問題児たちが異世界から来るそうですよ?―振り回される問題児―   作:gjb

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第二十七話

目が覚めると昼前までいた来賓室にいた

 

「それでは小僧も起きたことだし、第一回黒ウサギの審判衣装をエロ可愛くする会議を」

 

「始めません!」

 

「始めます」

 

「断固始めません!!」

 

バカ二人と苦労人は放っておこう

 

少し耀に聞きたいこともあるし。

 

「なあ、今、どういう状況だ?」

 

「どういうって」

 

「風呂から上がって十六夜と喋ってるあたりから記憶が曖昧なんだよ。女性陣が着物なのは白夜叉の趣味だとして、風呂場の近くでしゃべってたはずなのにお前らが風呂あがった記憶がないんだよな」

 

それを聞くと耀が視線をずらし、

 

「知らない」

 

と答えるが紫炎は聞くのを諦めた

 

「春日部さん、少し強くたたき過ぎじゃないの?」

 

「そうみたい。何故か力が入った」

 

飛鳥と耀が何か喋ってるようだが紫炎には聞こえなかった

 

「そういえば聞きたいことがある白夜叉」

 

「なんじゃ、黒ウサギの審判衣装はレースで編んだ黒いビスチェスカートを」

 

「着ません!」

 

「着ます!」

 

「断固着ませんってば!!」

 

またバカ二人に振り回される黒ウサギ

 

「明日のギフトゲームのルールを知りたいんだが・・・」

 

「それならおんしらに送った招待状に書いてあるだろ?」

 

「誰が招待状を持ってるかわからないんだ」

 

紫炎の言葉に他の三人も頷く

 

「招待状をなくしてしまったんですか?」

 

「え~と、順番に思い出すと飛鳥と耀が俺の部屋に来て読んだ後返したな」

 

「その後私たちは十六夜君に招待状を読ましたわ」

 

「俺は読んだ後、手紙を書いて春日部に渡したぜ。」

 

「私はそれをリリに渡して黒ウサギに持ってくように頼んだ」

 

四人が話し終わった後、黒ウサギを睨むとしょぼんとしおれる黒ウサギ

 

「だから見せてくれ」

 

「しょうがない。」

 

白夜叉がそう言って二枚の契約書類を見せる

 

『ギフトゲーム名“誕生の篝火”本選

 

 ・決勝参加コミュニティ

     ・ゲームマスター“サラマンドラ”

     ・プレイヤー“ウィル・オ・ウィスプ”

     ・プレイヤー“サウザンドアイズ”

     ・プレイヤー“ノーネーム”

 

 ・決勝ゲームルール

     ・たいまつに炎を灯した数で競う

     ・お互いのたいまつはゲームごとに変わるステージにランダムに置かれる

     ・たいまつの数は合計で十五本

     ・総当たり戦で行い、灯したたいまつの数で合計が多いコミュニティの優勝

     ・優勝者はゲームマスターと対峙

     ・妨害はありだが殺しはその場で失格

 

・授与される恩恵に関して

    ・階層支配者の火龍にプレイヤーが希望する恩恵を進言できる

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

                              “サウザンドアイズ

                              “サラマンドラ”  印』

 

全員が二つの契約書類を見た

 

「なんだよ、プレイヤーの三チーム中二チームが一緒じゃないか。」

 

「言っておくが創造主の方の二チームは両方とも六桁の者たち。格上と思ってよい」

 

すると十六夜が何かに気づいたように喋った

 

「なるほど、“ネズミの道化”でラッテンフェンガーのコミュニティか。なら春日部の相手はさしずめハーメルンの笛吹きか。」

 

(どういう頭の構造してんだ)

 

紫炎が感心してると

 

「ハ、ハーメルンの笛吹きですか!?」

 

「どいうことだ小僧。詳しく聞かせろ」

 

突然シリアスになる白夜叉。

 

「すまんな。おんしらはまだ来たばっかだったな」

 

話を聞くとハーメルンの笛吹きはほろんだはずの魔王のコミュニティの仲間だったらしい

 

そしてジンがハーメルンの笛吹きの伝承を語った

 

「ふーむ。となるとほろんだ魔王の残党が火龍誕生祭に忍んでおる可能性があるな」

 

「YES。参加者が主催者権限を使えない以上それが一番可能性がありますね」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「一応、最低限の対策の為、わしの主催者権限を使って祭典の参加にルールをつけたのだ」

 

見てみると、一般のゲームの禁止、主催者権限を持つ者の入場制限、主催者権限の使用禁止、参加者以外の立ち入り禁止というものだった

 

「確かにこれなら主催者権限を使うのは不可能だな」

 

十六夜が納得したように頷く

 

「いや、そうじゃなくてなんで魔王がくるって確定してるようだったから。」

 

