問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第十五話

紫炎の意識が戻った後、飛鳥と耀、ジンと紫炎がペアを組みヒントを探したが見つからなかった

 

「ヒントも武器も何一つなかったな」

 

「こっちもなかったわ。」

 

「もしかしたらガルド自身がその役目を担ってるにかもしれません」

 

「それなら耀のギフトで」

 

「もう見つけてる」

 

耀が樹の上に上り、遠くを見つめていた

 

「影が見えただけだけど、本拠にいた。」

 

耀の瞳は普段と違い、猛禽類を彷彿させる瞳になっていた

 

「そういえば鷹の友達もいたのね。けど、今はみんな悲しんでるんじゃない?」

 

「それを言われると少し辛い。」

 

しゅん、と元気がなくなる耀。

 

その後、四人は少し警戒しながら館に入る

 

「しかし、虎だから森の中で奇襲をかけると思ったらそんなことはなかったな。」

 

「けど、あんな自己顕示欲の強いガルドが自分の屋敷を荒らすとは思えません」

 

「それじゃあ代理人に頼んだのかなぁ?」

 

「代理に頼むにしても罠もなかったし、屋敷を荒らす必要はないわ。」

 

四人は少しだけ考える

 

「悩んでてもしょうがない。今、ガルドはどこにいるかわかるか?」

 

「多分、二階にいる。」

 

「それじゃあ手分けして一階を探すか。」

 

紫炎はそういうと一階と二階の間を銀色の炎で覆う

 

「これでガルドが来ようとしても時間稼ぎぐらいにはなる。」

 

「それなら一人ずつで探しましょうか」

 

「そうですね」

 

そうしてがれきを退けたりして隈なく探したが何も出てこなかった

 

「どうだった?」

 

紫炎の言葉に全員首を横に振る

 

「二階に行くか。」

 

「それならジン君は此処で待ってなさい。」

 

「どうしてですか?僕だってギフトを持ってますから足手まといには」

 

「違うわ。あなたには退路を守ってほしいの」

 

ジンは不満そうだったがしぶしぶ納得した

 

三人はその後順番に部屋を調べたが何もなかった

 

そして最後の部屋の扉に着いた

 

「準備はいいか?」

 

「ええ」

 

「うん」

 

紫炎が二人の声を聞き勢いよく扉を開けると

 

「―――………GEEEEEEEYAAAAAaaaaa!!」

 

昨日とは変わり果てた姿をしたガルドが白銀の十字剣を背に守りながら立ち塞がった。

 

三人が雄叫びに怯んでいるとガルドが突進を仕掛けてきた

 

それをなんとか紫炎が炎で受け止めるが、“契約”で守られているからか全然止まる気配がない

 

「お前ら逃げろ!!」

 

紫炎が叫ぶと飛鳥はジンの方に走ったが耀は部屋に入り十字剣を取ろうとした

 

「馬鹿、逃げろ」

 

耀の姿が見えたのか、ガルドは紫炎を気にもせず耀に襲いかかる

 

「えっ、きゃあ」

 

剣をとったが、想像以上に距離を詰められていた

 

ガルドの牙が耀に襲い掛かる瞬間

 

「えっ?」

 

「ぐわっ」

 

紫炎が耀を押し出して居場所が変わった

 

その為、ガルドの牙は紫炎に襲い掛かった

 

「GRRRRRRR」

 

「離せや、コラァ」

 

紫炎が残った力でガルドから逃れ、窓を割る

 

「飛び降りろ」

 

その言葉に耀は我に返り、紫炎を連れ飛び降りた

 

上を見てみるとガルドが追ってくる様子はなかった

 

「大丈夫なの!?」

 

耀が珍しく慌てた様子で聞いてくる

 

「見た目より大分ましだ。とっさに銀色の炎で体を包んだおかげで命には関わらんようだ。」

 

「良かった」

 

少し涙ぐんで笑いかける耀

 

「だが、さすがにすぐには動けそうにないから飛鳥たちと合流してガルドを倒せ。いいな?」

 

「わかった。それじゃあ待ってて。」

 

耀がグリフォンのギフトを使い飛鳥たちがいるであろう方へ飛んでいく

 

