問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第百二話

紫炎達がギフトゲームをしている時、ジンと十六夜は今、ジャックに連れられて東側の六桁外門に来ていた

 

「ここに最後の同盟相手が?」

 

「ヤホホホ。そうですよ。もとは五桁だったのですが、先日いろいろあって六桁に落とされたコミュニティですよ」

 

ジンの言葉にジャックがいつも通り陽気に答える

 

「おい、御チビ様。なんかここ見覚えないか?」

 

「ええ。とても嫌な予感がしますね」

 

十六夜がいつものように笑いながら言うと、ジンは頷く

 

「!?貴様は」

 

「おー。やっぱりか」

 

すると、ルイオスの側近が出てきた

 

「ヤホホホ。顔見知りでしたか。では、改めて。最後の同盟相手はペルセウスです」

 

「なっ!?ジャック様、勝手に決めてもらっては困ります」

 

ジャックの言葉に側近が反論する

 

「ならコミュニティのリーダーと話しましょう。そのように先に連絡したはずですが?」

 

ジャックの言葉に側近が困惑の表情を見せる

 

「おい、さっさと案内を・・・」

 

「あれ?十六夜君にジン君も一緒なのか」

 

渋る側近に十六夜が急かそうとすると、聞き覚えのある気の抜けた声が聞こえてきた

 

「おっさん!?」

 

「紫龍さん!?」

 

「・・・。十六夜君、その呼び方やめてくれないか?四十の心を傷つけるのに十分の威力だから」

 

十六夜の呼び方に紫龍が割と本気でそう言う

 

「紫龍さん。これはあなたの入れ知恵ですか?」

 

「ヤホホホ。違いますよ。このカボチャ頭で考えた結論ですよ」

 

側近が怪訝な表情で紫龍を睨みながら言うと、すぐさまジャックが答える

 

「おい。そんな事よりこのおっさんとアンタらの関係はなんだ?」

 

「また!?」

 

十六夜が側近に詰め寄るが、紫龍は呼び方に対して不満を言う

 

「ん?知らないのか?紫龍さんは・・・」

 

「ヤホホホ。それ以上は駄目ですよ。彼もそれを望んでますしね」

 

側近が喋ろうとすると、ジャックが途中で遮る

 

「おいおい、めちゃくちゃ気になるじゃねえか。教えてくれよ、おっさん」

 

「人をおっさん呼ばわりする悪い子供に教えることなんかないですよーだ」

 

十六夜が知的好奇心から尋ねると、紫龍は子供の様に拗ねる

 

「あの、紫龍さん。出来れば教えてほしいんですけど」

 

いままで空気だったジンが恐る恐る紫龍に尋ねる

 

「・・・。まともに聞かれると、それはそれで答えにくい」

 

「おっさん。元々答える気無いだろ」

 

紫龍の言葉に十六夜がツッコミを入れる

 

「まあ、そう言うことだ。ルイオスには俺から言っといてやるよ」

 

「紫龍さん!」

 

紫龍が普段通りに喋ると、側近が叫ぶ

 

「いいじゃないか。最強種を一撃で屠ることが出来るプレイヤーがいるコミュニティと同盟が組めるんだ。損はないぜ」

 

紫龍の言葉に側近は言葉をだせない

 

「これでノーネームは六桁に昇格出来るな」

 

「ええ。けど、一応リーダーのルイオスさんに話を通さなくていいのですか?」

 

「いいのいいの。あのボンボン、自分の事しか考えないから。それに今は俺がここのコミュニティの臨時リーダーだし」

 

「え!?」

 

紫龍の言葉にジンは驚く

 

「おっさん、どういうことだ?」

 

いくら箱庭に来て一年も経っていないいざよいとはいえ、コミュニティのリーダーがほいほいと変わるわけがないのを知っている

 

なので臨時とはいえ外部の人間がコミュニティのリーダーになっているのが不思議のようだ

 

「昔なじみのよしみでここの最高難易度のギフトゲームをやったんだけどさ、年取ると力の下限が難しくなってきてね。やり過ぎてルイオス君が大けがしちゃってね。だから景品の代わりに臨時リーダーをしてコミュニティをまとめてるってわけだ」

 

紫龍は何でも無いように答えるが、十六夜は笑みが止まらなかった

 

一対一では圧勝していたとはいえ、ルイオスの元までコミュニティの仲間に頼った自分

 

見張りに気づかれず、さらに同じようにルイオスに圧勝した紫龍

 

ギフトの差があれど、自分より格上だと思う相手に十六夜は一つの感情が生まれる

 

「おい、おっさん。あんた、何者だ?」

 

「さあね?」

 

値踏みするような十六夜の瞳に気づいた紫龍は受け流すように返す

 

「おっさん。俺と勝負しろ。それが一番はえー」

 

十六夜は紫龍を睨みながらそう告げる

 

箱庭に来てたくさんの猛者と闘ってきた十六夜はある程度なら相手の強さがわかるようになってきた

 

しかし、十六夜から見て紫龍の強さがまったく見えない

 

確かめたい、その感情が今の十六夜の本心だった

 

そんな十六夜を見て紫龍は諦めたようにため息を吐く

 

「・・・十六夜君、白以外で一番強かったのは誰だ?」

 

「蛟魔王だ。といっても命を懸けたようなものじゃなくてヒッポカンプの騎手のゲーム内だけだ」

 

紫龍の言葉に十六夜は偽りなく答える

 

「五分。それだけならそれ以上の力を見せてやれるけど、どうする?」

 

紫龍はギアスロールを見せながら言うと、十六夜はそれをひったくる

 

「ハッ!それは楽しみじゃねえか。おっさん、それが本当なら死ぬ気でやらせてもらうぜ。死ぬんじゃねえぞ!」

 

十六夜はそう言って自分の署名したギアスロールを紫龍に見せる

 

それを見た紫龍はギフトカードから薬を取り出し、口にくわえる

 

「それぐらいしてくれないと遊ぶこともできないからね。それじゃあ、ゲームスタート」

 

紫龍がそう言うと、二人の姿が消えた


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