紫炎がそういうと全員から呆れたような目で見られた

 

「ちょっと待て。俺は何の説明も受けてないんだぞ」

 

そういったらみんなが納得した

 

「後でジン君か十六夜君に聞いたら?」

 

「今はゲームの説明してるから後でな」

 

十六夜と飛鳥により強制的にこの話は終了された

 

「なら、ゲームの方で質問だ。なんでホストの一角がプレイヤーとしてでてんだ?」

 

紫炎がそういうと白夜叉が恥ずかしそうに頬をかきながら説明した

 

「それが少し前に客人として迎えた奴が勝手に登録してな。今、いるコミュニティの名前で登録したらこうなったのだ」

 

「自由な人ね」

 

「そうですね」

 

飛鳥が言った言葉に少し悪意を込めて返す黒ウサギ

 

「普通はそういうのって八百長みたいに言われるんじゃないか?ホスト同士が結託したとか」

 

「そういうのを考えた上で自分が楽しめるならいいという奴なんだ」

 

「「迷惑なやつだな」」

 

十六夜と紫炎が声を揃えて言うと他の女子陣が冷めた目で二人を見た

 

「「こいつと一緒にするな」」

 

二人が互いを指して言う

 

「おいおい、十六夜。お前は一人で誰にも相談せず行動するなんてよくあることだろ?」

 

「それを言うならな、紫炎。お前は全員で足並みそろえるなんてしたことないだろ」

 

二人がメンチを切りながら言い合う

 

「やめんか、小童ども。屋敷を壊す気か。」

 

その言葉を聞き、二人はお互いに手を放す

 

「そうよ二人とも。両方おんなじ位よ」

 

飛鳥の言った言葉に黒ウサギと耀が頷く

 

「はぁ、そういうことにしとくか」

 

「そうだな」

 

興が削がれたかのようにすぐに落ち着く二人

 

「なんか似た者同士」

 

耀の呟きは聞こえなかったことにしよう

 

「おーい。白、どこにいる?明日の事で聞きたいことがあるんだが」

 

「「「「「白?」」」」」

 

「さっき言った奴だ。会った時からそう呼ばれておる。」

 

頭を抱えながらそういう白夜叉

 

「とりあえず呼んだら?」

 

「お主らが良いならいいが?」

 

「紫炎以外は関係ないからいいぞ」

 

「俺も別にいいよ」

 

(しかし、聞いたことがあるような声だ)

 

紫炎が考え込んでいると白夜叉が呼んだ

 

「おーい、龍。わしは貴賓室だ。」

 

するといきなりふすまが開いた

 

「おお、ここにいたか。ん?なんか見慣れないやつらがいっぱいだな」

 

「わしが呼んだコミュニティの面々だ」

 

「おいおい、ガキばっかじゃねーか。大丈夫なのか?」

 

「言ってくれるじゃねーか。今なら試されてやるぜ、本気でな。」

 

十六夜の言葉に耀と飛鳥が反応する

 

「やめてください、御三人方。紫炎さん、珍しく黙ってるなら止めるの手伝ってください。」

 

「おい、白夜叉。」

 

少し怒気の混じった声で紫炎が口を開く

 

「なんだ?」

 

「そいつが俺の対戦相手か?」

 

「そうじゃぞ」

 

それを聞き、紫炎が席を立つ

 

「テメーか」

 

殺気の満ちた目で睨んだ後、部屋を出ていく

 

「なんかあいつどっかで見たことがある気がする」

 

「おい、おっさん。あいつとどういう関係だ?」

 

「お前らから見たらおっさんかもしれんがまだ四十なったばかりで、白夜叉とかに比べたらまだまだ若いぞ」

 

「そんなこと聞いてない。あいつが怒ったのは初めて見る。赤の他人に怒るやつとは思えない」

 

「そうね。私がガルドに襲われそうになったとしても彼はあそこまで怒らなかったもの」

 

十六夜と飛鳥が噛みつく

 

「私、紫炎に聞いてみる」

 

耀がそう言って紫炎を追いかけた

 

―――――――――――――――

 

「紫炎!」

 

「ああ、耀か」

 

紫炎が屋根にいるのを見つけて耀が追いついた

 

「どうしたの?皆不思議がってたよ。」

 

「やっぱ不自然だったか。」

 

「うん。知り合いなの?」

 

「本人かどうかわからんが顔は知ってる顔だった」

 

紫炎が少し暗くなる

 

「あの顔を見ると思い出しちまうんだよ」

 

「思い出すってことは箱庭に来る前にあった人?」

 

「ああ、確認の為にフルネームと少しの質問をする必要がある」

 

紫炎がそういうと屋根から降り、耀と二人で元の部屋に戻った


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