問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第十話

カードを見てみるとそれぞれの名前と体に宿るギフトを表すネームが記されていた

 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明”(コード・アンノウン)

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の目録”(ゲノム・ツリー)“ノーフォーマー”

 

レインボーカラーのカードに赤羽紫炎・ギフトネーム“火色炎舞”“自由主義”(リベラリズム)

 

それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。

 

黒ウサギは驚いたような、興奮したような顔で四人のカードを覗き込んだ。

 

「ギフトカード!」

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「香典?」

 

「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が会っているのです!?赤羽さんは不吉すぎます。このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは”ノーネーム”だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

白夜叉は自分のカードを取り出し説明を進める。

 

「ふぅん・・・・・・もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

十六夜は何気なく黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。

 

すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。

 

見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、ギフト欄の“正体不明”の下に“水樹”の名前が並んでいる。

 

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」

 

「出せるとも。試すか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 

チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。

 

白夜叉は両者の様子を高らかに笑いながら見つめていた。

 

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった”恩恵”の名称。鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「俺は主義がのってるんだが・・・これもギフトなのか?」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 

十六夜の声に、ん?と白夜叉が彼のカードを覗き込む。

 

そこには確かに“正体不明”の文字が刻まれている。

 

ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情の変化は劇的だった。

 

「・・・・・・いや、そんな馬鹿な」

 

パシッと、表情を変えた白夜叉がカードを取り上げる。

 

真剣な眼差しでカードを見る白夜叉は、不可解とばかりに呟く。

 

「“正体不明”だと・・・・・・?いいやありえん、全知たる“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 

パシッと十六夜がカードを取り上げる。

 

だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。

 

それほどギフトネームが”正体不明”とはありえないことだった。

 

(そういえばこの童・・・・・・蛇神を倒したと言っていたな。種の最高位である神格保持者を人間が打倒する事はありえぬ。強大な力を持っていることは間違いないわけか。・・・・・・しかし“ラプラスの紙片”ほどのギフトが正常に機能しないとはどういう・・・・・・)

 

『ギフトが正常に動作しない』。そこで白夜叉の脳裏に一つの可能性が浮上した。

 

(ギフトを無効化した・・・・・・?いや、まさかな)

 

浮上した可能性を、白夜叉は苦笑と共に切り捨てた。

 

修羅神仏の集う箱庭で、無効化のギフトは珍しくない。

 

だが十六夜のように強大な奇跡を身に宿す者が、奇跡を打ち消す御技を宿しては大きく矛盾する。

 

それに比べれば、“ラプラスの紙片”に問題があるという結論の方がまだ納得できる。

 

六人と一匹は暖簾の下げられた店前に移動し、耀は一礼した

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むものだもの」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」

 

「その時は本気で相手してもらうぜ。」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。………ところで」

 

白夜叉は微笑を浮かべるがスっと真剣な表情で俺達を見てくる。

 

「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

「ああ、名前と旗の話か?それなら聞いたぜ」

 

「なら、“魔王”と戦わねばならんことも?」

 

「聞いてるわよ」

 

「………では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

 

横目で黒ウサギがを見てみると黒ウサギの目は俺達から視線をそらしていた。

 

「そうよ。打倒魔王なんてカッコいいじゃない」

 

「“カッコいい”で済む話ではないのだがの………全く、若さゆえなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが………そこの娘二人と赤い髪の小僧。おんしらは確実に死ぬぞ」

 

予言するように断言された耀と飛鳥は言い返そうとするが言葉が見つからないのか、それとも同じ元魔王の白夜叉の威圧感に黙ってしまう。

 

「おいおい、俺と飛鳥のギフトも見ずに随分な言いぐさだな。」

 

「これでも伊達に長生きしておらぬ。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても悲しいものだ」

 

「ご忠告ありがとう。だが、それを断言するのはまた今度本気のゲームをしに行った来た時にしてくれや。」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。………ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

 

「望むところだ!」

 

「望まないでください!」

 

黒ウサギが即答で返してくる。白夜叉は拗ねたように唇を尖らせた。

 

「つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!って、十六夜さんも赤羽さんも『その手があったか!?』という顔しないでください!?」

 

怒る黒ウサギに笑う俺、逆廻、白夜叉。そのまま俺達は無愛想な女性店員に見送られながら“サウザンドアイズ”二一〇五三八〇外門支店を後にした。

 

ノーネムへの帰り道、俺は耀に聞きたいことがあった

 

「なぁそのペンダント、父親から貰ったって聞いたけど優しい父親なんだな」

 

「うん。入院していた私に面白い旅の話もしてくれたし、このペンダントのおかげで友達もできた。」

 

「そうなんだ」

 

「どうしてそんなことを聞いてきたの?」

 

「なんとなくじゃ駄目か?」

 

「別にいいけど・・・それじゃあ紫炎の父親の話をして」

 

「・・・なんでだ?」

 

「なんとなくじゃ駄目?」

 

耀がいたずらっぽく笑いかける。

 

「もし話すなら、コミュニティに着いてひと段落してからだ。」

 

「なんで?」

 

「聞き耳たててる奴らには聞かれたくない。」

 

紫炎がそういうと黒ウサギと飛鳥がビクッっと肩を震わせる

 

「別にいいんじゃないの?」

 

「あんまり人に聞かれたくないんだよ。」

 

「いいじゃないですか、赤羽さん。コミュニティの仲間と親睦を深めると思って」

 

「その仲間にコミュニティの現状を隠してたやつには言われたくないな。」

 

紫炎がそういうと黒ウサギは悲しそうに前を向き歩き出した

 

「それなら私には教えてくれるのかしら?」

 

飛鳥が聞いてくる

 

「あんまり人に話したくないからパス。」

 

「じゃあなんで春日部さんだけに話すのかしら?」

 

飛鳥が不機嫌そうに聞いてくる

 

「別に話すと決めたわけじゃない。聞く気があるなら話すかもしれないだけだ。」

 

「それずるい。私話したのに。」

 

「まぁそのことについてもまずコミュニティに着いてからだ。」

 

紫炎はこれ以上の追及を逃れる為無理やり話を切り上げた

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