問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第九十五話

お昼を過ぎたころ、四人は六本傷のカフェで食事をしている

 

しかし、何故か耀と飛鳥は不機嫌だった

 

「耀。延期なんだからしょうがないだろ」

 

「飛鳥さんも機嫌直してください」

 

「「うん」」

 

紫炎と碓氷の言葉に耀と飛鳥は力なく頷く

 

実はウェディング体験のギフトゲームに参加しようとしたのだが、アジ・ダハーカの分体が東で暴れたせいで区画が壊れてしまったらしい

 

「そう言えばそのチラシって何時頃貰ったんだ?」

 

紫炎が不思議そうにそう聞くと、耀が紫龍から貰ったギフトカードを手に持った

 

「えっとね、本拠に着いた次の日にこれから出てきた」

 

「それじゃあ俺らのエントリーの時に気づかなかったのか?」

 

紫炎が聞くと、耀の左フックが紫炎を捕えた

 

「エントリーするにはペア揃ってじゃないと無理って書いてるでしょ。それなのに全然起きないし、昼になったら十六夜と図書室に夜まで籠ってるじゃん」

 

耀の言葉に紫炎がばつの悪そうな顔になる

 

「へー、そうなんですか。図書室で勉強でもしてるんですか?」

 

碓氷が笑いながらそう言うと、紫炎は肩を落としながら喋りだした

 

「ああ。英語が苦手なのがばれてな、ギフトゲームに必要になってくるかもしれないからって昼飯から晩飯までの間、スパルタ教育だ」

 

紫炎がそういうと、暗くなる

 

「あの、なんかすまん」

 

冗談のつもりで言ったのが場の空気が悪くなったことに碓氷が謝る

 

「紫炎。私より十六夜といるほうが良いの?」

 

すると、耀が涙目+上目遣いで紫炎に詰め寄る

 

「そんなわけねーだろ。俺はお前といるのが一番幸せなんだ」

 

「嬉しい」

 

紫炎の言葉を聞いて二人は人目を憚らずに抱き合う

 

「あの、春日部さん?私たちもいるし、ここは外よ?」

 

飛鳥がそういうが、二人は離れる様子がなかった

 

「はあ、しょうがない。行きましょう、碓氷君」

 

「そうですね。あ、お金は置いときますから」

 

飛鳥と碓氷はそういってその場から離れて行った

 

「これからどうしよっか?」

 

「うーん、とりあえずもう少しこのままでいいか?」

 

「うん」

 

そうしてバカップルは店員に注意されるまでそのままでいた

 

――――――――――――――――――――

 

一方、本拠に残っている十六夜はロビーで何かの紙にペンを走らせていた

 

「あれ?十六夜さん、何してるんですか?」

 

「ん?黒ウサギか。紫炎にやらせる英語のプリントを作ってやってるんだ」

 

十六夜はそういって黒ウサギにその紙を見せる

 

その問題は中学生レベルのものだった

 

「えっと、これは誰にやらせる問題なのですか?十六夜さん」

 

簡単な問題を見て黒ウサギはもう一度聞く

 

「今年高校二年生になった十七歳の赤羽紫炎君にやらせる問題だ」

 

十六夜はいつものようにおちゃらけて言うと、黒ウサギはおずおずと手を上げる

 

「あのー、ここまで苦手なら無理やりやらせなくてもよろしいんじゃないでしょうか?確かにギフトゲームには英語が必要なのはあります。しかし、謎解きには十六夜さんや耀さんに任せればよろしいのでは?」

 

長年箱庭でギフトゲームに携わってきた黒ウサギはギフトゲームは適材適所で行うのが一番いい方だと心得ているのでそう発言する

 

「だからだ。謎解きやそれに見合った戦略を練るのはあいつが一番うまい」

 

するとさっきとは打って変わって真剣な表情で十六夜が言葉を発する

 

「そうなのですか。十六夜さんは皆さんの事をよく見てらっしゃるのですね」

 

黒ウサギがそういっていつものように天真爛漫な笑顔になる

 

「ああ。黒ウサギの胸が日々成長してるってことも知ってるぜ」

 

「さっきの事が台無しなのですよ、お馬鹿様ぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

 

さっきと同じように真剣な表情で十六夜が言った直後、箱庭に来てから一番のハリセンの音が本拠に響いた


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