問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第九十四話

本拠に戻って三日が経った

 

碓氷もノーネームに慣れ、今は朝食を準備している

 

「ん?もう起きているのか。朝食の準備くらいは私たちがやるぞ?」

 

すると、レティシアとリリがやってきた

 

「いえ、紫龍さんと一緒に行動してた時はいつもこれくらいに起きてたんで大丈夫です」

 

「そうなのか。紫炎に見習ってもらいたいものだ」

 

「まあ、しょうがないですよ。紫炎が朝起きれないのは夜明けぐらいまでノーネーム本拠の周辺を見回ってるらしいですからね」

 

碓氷の言葉にレティシアが驚く

 

「だからいつも昼ごろまで寝ているのか」

 

「ま、それでも寝過ぎだと思いますけどね」

 

そんな風に話をしていると、紫炎以外の面々も集まってきた

 

「あら?紫炎君は今日も寝坊なの?春日部さん」

 

「うん。ベットから落としても起きなかった」

 

飛鳥の言葉に耀が少し残念そうに答える

 

「しょうがないのです。叩き起こして・・・」

 

「だめ。私が起こす。・・・ご飯食べたら」

 

黒ウサギがハリセンを持って紫炎を叩き起こそうとするが、耀に耳を掴まれて引き戻される

 

「まあ、まだ寝さしてもいいんじゃないんですか?」

 

「ダメ。昼までには起こす。これに出なきゃいけないから」

 

碓氷が笑いながらそう言うと、耀が怒った口調で碓氷を睨む

 

そして一枚のチラシを出すとそこには『ウェディング体験』という大きな文字があった

 

「ギフトゲームに勝てば出来るの。当日参加もできるし、飛鳥達も参加してみたら?」

 

その言葉を聞いて飛鳥と碓氷は顔を赤くする

 

「もう、耀さん。参加資格のところに『カップル限定』って書いてあるじゃないですか」

 

黒ウサギがそんな風に呑気に言うと、十六夜が口をはさむ

 

「この参加資格は『男女ペア』ってこと以外別段深い意味はないと思うぞ」

 

「そうなのでしょうか?」

 

十六夜の言葉に黒ウサギが首を傾げる

 

「け、けど春日部さん。そうするとあなたたちは体験できないかもしれないわよ」

 

「大丈夫。三組まで出来るみたいだから」

 

飛鳥の問いかけに耀はチラシの景品部分を指さしながら答える

 

「そ、そう。じゃ、じゃあどうしようかな」

 

飛鳥はそう言いながら碓氷の方をちらちらと見る

 

「そう、ですね。それじゃあ一緒に参加しましょうか、飛鳥さん」

 

碓氷がそういうと、飛鳥が嬉しそうに微笑む

 

「ふぁ~。おはよう」

 

すると、紫炎があくびをしながら入ってきた

 

「あ、おはよう。紫炎」

 

「お、耀。今日の昼だっけ?」

 

「うん。それじゃあ、一緒に食べよう」

 

耀がそういうと、紫炎は耀の隣に座り口を開ける

 

「はい、あーん」

 

「あーん」

 

いつものように二人が食事をすると、紫炎は黒ウサギにハリセンで叩かれた

 

「お二人とも!一体何をしてるんですか!!」

 

黒ウサギが顔を赤くし、髪もピンク色にして二人に怒鳴る

 

「「食事」」

 

二人が声を揃えて何にも無いように答えると、黒ウサギはもう一度ハリセンで紫炎を叩く

 

「もう!少しは抑えてください!!」

 

「わかった」

 

紫炎が顔を机に顔をつけたまま手を上げて反応する

 

「分かったならよろしいのです」

 

紫炎の言葉に満足したのか食堂から出て行った

 

「ったく、何か俺にだけ当たりきつくないか?」

 

「確かに。お前何かしたのか?」

 

十六夜の言葉に紫炎が悩んでいると、碓氷が話しかける

 

「そう言えば昨日黒ウサギさんに言われたことはやったのか?」

 

「・・・・・・・・・・・・・え?」

 

碓氷の言葉を聞いた瞬間、紫炎は固まる

 

「まさか忘れてたのか?あんなに念を押されてたのに?」

 

「えっと、いつ言われてたっけ?」

 

「昨日朝食を食べた後、春日部さんが着替えに言ってる時にですよ」

 

碓氷の言葉に紫炎は必死で思い出そうとする

 

「何か言われてたような・・・」

 

紫炎の言葉に碓氷は呆れる

 

「『碓氷さんの歓迎会したいので今日の昼ごはんの後、メニューを考える為に碓氷さんにばれないように来てください』って、僕に気づかずに言ってましたよ」

 

碓氷の言葉に紫炎以外は苦笑いになる

 

紫炎はそれを聞いてもわかっていない様だ

 

「・・・とりあえず謝ってくるわ」

 

紫炎がそういって食堂を出て行くと、残った面々はさっきの話の続きをする

 

「それにしても黒ウサギの奴、碓氷に聞かれてたなんてらしいちゃらしいよな」

 

「そうね。それにしても碓氷君は覚えてたのに何で紫炎君は覚えてなかったのかしら?」

 

飛鳥がそこまで言うと、耀が口を開く

 

「えっとね。紫炎、昨日は朝食食べた後、私が着替えに行ってる間にもう一回寝てた」

 

耀の言葉を聞き、十六夜と碓氷が苦笑する

 

「もしそんな理由で聞いてないって知ったら黒ウサギはどうすると思う?」

 

飛鳥の言葉を聞いた三人は顔を見合わせる

 

「そりゃあ」

 

「まあ」

 

「ねえ」

 

次の瞬間、ハリセンの音が鳴り響いた


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