問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第九十二話

飛鳥と碓氷は手を繋いで収穫祭を楽しんでいた

 

飛鳥はピンクを基調にした浴衣を着ていた

 

「ねえ、碓氷君。向こうの方、少し賑やかみたいね」

 

「行ってみる?」

 

「うん」

 

碓氷の言葉に飛鳥は手を握り返す

 

そうして二人は手を繋いで賑やかな方に歩いていった

 

すると、中央の広場に人だかりが出来ていた

 

「すいません。一体なにがあるんですか?」

 

碓氷が近くにいる人に聞く

 

「ああ。中央で少女と少年が凄い勢いで飲み食いしてるんだよ」

 

その言葉を聞いて嫌な予感になる二人

 

そうして二人は人垣をかきわけて中央に行くと、予想通りの二人がいた

 

「何やってるんですか、紫炎、春日部さん」

 

碓氷が呆れたようにそういうと、先に気づいた耀が答える

 

「そこに料理があるから」

 

耀はそう言うと、もう一度食事に戻った

 

紫炎はそのまま何かを樽ごと飲んでいる

 

何を飲んでいるか気になった碓氷が紫炎に尋ねる

 

「なあ、紫炎。何を飲んで・・・」

 

「うるせえ!!」

 

すると、紫炎は碓氷に樽を投げつけた

 

「今、呑んでんだ!もう一樽おかわり」

 

紫炎はそう言ってまた樽ごと飲みはじめた

 

「だ、大丈夫?」

 

飛鳥が心配そうに碓氷に聞くと、碓氷は樽を紫炎に投げつけた

 

しかし、軽く止められてしまい、もう一度投げつけられた

 

「先に呑ませろ」

 

紫炎は少し苛立ち気に言う

 

碓氷は紫炎の様子がいつもと少し違うのに気づき、樽のにおいを嗅ぐ

 

「酒?」

 

「もしかして紫炎君、酔ってる?」

 

碓氷の言葉を聞いた飛鳥が耀に聞いてみると、耀は頷く

 

「大丈夫。半分意識はあるぞ」

 

やりとりを聞いていた紫炎はそう言うと、まだ酒を飲む

 

「私達はもうちょっとここにいるから」

 

耀もそう言って自分の食事に戻った

 

飛鳥と碓氷はそれを聞いて顔を見合わせて苦笑する

 

そして人の輪から二人は離れる

 

「飛鳥、どこか行きたいところとかある?」

 

碓氷がそう尋ねると、飛鳥は碓氷に向かって手を伸ばす

 

「エスコートしてくれるかしら?」

 

「・・・ええ。お任せあれ」

 

碓氷はそういって飛鳥の手を持ち、手を引いて歩き出した

 

――――――――――――――――――

 

二時間で食糧庫を半分にした耀は今、酔いつぶれた紫炎と一緒に部屋に戻っていた

 

途中で三毛猫も連れてきた

 

「よく寝てる」

 

耀はそう言いながら紫炎の頭を撫でる

 

「お嬢。こいつ全然起きる気配がありません」

 

三毛猫はそういって紫炎に肉球を押し付ける

 

「それじゃあ私はちょっと空けるからお願いね」

 

そういって耀は部屋から出て行った

 

「ったく、すごく思われとるやないか」

 

三毛猫はそういって紫炎に肉球をたたきつける

 

「ただいまー、ってあれ?ここじゃないか」

 

すると紫龍が陽気に入ってきた

 

「なんや!なにしに来たんや」

 

そんな紫龍に三毛猫は敵意を向ける

 

「何言ってるかわからんが、そんなに怒るな。部屋間違えただけだ」

 

紫龍はそう言いながら三毛猫の喉を撫でてやると、ゴロゴロと気持ちよさそうな音を鳴らす

 

「まあ、間違いついでに置いてくか」

 

紫龍はそういって色の違うギフトカードを四枚出して近くの机に置いた

 

そしてそのまま五分ほど撫で続けた後、紫龍は出て行った

 

そして三毛猫も紫炎の上で耀が帰ってくるまで寝ていた




何とか更新できた
これからは一週間以内で更新していきたいです

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