問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児― 作:gjb
ペルセウスの旗が空から落とされた翌日の朝――――
「紫炎さん。もう朝なので起きてください。」
「・・・後五分」
「そういってもう三十分たってますよ!?」
紫炎はリリに起こされていた
「皆さんはもう起きて朝ごはんを食べてますよ」
「分かった。自分で行くから先に食べてな」
「三十分前も言ってましたよ!?」
リリがいくら声をかけても紫炎が起きる気配がない
そんな時、
「リリ、どうしたの?」
「あ、耀さん。紫炎さんが起きないんですよ。」
耀が通りかかった
「放っておけばいいんじゃない?」
「そういう訳にはいきません。お布団を干さなきゃいけないんで。」
「それなら仕方がない。」
そういって耀は辞書並みに厚い本を持ってきて
「えい」
ゴンッ、と鈍い音を立てて紫炎の頭に落とした
「・・・おはよう」
紫炎が不機嫌そうに起きる
周囲を確認して今の状況を把握して、自分が悪いと思ったので文句を言わなかった
「おはよう。早く朝食食べに行ったら?」
「おう。そうするわ。」
紫炎が起きたのを確認し、耀は部屋から出て行った
「大丈夫ですか?紫炎さん」
「心配してくれてありがとうな。それと悪いな。俺、朝弱いんだわ。」
そういって紫炎がリリの頭を撫でる
「あうっ」
リリが恥ずかしそうに顔を赤くする
「それじゃ行くわ。」
「あっ、はい。」
リリの頭から手を放し、食堂に向かった
―――――――――――
朝食を食べ終えた後、紫炎はノーネーム内を散歩していた
「あれ、何してるんですか?赤羽さん」
すると、前から黒ウサギが来た
「散歩だが」
「いえ、そういうことじゃなくて・・・。十六夜さん達は自由に箱庭内を楽しんでるのになんでコミュニティ内にいるのかな?って不思議に思ったのですよ。」
「別にいいだろ。これから世話になってく建物見ても。」
それを聞くと黒ウサギが嬉しそうにニコニコし始めた
「?どうした?」
「いえ、なんでもありませんよ♪」
「?」
紫炎はよくわからないといった表情だ
「午後からは俺もギフトゲームに参加するつもりだから、昼食はここで食べるから」
「はいな。」
それから黒ウサギと別れ、一人でうろついた
――――――――
「あれ、紫炎さん。何してるんですか?」
「ああ、ジンか。ちょっと散歩。」
「そうですか。僕はてっきり何か問題を起こす前触れかと思ってました」
「何でだよ」
俺って信用ないな
「そういえば先日の工房で渡した武器の方なんですけど」
「この二本がどうした?」
俺はそう言ってギフトカードからダーインスレイブと日本刀を発現させた
「いえ、ダーインスレイブの方なんですけどレティシアさんから話があるから来てくれ、だそうです」
「面倒なんだが・・・」
「僕に言わないでくださいよ。」
ジンが呆れたように言ってくる
「しょうがないか。レティシアはどこにいるんだ?」
「呼んだか、主殿?」
「「!?」」
いきなり現れたからびっくりした
「どうした?」
「いきなり現れたからびっくりしたんだよ。そういえばこれについて話があるって聞いたが」
そう言ってダーインスレイブを見せるとレティシアの目が鋭くなった
「ここじゃなんだ。談話室ででも話さないか?」
「そうだな」
その視線に気づき俺が場所の変更を促すと、快く返事を返した
―――談話室
「この剣がどうかしたのか?」
紫炎が単刀直入に聞く。
「それを言う前に主殿はその剣についてどれくらい知っている?」
「抜いたら誰かの生き血を全て吸い取るまで鞘に収まらないってことくらいだ。」
「・・・まだ鞘から抜いてないのか?」
「ああ」
紫炎がそういうとレティシアは安堵の表情を浮かべる
「それで話ってのはこの剣を抜いたら伝説とは違い俺に危害が加わるってことか?」
「!?」
「何を驚いている。俺が伝説の事を言っただけで抜いてないとわかるのは伝説と効果が違う証拠だ。そして危害が加わると思ったのは俺が抜いてないと知ると安心した表情をしたからだ」
紫炎がそういうとレティシアが口を開く
「やれやれ、ジンから聞いたとおりだ。」
「・・・ジンは俺の事をなんて言ってたんだ?」
「いつもは自分勝手な行動が目立つが、仲間の事をちゃんと信頼し、全てを見透かしてるような奴だ、と言っていた」
「・・・・・」
そんな風に思われてるのか
「っと、この剣についての話だったな。」
「そうだった」
ショックで忘れるとこだった
「この剣は伝説とは違い、鞘から抜いてる間使い手の血を吸い取り、刀の強度を保っているんだ」
「そうか。・・・なんでそんなことまで知ってるんだ?元・使い手だったとか?」
そういうとレティシアは驚いた表情を見せた後、話し始めた。
「そのとおりだ。ただし、私が魔王を名乗ってた時代だがな。」
「なるほどね」
「わかっただろ。その剣を」
「元・魔王が使ってた剣。貰っとくぜ。」
「話を聞いていたのか!?それは命に関わる剣だ。さっさと工房に戻せ。」
レティシアが感情を露わにして詰め寄ってくる
紫炎は怯みもせず、言い返す。
「悪いがそれは無理だ。俺自身の力は魔王にはまだ及ばない。それまでこの刀が必要なんだ」
「しかしだな」
「それにこの刀が血を吸ってもすぐに死ぬわけじゃない。そうだろ?」
「だが、使い続ければ死ぬんだぞ!?死ぬのが怖くないのか?」
「どちらにしろ今の力じゃ魔王との戦いで死ぬ。それなら関係ないだろ」
「確かにそうかもしれないがその刀を持ってる限り、魔王と戦う前に死ぬかもしれないんだぞ」
「そうかもしれなし、そうじゃないかもしれない。」
いつまでも飄々としている紫炎にレティシアが悲しそうな目になった
「もう仲間が死ぬのは見たくないんだ」
その言葉に紫炎が驚く
「心配してくれてありがとうな。だが刀は手放す気はない。」
「くっ、勝手にしろ。」
「待てレティシア。」
部屋を出ようとしたレティシアに紫炎が声をかけると、レティシアの動きが止まる
「俺だって死ぬのは怖いし、仲間を死なせたくない。だから刀を抜くのは最終手段だ。魔王との戦いだったりな。」
紫炎が言い終わるとレティシアを追い越し、扉の前に立ち、
「オラッ」
「ふぎゃ」
扉を蹴破ると盗み聞きしていた黒ウサギに当たる
「自業自得だからな」
黒ウサギが反応するより早く言葉を返し、食堂に歩いて行った