問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第百三話

十六夜と紫龍が消えて取り残されたジンたち

 

「えっと、僕らはどうすればいいのでしょうか?」

 

「五分と言ってましたし、それぐらいなら待っていましょう」

 

「はあ、そうですね」

 

ジャックの言葉にジンは十六夜がやり過ぎないように祈る

 

そして五分が過ぎると、紫龍と十六夜が消えた場所から大量の煙が出た

 

そこに二つの影が映ってるので、十六夜と紫龍が帰ってきたのだろうと思う

 

「え!?」

 

煙から一瞬だけ紫炎より少しだけ髪が長い少年が見えた

 

見間違いかと思い、目を擦ってみると、いつも通りの紫龍が立っていた

 

「いやー、十六夜君強かったね」

 

「おっさん、一体なにも・・・ん・・・だ」

 

十六夜はそう言って倒れる

 

「十六夜さん!?」

 

「あら?やりすぎたかな?」

 

ジンは十六夜に駆け寄るが、紫龍はその場であっけらかんに答える

 

「彼を医務室まで」

 

「分かりました」

 

紫龍が側近の男に十六夜を連れていかせる

 

ジンはそれについていった

 

「少々やり過ぎなのでは?」

 

「気絶はさせたが目立った外傷はないはずだぜ」

 

ジャックの言葉に紫龍はいつも通りの口調で話す

 

「まあでも、見込み充分だったってのが加減できなかった一番の理由だな」

 

「!?」

 

紫龍がそう言って自分の脇腹を見せる

 

そこには殴られてうっ血したような跡があった

 

「まさか一撃もらうなんて全く思ってなかったからな」

 

紫龍は脇腹の傷を隠し、軽く笑う

 

「それより飲んだ薬の副作用などは大丈夫なのですか?」

 

「副作用なしの軽めの薬を飲んだから大丈夫だ」

 

「そうですか。それよりなんでここにいるのですか?」

 

ジャックが不思議そうに聞く

 

紫龍とペルセウスとの関係を知っているジャックだったが、何故今更紫龍がここにいるのか分からない様だ

 

「今日ここにいたのは本当に偶然だよ。今は箱庭中のギフトゲームをしてるところだからな」

 

紫龍の言葉にジャックはため息をつく

 

「いい加減どこかのコミュニティに入りなおしたらどうですか?」

 

「それは無理。俺にはまだ守るべき旗があるからな」

 

紫龍はそう言ってギフトカードを出すと、そこには大きな火とそれを崇める人々の絵が入っていた

 

「土地もなく今は俺だけとはいえ、この旗にはあの時の思い出が詰まってんだよ」

 

紫龍が昔を懐かしみながらギフトカードをしまう

 

「もうそろそろ十六夜君も目覚めるだろう。そうしたら今日はもう帰れ」

 

「それで彼が素直に帰ればいいのですが・・・」

 

紫龍の言葉にジャックがため息交じりで返す

 

「大丈夫大丈夫。きっと何とかなる」

 

紫龍の無責任な言葉にジャックはさらに大きなため息をはいた


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