問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第十三話

―――箱庭二一〇五三八〇外門。ペリベット通り・噴水広場。

 

 

 

“ノーネーム”の屋敷で一日を過ごし、俺達“ノーネーム”は“フォレス・ガロ”のギフトゲームを挑むためにコミュニティの居住区に訪れようとする道中、“六本傷”の旗が掲げられている昨日のカフェテラスで声をかけられた。

 

「あー!昨日のお客さん!もしや今から決闘ですか!?」

 

昨日の猫耳店員が近寄ってきて俺達に一礼した。

 

「ボスからもエールを頼まれました!ウチのコミュニティも連中の悪行にはアッタマきてたところです!この二一〇五三八〇外門の自由区画・居住区画・舞台区画の全てでアイツらやりたい放題でしたもの!二度と不義理な真似が出来ないようにしてやってください!」

 

ブンブンと両手を振り回しながら応援してくれた。はは、元気だな………これは相当好き勝手にやられたんだろうな。心の中で苦笑しながら俺と飛鳥は強く頷き返す。

 

「ええ、そのつもりよ」

 

「あんな虎ごときに遅れはとらん。」

 

「おお!心強い御返事だ!」

 

俺達の言葉に満面の笑みで返す猫耳店員………が、急に声を潜めて俺達に喋りかけてくる。

 

「実は皆さんにお話があります。“フォレス・ガロ”の連中、領地の舞台区画ではなく、居住区画でゲームを行うらしいんですよ」

 

「居住区画で、ですか?」

 

それに答えたのは黒ウサギだった。その言葉を知らないのか飛鳥は不思議そうに小首を傾げる。

 

「黒ウサギ。舞台区画とはなにかしら?」

 

「ギフトゲームを行う為の専用区画でございますよ」

 

「昨日の白夜叉のゲーム盤みたいなのか?」

 

「YES。その通りです、紫炎さん。」

 

他にも商業や娯楽のための自由区画、寝食や菜園などがある場所を居住区画というらしい

 

「しかも傘下に置いているコミュニティや同士は全員ほっぽり出していました」

 

「・・・・・それは確かにおかしいわね。」

 

「でしょ、でしょ。何のゲームか知りませんがとにかく気を付けてください。」

 

「ありがとな、猫耳少女。」

 

俺は少女の頭を撫でた

 

「・・・・ロリコン」

 

「ん?何か言ったか、耀?」

 

「別に」

 

「?」

 

耀の呟きが気になったが飛鳥たちがさっさと行ってしまっていたため詳しく聞けなかった。

 

 

 

「あっ、皆さん!見えてきました・・・けど」

 

黒ウサギは一瞬、目を疑った。他のメンバーも同様のようだ

 

なぜなら居住区のはずなのに森のように木々が鬱蒼と生い茂っていた

 

「・・・ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだし、おかしくないだろ」

 

「いえ、フォレス・ガロの本拠は普通の居住区だったはず・・・それにこの木は」

 

ジンがそっと気に手を伸ばす

 

紫炎も木に手を当て

 

「燃えないな」

 

ギフトを発動していた

 

「何しているんですか、紫炎さん。」

 

「あっ、契約書類があるぞ」

 

「話を聞いてください」

 

紫炎はジンの言葉を無視して今回のゲームの内容が書かれている契約書類を読んでいた

 

『ギフトゲーム名“ハンティング”

 

 ・プレイヤー一覧 赤羽 紫炎

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          ジン=ラッセル

 

 ・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 

 ・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約ギアス”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

 

 ・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 ・指定武具  ゲームテリトリーにて配置。

 

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                               “フォレス・ガロ”印』

 

 

「ガルドの身をクリア条件に・・・指定武具で打倒!?」

 

「こ、これはまずいです」

 

ジンと黒ウサギから悲鳴のような声が聞こえてくる。

 

飛鳥は心配そうに問う

 

「このゲームはそんなに危険なの?」

 

「いえ、ゲーム自体は単純ですが問題はこのルールです。このルールだと飛鳥さんのギフトで彼を操ることも紫炎さんと耀さんのギフトで傷付ける事も出来ないことになります」

 

「どういうことだ?」

 

「“恩恵”ではなく“契約”で身を守られているのです。」

 

「すいません。僕の落ち度です。こんなことならその場でルールを決めておけば・・・」

 

ルールを決めるのが“主催者”である以上、白紙のゲームに承諾するのは自殺行為に等しい

 

「それなら何も言わなかった俺らも同罪だ。」

 

「うん。だから自分だけを責めないように。」

 

「紫炎さん、耀さん。」

 

ジンに少し明るさが戻る

 

「それにこのルールで絶対負けるなんてことはない。勝てる要素がある以上結果が出るまで弱音を吐くな」

 

「そ、そうですよ。“指定”武具と書かれているので何かしらのヒントがあるはずです。もしなければフォレス・ガロの反則負けです」

 

「大丈夫。黒ウサギもこう言ってるし私も紫炎も頑張る。」

 

「・・・ええそうね。むしろあの外道のプライドを粉砕するのにこのくらいのハンデは必要かもね」

 

愛嬌たっぷりに励ます黒ウサギとやる気を見せる耀に飛鳥も奮起したようだ。

 

ジンと十六夜が何か話しているようだが気にしなくてもいいだろう

 

「さて、ああは言ったけど結構厳しいな。」

 

耀はまだしもジンと飛鳥はギフトが聞かなければ常人と指して変わらないはずだから実質戦えるのは紫炎と耀の二人だけだろう

 

しかし、そんなことを言っても何もかわらない。

 

参加者の四人は門を開け突入する


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