「さて、傷自体は内臓には届いてないが、出血が多すぎるな。」

 

紫炎は耀が見えなくなると自分の状況を再確認する

 

「ぐっ!?」

 

しかし、少し体を動かしただけで激痛が走る

 

「本格的にやばいな。意識が・・・」

 

あまりの出血量に紫炎は意識手放した

 

―――――――――――

 

「どこだ此処は?確か俺はガルドとのゲームで気を失っていたはず」

 

俺は何故かベットに寝ていた

 

「あっ!皆さん赤羽さんの意識が戻りましたよ」

 

「本当だ。良かった。」

 

何故か黒ウサギが喜び、耀が胸を撫で下ろしていた

 

「しかし、あんな小物にお前が傷を負わされるとは思わなかったぜ。俺の見込み違いか?」

 

「それは」

 

「少し油断と慢心があったのかもな。俺も食らうとは思わなかったし。」

 

耀が何かを言おうとしたのを紫炎が制し、十六夜の問いに答える

 

するといきなり横から平手打ちが飛んできた

 

「痛い」

 

「飛鳥!?」

 

「一人で独断専行して怪我した罰よ」

 

ふんっ、と鼻を鳴らし部屋を出ていく飛鳥

 

「それなら俺も」

 

「やめてください、十六夜さん。一応けが人なんですから」

 

拳を振り上げた十六夜をジンと黒ウサギが二人がかりで部屋の外に追いやる

 

部屋には紫炎と耀の二人だけになった

 

「ごめんなさい」

 

「どうした?いきなり謝ったりして?」

 

「だってそのけがは私のせいだし・・・」

 

「いや、これは俺の判断ミスだ。」

 

「でも、私が勝手に飛び出したから。」

 

「それがなくても多分一人で戦ってこれ以上の怪我を負ったかもしれない。焦らずに力をあわせとけば傷も負わなかった。だから俺の所為だ。」

 

「でも・・・」

 

「これからは助け合っていこうということでこの話題はもう終わりだ。」

 

無理やり話題を途切れさせる

 

「・・・わかった。」

 

「それじゃあジンが何処にいるかわかるか?」

 

「多分図書室」

 

「そうか、ありがとう」

 

俺はそういうとベットから降りて扉を開けた

 

「だめ」

 

「いや、もう治ったし」

 

「呼んでくるから待ってて」

 

耀が俺の話を聞かずに飛び出して行った

 

数分すると耀がジンを連れてきた

 

「連れてきた」

 

「あの~僕に何の用なんでしょうか?」

 

「聞きたいことがある」

 

「なんでしょうか?」

 

「今回のゲーム、お前が気づいて俺たちに言ってないことはなんだ?」

 

「!?」

 

「おかしいと思ったのは最初の木を見たときの反応だ。何か知ってる反応だったからな」

 

「そ、それは・・・」

 

「それとこれは俺の勘だが、吸血鬼が関わってると思う。」

 

「なんでそれを」

 

ジンが驚きの表情で紫炎に詰め寄る

 

「ガルドに牙で噛まれたとき、血を吸われた感じがあったんだ。それでな。」

 

「そうですか。それでは僕が思うことを話します」

 

ジンが話したのは吸血鬼の仲間がいるということと、あれほどの木々を鬼化できるのはその人くらいということだった

 

「けど、仲間ならそんなことをする必要はないと思うんだけど」

 

「そうなんです。なので本当に彼女かどうか確信が持てないんです」

 

「いや、おかげで確信が持てた。多分そいつで合ってる」

 

紫炎がそういうと二人はまだわからないように首を傾げる

 

「おそらく、俺たちの事を聞いてコミュニティの力になるか試したかったんだろ。」

 

紫炎の説明になるほど、といった感じで頷く二人

 

「ありがとうな。これで疑問は解けた。」

 

そう言って紫炎は立ち上がりジンに礼を言い、外に出ようとした

 

「何しに行くの?」

 

それを耀に止められる

 

「いや、軽く運動を」

 

「駄目、今日は絶対安静」

 

結局耀に念を押され、その日は一日寝て過ごすことになった


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