里に突撃して店を作り出すと言うに決まっている。それは不味い。人里を監視している妖怪の賢者だとかその他色々なお偉いさんが黙っていないだろう。喫茶店を開店する工程で戦争が起こるなんてヤバすぎる。修羅の国も真っ青だ。

 

 いやでも、大妖怪同士は比較的淑やかに戦うって聞いたことがあったような。ならその時は話し合いで分かり合えるのかもしれな―――いやいや駄目だ。それって所謂『冷戦』と呼べるものなんじゃないか。そんな展開が人里で巻き起こったら当然人間の胃が死ぬ。そして巻き添えを食らって板挟みにされた私は無残な死骸になるのだ。いやだぁ死にたくない。

 

「それは良い考えね。そうしましょう」

 

 絶妙なタイミングで差し込まれた幽香さんのふんわりボイスに一瞬だけマジかよおいと顔面蒼白になったが、現実と妄想がごっちゃになっていたと気がつき、我に帰る。ぶんぶんと頭を振って悲観的な妄想を振り払った。

 脱線し過ぎた。と言うより想像していた未来はもう回避できているのだから、来ない未来に絶望する意味なんて端から無かったんだ。

 

 そして現状に囚われている事を思い出し、心の中でさめざめと泣いた。

 

「じゃあ、今度は内装のアドバイスを貰えないかしら。中身は外より手を掛けられなかったから改善点が多いだろうし、感想が欲しいわ」

「アドバイスって言っても……私専門家でも何でもないんですよー……?」

 

 何だか変な信頼を得てしまっている気がする。そんなに幽香さんへ意見を言う人は少ないのだろうか。いや、少ない。微妙に反語にならない不思議。

 でも断言できる。彼女に向かって私のような弱者が堂々と反論を述べるなんて、密度百パーセントの地雷原へ飛び込むようなものだ。自殺志願者以外はそんな真似絶対したがらないと思う。もちろん私は志願者なんかじゃありません。もっともっと生きたいです。だから謎の凄腕エンジニアさん、私の背後で微笑んでる花型地雷を安全に取り除いてお願い。

 核爆弾は専門外ですかそうですか。

 

「お邪魔します」

「どうぞー」

 

 ドアを引くと、頭上からカランコロンとベルの美しい音色が迎えてくれた。雰囲気を出す為のオプションも設置済みだなんて本当に凝ってるなぁ。穏やかな響きと素直な感動に、ちょっと和やかな気分になった。

 

 改めて内装を見る。外観の大きさから察せられたが、スペースは中々広い。かと言って広すぎると言う訳でもなく、もしお客さんが満員になったと想定しても息苦しくはならなさそうだ。

 周囲を見渡す。当然の様に椅子とテーブルのセットがある。

 

 

 ただし、どでかい円盤みたいなテーブルを十数人の椅子が囲っているタイプのものがポツンと、店のド真ん中に一式だけ。

 

 

「……なんで客席が円卓会議場だけなんですか?」

「? ……あ、それの事ね。皆とお喋りしながらゆったり出来たら、楽しいかなぁと思ったの」

 

 うん、発想は悪くないと思う。確かに子供たちなんかにはウケそうなアイディアだ。でもね、これだけじゃ駄目だよ。だってこの客席だけだと気まずいよ絶対。椅子の密度がギチギチなんだもの。満席になってるところを想像しても何だか怪しい会議が開かれている画しか浮かんでこないんだもの。

 

「ええと……個別の座席も作った方が良いかなって、私は思います。喫茶店は屋台じゃないですから個人でゆっくりするスペースも必要かと」

 

 だんだん幽香さんに意見する事に馴れてしまっている自分が怖くなる。私は元来突込み屋な性格なので、いつ調子に乗って幽香さんに怒涛の突込みを入れ首を撥ねられるか気が気でならない。だって幽香さん、突っ込み処が多すぎるんだもの。

 そうだ。彼女は私より何倍も格上だってことを忘れないよう、心の内で自粛の線引きを強めに引いておこう。幽香さんを見る目をリグルフィルターでお花好きな怖い大妖怪から食虫植物を操る超怖い大妖怪にレベルアップしてみた。

 

 ちびるかと思った。

 

「確かにそうね。静かな方が好きな人もいるもんね。じゃあちょっと椅子とテーブル追加で作ってくるわ」

 

 ちょっと団子買ってくるみたいなノリで家具を製作してくると言われた。お前は何を言ってるんだとつい口走りそうになったけれどグッと堪えていたら、幽香さんは軽い足取りで店を出て行ってしまう。

 

