問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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あら、魔王襲来のお知らせ?
第二十四話


レティシアを取り返してちょうど一か月が過ぎた

 

朝の少し早い時間、紫炎の部屋に三人の女子が飛び込んできた

 

「紫炎君起きてる!?」

 

結構大きな音が出ていたが紫炎が起きてる様子はない

 

すると耀が

 

「ちょっと下がって、飛鳥」

 

紫炎の頭に辞書を落し、紫炎を起こした

 

「・・・おはよう。」

 

まだ寝ぼけ眼の紫炎は何が起きてるかがわからないようだ

 

「いいから起きなさい、紫炎君。」

 

「・・・起きてるよ。朝が弱いからちょっと反応が鈍いだけだ」

 

「そうだよ飛鳥。紫炎はいつもこんな感じ」

 

「確かにこんな感じですね。」

 

紫炎の言葉にいつも起こしに来るリリといつも辞書を落す耀が答える

 

「なんで春日部さんが知ってるの?」

 

飛鳥の疑問はもっともだろう

 

「実は紫炎さんが起きるのは辞書を落した時だけなんですよ」

 

「リリが落とせないからって時々落して上げてる」

 

それを聞き、飛鳥は呆れたように紫炎を見る

 

「それでどうしたんだよ。用がないなら寝るぞ。」

 

「まちなさい。これを読んで」

 

そういって飛鳥が封筒を渡してきた

 

それを読んでいると紫炎の目がだんだん輝きだした

 

「おいおい、何だこの面白そうなのは。」

 

「でしょ。十六夜君を起こしに行くから用意しときなさい」

 

「OK。多分十六夜なら図書館にいるだろうから。」

 

それを聞くと飛鳥は飛び出して行った

 

「それじゃあ図書館で待ってるから。行こう、リリ」

 

そういって無理やりリリを連れていく耀

 

「俺もさっさと着替えて準備するか」

 

――――――――――――――――

 

それから十六夜達と合流して外に出たがジンから北に行くための手段を聞くと、とてつもなく不可能だったのでサウザンドアイズに来ていた

 

「というわけで招待者として北側まで連れてけやコラ」

 

「いつも通り口が悪いのぉ。まぁ招待者としてそれぐらいはやるが少し話したいことがある」

 

「楽しい話?」

 

「それはおんしら次第だな」

 

白夜叉と十六夜の話に耀が混ざる

 

「本題の前に一つ聞く。フォレス・ガロの一件以降おんしらが魔王のトラブルを引き受けるとは真か?」

 

「ええ。本当よ。」

 

「ジン。それはコミュニティ全ての方針と受け取っても良いか?」

 

「はい。コミュニティの存在を広めるには一番いい方法だと思いました」

 

「リスクは承知の上か?」

 

「覚悟の上です。」

 

「無関係の魔王も呼び寄せるかもしれんぞ」

 

白夜叉がジンを心配して聞いてくるので

 

「それこそ大歓迎だ。魔王との経験も積めるし、隷属させてコミュニティの力になる。」

 

「修羅神仏の集う箱庭でもこんなコミュニティはないだろ?」

 

「ふむ」

 

紫炎と十六夜が得意げに説明をした。

 

それを聞き、白夜叉は何か考え込むように瞳を閉じる

 

しばし、瞑想した後、口を開く

 

「それならば本題を話そう。これは東のフロアマスターからの正式な依頼だ。よろしいかな、ジン殿。」

 

「は、はい。承りました」

 

「さて、どこから話そうかのぉ。・・・」

 

一息つく白夜叉。

 

すると思い出したように話し始める

 

「ああ、そうだ。北のフロアマスターの一角が世代交代するというのはしっておるか?」

 

「え?」

 

「急病で引退だとか。そのコミュニティは五桁・五四五四五外門に本拠を構える“サラマンドラ”――――それがマスターの一角だ。ところでおんしらフロアマスターについてどれくらい知っておる?」

 

「私は知らないわ」

 

「私も」

 

「ある程度は」

 

「俺もだ。要するに下層の秩序と成長を見守る連中だろ?」

 

それを聞きジンが話始める

 

「しかし、北側は複数のマスターが存在しています。それは複数の種族がいてそれだけ治安が悪いですから。」

 

そういうとジンが悲しみで目を伏せる

 

「サラマンドラとは親交があったのですが頭首が変わるとは知りませんでした。後継は誰なんでしょうか?」

 

「おんしと同い年の末の娘のサンドラらしいぞ」

 

「さ、サンドラが!?彼女はまだ十一ですよ!?」

 

「あら、ジン君だって十一で私たちのリーダーじゃない。」

 

「そうですけど・・・」

 

「なんだ?御チビの恋人か?」

 

「ち、違います!失礼なことを言ううのはやめてください」

 

飛鳥と十六夜が茶化すと、ジンが怒鳴り返す

 

すると白夜叉が思い出したように話を横道に逸らす

 

「恋人同士といえば一ヶ月くらい前の」

 

「そういえば俺たちに何かしてほしんだろ?」

 

白夜叉が言おうとしたのは多分果実のギフトゲームの事だろう

 

そんなことを今言われたら二人が何言うか・・・

 

「おお、そうじゃった。実は今回の誕生祭なんだがサンドラのお披露目もかねておるんだ。しかし、サンドラがまだ幼いので共同で主催者をやることになったのだ」

 

「あら、それはおかしな話ね。北には複数のマスターがいるのなら北同士で共同にすればいいじゃない」

 

「うむ、まあそうなのだが・・・」

 

急に歯切れが悪くなる白夜叉

 

「大方、幼い権力者を良く思わないっていった、ありきたりな理由だろう」

 

十六夜が隣で助け船を出す

 

「ん・・・ま、そんなところだ」

 

「そう、神仏が集う箱庭の長でも思考回路は人間並みなのね」

 

白夜叉の言葉を聞き、飛鳥が不満そうに言った

 

「うう、手厳しい。・・・共同でやる理由は他にもあるのじゃが」

 

その言葉を聞き、耀が口を開く

 

「その話って長くなる?」

 

「ん?そうだな・・・短くとも後、一時間はかかるかの?」

 

「それまずいかも。黒ウサギに追いつかれるかも」

 

その言葉を聞き、問題児たちとジンは気が付いた

 

「白夜叉様、このまま」

 

「ジン君黙りなさい。」

 

そのまま引き留めてもらおうと口を開こうとしたのを飛鳥がギフトを使い阻止する

 

「白夜叉、このまま北に向かってくれ。事情は追々話す」

 

「何よりその方が面白い。俺たちが保証する。」

 

その言葉を聞き、白夜叉が笑う。

 

「そうか、面白いのか。ジンには悪いが面白いなら仕方ないの?」

 

ジンが何か言ってるような感じだが無視しよう

 

白夜叉が柏手を打つと途端に口を開いた

 

「ふむ。これで望み通り北側に着いたぞ」

 

「「「「は?」」」」

 

四人が素っ頓狂な声を上げた

 

疑問はあったが四人は期待を胸に外に出た


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