問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第九十一話

食事が終わって全員(紫炎と耀は除く)が風呂に入り終わった

 

紫龍は白夜叉と蛟魔王との三人で酒を飲んでいた

 

「美味い酒だ。龍、何処から盗んできたんだ?」

 

「白、それは酷い言いがかりだ。ちゃんと書置きは残してきた」

 

「取るって誰にも言ってなけりゃ、盗みと同じやで」

 

三人はそんな風に仲良く呑んでいると、ノック音が聞こえてきた

 

「碓氷です。紫龍さんいますか?」

 

「おう、入れ」

 

紫龍は碓氷にそう言うと、碓氷は失礼しますと言って入ってくる

 

「どうした?」

 

「少し話したいことがありまして」

 

碓氷はそう言いながら白夜叉と蛟魔王を見る

 

「龍、儂の部屋で呑みなおしておくからの」

 

「その子と話し終わったらちゃんと来てな」

 

二人はそういって空気を読んで外に出た

 

「それで話って?」

 

紫龍がそう聞くと、碓氷が頭を下げる

 

「今まで八年間お世話になりました」

 

紫龍はその言葉を聞いて面倒臭そうに頭を掻く

 

「別にそんな事言わなくてもいいって。逆に俺が謝らなきゃいけないくらいだし」

 

「いえ。命まで助けてもらって、生きる術を教えてもらったんですから当然です。それに・・・」

 

碓氷がそこまで言うと、目に涙をためる

 

「それに、俺にとってあなたは師匠である前に父親だと思っていますから。本当に今までありがとうございました」

 

碓氷は涙を隠すようにもう一度頭を下げる

 

すると、紫龍が碓氷の頭を乱暴に撫でる

 

「ガキのくせに面倒臭いこと考えてんじゃねえよ」

 

そういって紫龍は碓氷を部屋の外に出す

 

「俺にそんなことを言う暇があったら、飛鳥ちゃんと少しぐらい距離を縮めろ。バカ息子」

 

紫龍の言葉に碓氷は目を抑えて何とか涙を出ないようにする

 

「ありがとうございました、父さん」

 

碓氷はそういって一礼して戻って行った

 

「まったく、子供はすぐに大きくなりやがる」

 

紫龍はそう言うと、何処からか煙草を出して吸い始めた

 

その表情はどことなく嬉しそうだった

 

――――――――――――――――――――――――――

 

次の日の朝、紫炎と耀は一緒に風呂に入った後、一緒に食事をとっていた

 

「はい、あーん」

 

「あーん」

 

いつも通り互いに食べさせていると、碓氷と飛鳥がやってきた

 

「二人とも、少しは周りの目を気にしたら?」

 

飛鳥がため息をついてそう言うが、二人は全く気にしてない

 

「周りの目なんてどうでもいい」

 

「そうそう。・・・っと、耀。ほっぺにご飯粒ついてる」

 

紫炎はそう言って、ご飯粒を拭って自分の口に入れる

 

「私の分・・・」

 

「がっかりすんな。ほら俺の分やるから」

 

紫炎はそういって自分の分の料理をスプーンで一掬いして耀の目の前に持って行った

 

耀はそれを嬉しそうに食べる

 

「・・・向こうで食べましょう」

 

「そうですね。何を言っても聞きそうにありませんからね」

 

飛鳥と碓氷がため息をついてそう言うと、少し離れた場所で食事をとることにした

 

「まったく、あの二人は何を考えてるのかしら」

 

箱入りの昭和女子である飛鳥にとって二人の大胆な行動はあり得ないものらしい

 

「でも二人っきりなら別にいいんじゃないか?」

 

二人っきりになったことで敬語を止めた碓氷がそう言うと、飛鳥は少し顔を赤くする

 

「ま、まあね」

 

そんな飛鳥の表情を見て碓氷は笑ってしまう

 

「な、何よ」

 

「いえ、可愛いなって思って」

 

碓氷が何気なしにそう言うと飛鳥は顔を真っ赤にする

 

「皆様、おはようございます」

 

すると黒ウサギがいつものテンションであいさつしてきた

 

「うるさい。朝っぱらからうるさいぞ、ダメウサギ」

 

紫炎が機嫌悪そうにそう言うと、黒ウサギは怒鳴り気味で紫炎に詰め寄る

 

「赤羽さん!なんですか、ダメウサギって!余程怒られたいみたいですね」

 

「そんな特殊な趣味は俺にはない。ただそのままことを言ってるだけだ」

 

「確かに」

 

耀が紫炎の言葉に同意して首を縦に振ると、流石の黒ウサギも涙目になる

 

「あ、あの耀さん。それ本当に思ってますか?」

 

黒ウサギの言葉に耀は首を横に振る

 

「大丈夫。黒ウサギが頑張ってるのは知ってる。ただ時々空気が読めない駄目なところがあるだけ」

 

耀のとどめの言葉に黒ウサギは涙をかみしめて自分の部屋に戻って行った

 

「どうしたんだろ?」

 

「さあな。それより収穫祭最終日楽しもうぜ」

 

紫炎がそういうと、耀は嬉しそうに紫炎の腕に抱きついた

 

そうして二人は食堂を出て行った

 

「あの二人は相変わらずだね」

 

「そうね」

 

二人は呆れた風にそう言う

 

「それじゃあ俺らも食べ終わったら行こうか」

 

「そうね。でもその前にちょっと着替えてもいいかしら」

 

飛鳥の言葉に碓氷は疑問を浮かべるが、あまり気にした様子もなく答える

 

「別にいいよ。それぐらい待つよ」

 

「そう。ありがとう」

 

そうして二人はゆっくりと喋りながら食事をした

 

――――――――――――――――――――

 

「紫炎。楽しいね」

 

「ああ」

 

紫炎と耀は互いに肩を寄せ合い、仲良く歩いている

 

耀の姿は薄い水色の浴衣を着ていた

 

「今度どこに行こうか」

 

耀のその言葉に紫炎は右手を顎にあて、左手を耀の頭を撫でながら考える

 

「そうだな。小物屋を回ってその後にグリーのとこにでも行くか?」

 

「うん。けど、それまでは二人っきりだからね」

 

耀はそう言うとさっきよりさらに強い力で紫炎に抱きつく

 

紫炎も耀の頭を撫でてやると、いきなり後ろから頭をはたかれた

 

「いやー、若いっていいね」

 

そこには酒瓶を片手に持って、すっかり寄ってる紫龍がいた

 

「黙れ、ダメ人間。さっさと失せろ」

 

頭をはたかれただけでなく、二人っきりのところを邪魔されたので少しキレ気味である

 

「その前に一つ教えとくよ。中央の広場で食べ放題と呑み放題がやってるぞ」

 

紫龍はそう言うと、その場から消えた

 

「し、紫炎。き、気にせず小物屋行こうか」

 

耀はそう言いながら口元の涎を拭う

 

「別に広場でいいぞ」

 

「ううん。食べ放題だと私一人でしか楽しめないから」

 

耀は何とか涎を拭ってそう言うと、紫炎はとりあえず耀を抱きしめる

 

「俺の為に我慢なんてしなくていいぞ。それに俺は呑み放題の方に少し興味あるし」

 

紫炎の言葉を聞いた瞬間、耀は顔を思いっきりあげる

 

「じゃあ、行く」

 

耀の言葉に苦笑しながら紫炎は耀と寄り添って中央の広場に向かった




真に勝手ながら私用でパソコンが一週間使えませんので、スマホ投稿になります
もしかしたら一週間以内に投稿できないかもしれません

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