 嘘、本気で今から? と思ったのも束の間。途端に鼓膜へ押し寄せて来る何かを切る音、削る音、打ち付ける音の大合唱。怒涛の勢いで攻め立てて来る大音波に何をどうしているんだと好奇心を駆られてしまうが、見学するのは憚られた。

 よくわからないがこれは見てはいけない気がする。大妖怪の秘密に足を突っ込んだが最後、私の中の大切なものに大きなヒビが入り込んでしまう――そんな予感がしたのだ。

 

 ごりごりごりがががががんがんがんがんどどどどどんっ。

 

 時間からして数十分くらい後の事。この音を最後に、拳のラッシュで何かを砕いている様な音が漸く止んだ。本当に何をやってたんだろう。音の具合からして多分建物のすぐ傍で作業しているのだろうが、言うまでも無く周りに木材なんて無かった。作業場も道具も見当たらなかった。そもそも木材相手に作業をしている様な音じゃなかった。

 当然私は考えるのを止めた。

 

「お待たせ。椅子はこんな感じで良いかしら」

 

 入口が開き、相変わらずふわふわ笑顔の幽香さんが、沢山重なった椅子を片手に再登場した。

 うん、椅子の数がおかしい。何故この短時間でそんな数の、しかも凄くデザインが凝ってる椅子が作れるの。その道の匠が血涙を流しつつ鋸を膝で圧し折りそうな勢いだぞ。

 もしかしてだけど、まさかテーブルまで作っちゃったりしているのかい? いやいや、幾ら常識を腕力で幻想郷の外へとぶん投げた様な幽香さんでも流石にそこまでは行っていない筈!

 

 

 と思っていたら残りの家具の運搬を手伝う様に言われました。外に出てみると必要分のお洒落なテーブルがズラリ。ちゃんとニスを塗って最終工程まで済ませている徹底ぶりである。

 

 だいようかい って すげぇや!

 

 

「今日はお手伝いありがとう。お蔭で素敵なお店に仕上がったと思うわ」

「…………恐悦至極、でふ」

 

 夏の太陽が完全に沈み切ってしまった時間帯。過労により私ことリグル・ナイトバグは死にかけていた。客席に座ってテーブルにうつ伏せ。疲労状態をこれでもかと言う具合に表している。

 肉体的にはなんら問題は無いのだけど、精神的に疲れた。何が疲れたって突っ込みたいのに易々と突っ込めない所が、こう、吐きたいけれど吐けないもどかしさに似ていてとても窮屈だったのだ。女としてその例えはどうかって? ふふん、今の私はくたびれた只の虫なのです。乙女力ゼロのゴミです。だからその意見は無効なのです。都合のいい女だなんて言ってはいけない。

 

 あれから私は、店中のコーディネートや設備へ意見してもといさせられては、幽香さんの改善力の高さに度肝を抜かれ続けた。光源はどうするのかと聞けば弾幕の光を利用した即席のランプが作られ、調理器具はあるけれど肝心の食器が無い事に気がつけばどこからか調達してきて、何かアクセントが欲しいわと言われたので観葉植物はどうですかと言ってみれば店の壁に景観のバランスよく植物が生え、植物園と喫茶店が合体したみたいになった。規模が色々と出鱈目である。

 

 一番凄まじかったのは『水の確保はどうするんですか?』と言ったら店の傍に一時間で井戸を掘った挙句水を引く整備まで完璧にこなしてしまった事だ。最早技術を売りにしている河童さんが頭の皿を自ら叩き割るレベルの作業技術である。本当に何の妖怪なんだこの人。

 

「後は河童さんに妖力可動式の冷蔵庫を貰って、食材を揃えてメニューを考えれば完成ね。ふふ、何だか楽しいわっ」

 

 ……明日の朝は妖怪の山の一部が騒がしくなりそうだなぁ。哀れな河童さんに黙祷。

 因みに止めろだなんてのは無理な話だ。だって河童さんから『れいぞうこ』なるものを貰う前の案は、氷精を断熱材で出来た箱に閉じ込めて保冷庫にしようと言うとんでもない鬼畜アイディアだったからだ。ここだけは全力で抗議した。友達が幽閉されている箱から食材を取り出したりなんなりするなんて嫌すぎる。

 

「蛍さん」

「うぁい」

「はいこれ」

 

 ことん、と目の前にひんやりとした冷気が放たれる物が置かれたことに気がついて、私は目を開いた。

 そこにはガラス製のグラスに注がれたアイスティーが、綺麗な薄茶色を湛えて鎮座していた。

 

「お家から茶葉を持ってきたから、貴女の蜂蜜と合わせて作ってみたの。今日のバイト代よ」

「……凄く……美味しそう」

 

 真夏の昼間は、どこに居ても蒸し暑い。店内は外より格段に冷えているとはいえ、夏の暑さを完全に打ち消すまでには至らないのだ。そして今日、私は一口も水分を摂っていなかった。もう喉はカラカラである。渇き補正も加わってか、柔らかい天井ランプの光をキラキラ反射させる結露が着いたグラスを目に入れていると、猛烈にごくごくと飲み干したい衝動に支配されてしまう。

 

 思いがけない差し入れにお礼を言って、私はグラスを手に取った。ひんやりとした感触が、熱を持った手のひらを癒す。たぷんと波打つ涼し気な紅茶がとっても魅力的だった。

 一気に飲むのは流石にはしたないので、先ずは一口。

 

「……ふわぁ」

 

 感嘆が出てしまう程の絶品。これは、そう形容する以外に適切な表現が見当たらない。

 口にした瞬間、花が咲く様に鼻腔へ広がる紅茶の優雅な香り。茶葉の酸味の影からは蜂蜜の気品ある甘味が顔を覗かせ、喉へ流せば冷えた水分が食道から先をするりと浄化していくのだ。

 堪らない。暑い中でのコレは本当に堪らない。

 朝からの疲れもあってか、この一杯だけで思わず顔が蕩けてしまいそうだった。

 

「お客さんも、そんな風に笑ってくれるといいわね」

 

 幽香さんがクスクスと微笑みながら、満足そうに言った。

 その言葉に誘導されて、私は飲んだお客さんの反応を思い浮かべる。猛暑の中、このお店に辿り着いたお客さんがこの紅茶を飲んで、癒されたと笑顔を浮かべるその光景を。 

 捕らぬ狸の皮算用とは分かっているけれど、そんな光景をフッと想像して。

 私はそれを、ちょっぴり見てみたいなと思った。

 

 

 確かにまぁ、無理やりと言うか何というか、どうしてこうなったと言う感じで手伝わされつつ今に至るが、私がほんの少し手伝った蜂蜜が癒しの一員になれるなら、それも何だか悪くないなと思えて来てしまう。

 こんなの、妖怪らしくないにも程がある。けれど、もし友達がこのお店に来て笑ってくれたら、それも良いなぁと思うのは自然な事だと思うんだ。

 

 だからだろうか。我ながら単純だけど、少しだけこのお店を手伝うのも悪くないかもしれないと思えるようになってきた。

 考えてみれば、どうせ逃げたって現状じゃあ間違いなく強制連行アンド強制労働させられるんだ。よし、ここは気分よく働いて、行ける所まで行ってみようじゃないか。

 

「蛍さん」

 

 気持ちを切り替えていた最中、幽香さんが紅茶を啜りながら私に尋ねて来た。

 

「何ですか?」

「これ、貴女の制服」

 

 やっぱりお店と言えば専用の服よね、と彼女は言う。相変わらず謎な幽香さんの凝り性が発揮されたのか、新品同然の衣服が手渡された。

 

「知り合いに作って貰ったの。着てみて頂戴」

 

 唐突な要求にポカンとしていたら、さぁ早くと両手で催促される。

 

「……え? ここで着替えるんですか?」

「うん」

「いやそれは……流石に気恥ずかしいと言うか何というか」

「着て」

「はい」

 

 つい数秒前までほのぼのしてたのにこの圧力である。脊髄反射でイエスと答え、私は隊長に激を飛ばされた新米軍人よろしくわたわたと衣服を交換した。

 服装は、私がいつも着ている様な白いカッターに、緑を基調としたスカート。序でに向日葵のワッペンが付いた緑のベレー帽付きだ。幽香さんらしいと言うか、シンプルながら植物を連想させる衣装である。

 どうにもスカートが落ち着かないけど、それよりも気になる点が一つ。

 

「うん、似合ってるわね。蛍さんはスカートも似合うと思ってたけれど正解だったわ」

「幽香さん」

「なぁに?」

「あの、服は嬉しいんですけれど何で私のサイズを知ってるんですか? 凄くぴったりフィットするんですが」

「聞いたの」

「えっ」

「お花さんに貴女のサイズを聞いたら教えてくれたの」

「…………………………………………………………………………………」

 

 何だか私の中のお花に対するイメージが急降下しつつあるような気がする。サイズなんて超個人情報を知られてしまっているからにはアレだろう? 言うまでも無く私の私生活全てを花に覗かれてしまっていると言う事なんだろう? 

 それはもう、隅から隅まで。

 …………。

 

 お花、怖い。

 

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